大腸がんに腸内細菌もかかわっていた話

見た目の若さは、腸年齢で決まるを読みました。このPHPサイエンス・ワールド新書はよい本が多くて好きです。

大腸がんは、女性のがん死亡率の1位、男性の3位になっています。私が子供の頃はがんといえばほとんど胃がんのことでした。

その背景には、食生活の変化がまちがいなくあります。

普段、ヨーグルトや乳酸菌などを飲んでも腸内細菌叢を構成する菌の数があまりに大きすぎて、それらは腸内に定着しないと聞かされています。

それがいつもどこか頭の隅にあるので、体調がとてもよいときはヨーグルトを作るのをついつい忘れたりします。

しかし、この本では、腸内細菌が大腸がんの発生に関わっているのというのです。なんとなく日常的にお腹の調子が気になっている方は、読んでみるとよいです。きっと毎日の食事を大まじめに考えるようになります。

食事で腸内細菌叢は変化する

この本には、著者の辨野義己先生がご自分で行った実験のことが書かれています。

辨野義己先生については、いいうんち研究所のうんち研究室 – 辨野先生に聞く!をお読みになるとよいと思います。

げんきいっぱいのうんちをしよう!うんちから子供の健康作りを考える、日本トイレ協会が運営するいいうんち研究所のWebサイトです。

先生は、肉食が本当に体によくないのか実際に確かめるため、1日1.5キロの牛肉だけを40日間食べ続けたそうです。

野菜も米も一切なしで肉だけです。

朝は500グラムのソーセージとハム。昼と夜はステーキ三昧な毎日だったそうです。1日だけだったらやってみたいような気がしますが・・・。

すると、体臭がどんどんきつくなり、顔に脂がういてきて、便は黄褐色から黒ずんだ色に変わり、40日目には黒褐色に。硬さはカチカチで腐ったようなにおいになったそうです。

便から腸内細菌を調べると、まず腸内細菌そのものが減少していました。さらにビフィズス菌が20%あったものが15%に減り、かわりに悪臭のもとになるガスや大腸がんにも関わるクロストリジウムが5%から10%に増加していました。

この実験の後、先生は生活スタイルをがらりと変え、食事をそれまでの高脂肪、高タンパク、低食物繊維から低脂肪、低タンパク、食物繊維が多い食事に変えました。

ヨーグルトを1日300~500g食べるようにして、運動も取り入れ、なんと1年で10キロ減量したそうです。

腸内細菌も改善され、善玉菌15%、悪玉菌5%と善玉菌優位になりました。ついでに花粉症も軽減されるというおまけつきでした。

この腸内細菌のバランスは、便秘も下痢もなく毎日快便の人なら、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%くらいなのが一般的です。

辨野先生の体を張った実験で、肉ばかり食べていると体によくないことが分かりましたが、大腸がんに関係しているクロストリジウムという菌はどんな悪さをするのでしょう?

大腸がんの発生に二次胆汁酸が関係ある

昔とちがって今は高脂肪の食事が増えています。お菓子もこってりしたものが好まれます。こってりしたものは、食べると満足感を得られますからついつい食べてしまいます。

このとき、脂肪を分解するために胆のうから胆汁が分泌されますが、中に含まれている胆汁酸が問題になります。

まず脂肪は胆汁酸によって分解され、脂肪酸とグリセリンになります。これらは小腸で吸収され、肝臓に蓄えられ、私たちのエネルギーとなるのです。

使われた胆汁酸は、回腸末端から再び吸収され肝臓に戻ります。これならば問題はありません。

ところが、三~四割の胆汁酸は大腸に流れ込み、特定の腸内細菌により二次胆汁酸(デオキシコール三やリトコール酸)に変化するのです。

この二次胆汁酸が、発がんを促進する物質、発がんの促進因子(プロモーター)になるのです。

これを読んでどう思われますか?

毎日の食事から脂肪は減らした方がよさそうですね。

仮に脂肪の食べ方の量に関係なくいつも胆汁酸の3~4割が大腸に流れ込むとしても、もともと食べた脂肪の量が少なければ、二次胆汁酸ができる絶対量は少なくなります。

クロストリジウムは胆汁酸を分解する

二次胆汁酸は、腸内細菌によって分解してつくられるので、その腸内細菌がどの菌なのか探され、6種類発見されています。

すべてクロストリジウム属の細菌でした。クロストリジウム属の特徴はこのように書かれていました。なかなかしぶといやつです。もちろん、悪玉菌の一味です。

クロストリジウム属の菌は、土壌内部や生物の腸内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できない。

クロストリジウム属の菌は酸素存在下で、耐久性の高い芽胞を作って休眠することで、死滅を免れることができる。(クロストリジウム属|ウイキペディア

胆汁酸を変化させる菌は、以下の6種です。

  • クロストリジウム シンデンス(Clostridium scindens
  • クロストリジウム ハイレモンアエ(Clostridium hylemonae
  • クロストリジウム ヒラノーニス(Clostridium hyranonis
  • クロストリジウム・レプタム(Clostridium leptum
  • クロストリジウム・ソルデリー(Clostridium sordellii
  • クロストリジウム・バイファーメンタンス(Clostridium bifermentans

二次胆汁酸はなかなかおそろしいもので、辨野先生はこのように書かれています。

私たちのグループによる動物実験では、これらの二次胆汁酸を健康な動物に与え、さらに発がん物質を与えると、100%の確率で大腸がんが発生しました。

しかもがんが発生するまでの期間も非常に早いことも確認されたのです。

これだけだといやな話で終わってしまいますが、もちろん、予防するための話も書かれていました。

1970年代から動物実験では乳酸菌にがんの予防効果があるといわれており、その後も研究が続いています。先生によれば、ラクトバチルス(乳酸桿菌)とビフィズス菌ががんを抑制することが実験により分かったそうです。

大腸がんを防止するには食事に気をつけ便を観察する

この本の最後の第7章は、「うんち力を鍛える」になっています。よい便を出せるように。どのようなものを食べるとよい便が出るか。そして毎日の便を記録するうんち日記をすすめられています。

もちろん、これは腸内細菌を研究している先生が、いつも便を観察して腸内の状態がどうなっているか気にしてくださいとおっしゃっているのだと思います。

お腹の調子は精神状態にもかなり影響されますが、基本は食べたものの結果です。そして毎日変化します。ちなみに、私も毎日観察する方です。

高脂肪のものを食べるのをなるべくやめて、ヨーグルトを始めとする発酵食品や食物繊維の多いものを食べて善玉菌が優位のお腹の中をつくる。

サプリメントに頼る前に、まずは食事を見直すことが必要です。

もし、普段あまりお腹の調子がよくない方がいらっしゃったら、例えばビオフェルミンなど乳酸菌製剤を一時的に多めに飲むようにすると、お腹の調子がよくなり便のにおいもかなり軽減します。

それをスタート地点にして毎日の食事を見直して、自分の体で感じたお腹の調子がよい状態が維持できるようにしていくとよいと思います。

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