プロバイオティクスのヨーグルトに過度に期待しない?

ヨーグルトのよさは、ヨーグルト自体が安価で、しかも、自分で培養できることです。今は特定の菌の効果が分かってそれを加えて発酵させたヨーグルトがたくさん販売されています。

いつからかパッケージに乳酸菌の名前を書くのが当たり前になりました。今はメーカーよりも乳酸菌の種類によって選んだりためしたりするようになりました。

食べてみると、それぞれ微妙に味が違うのと同じで、お腹に感じる効果もちがいます。もちろん、みなそれなりの効果を感じます。

ところで、発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求を読んでいたら、ヨーグルトの菌を云々し過ぎるのはあまり意味がないのかもしれないという話が出ていました。

この本には、実に刺激的なことが書いてあります。きっと長く読まれる本になると思います。同じ著者の少し前の本に、天然発酵の世界がありますが、それよりもずっとよいです。

ヨーグルト

製造されるヨーグルトは発酵菌にとってコントロールされた環境である

これまでいろいろな記事を書いてきましたが、発酵する菌によってお腹の調子がよくなるのは共通していますが、微妙に出す成分によって効果が変わることは、常識です。

特定のプロバイオティックなバクテリア株の効用の記述から、発酵食品に利用される自然発生バクテリア個体群が同一の効用を提供すると一般化できるだろうか?

これは盛んに議論が戦わされている質問だ。「プロバイオティクスと生きた培養微生物との区別は、人間への健康効果を立証するデータの存在や欠如の点で重要だ」とInternational Scientific Association for Probiotics and Prebioticsの理事でプロバイオティクス・コンサルタントのEllen Sandersは注意している。

「抗生物質を服用している患者に生きた培養微生物を含むヨーグルトを食べさせることを推奨するのは、人体研究によって研究され抗生物質に関連する副作用を減らすことが示されている特定のプロバイオティック製品の摂取を推奨することと比べて、根拠が弱い。試験されていない製品でも効果はあるかもしれないが、強く推奨することはできない。」

これがプロバイオティクス業界の声だ。実際には、伝統的な発酵食品も研究されているが、プロバイオティクス研究の程度には達していないというだけであり、少なくともその理由の一部は同程度の特定性(言い換えれば、特定の会社からの資金提供)がないという点にある。

最も研究されている(また最もグローバルに市販されている)伝統的な生きた微生物を含む食品がヨーグルトであることは、疑いのないところだ。「現時点で、ヨーグルトの摂取が胃腸の健康に有益な効果があることを支持する大量のエビデンスが存在する」と『American Journal of Clinical Nutrition』の2004年のレビューは主張している。

ヨーグルトを作るには、ラクトバチルス・ブルガリカスLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusとストレプトコッカス・サーモフィルスStreptococcus thermophilus が基本になる菌です

この他に、特別な機能性をもった菌を加えて発酵させるのが一般的です。機能性が明らかになっているのと、ヨーグルトの基本になる菌に加えて、限られた菌の種類で発酵させると十分に増殖するので、機能性を発揮しやすいといえます。

何が入っているのか分からないヨーグルトを食べさせるより、特定のプロバイオティック製品の方が推奨できるというのは、分かります。

しかし、ここから先が面白いところで、発酵食品を完全に抜いてから、ヨーグルトを食べてもらう実験が行われました。

食事から発酵食品を全て抜くとどうなる?

われわれ日本人なら、味噌しょう油もだめですから、影響はありそうです。ただ、ヨーグルトのように爽やかな食べ心地のするようなものはあまりないと思います。

実際、どのくらい影響があるのか分かりません。

『Journal of Dairy Research』に発表されたもう一つの斬新な研究では、生きた微生物を含む食品を定常的に食べている人(ヨーグルトとチーズを週に少なくとも5品と、その他の発酵食品を週に少なくとも3品)を調査していた。

定期的な間隔で採取された血液と糞便のサンプルの分析によって、研究者たちは食生活から発酵食品を除去することの影響を評価した。

「ボランティアたちは、すべての種類の発酵飲食物を食生活から除外するよう要請された。これには発酵乳やチーズなどの乳製品、発酵肉、そしてワインやビールや酢などの発酵飲料、そして熟成したオリーブなど、あらゆる他の種類の発酵食品が含まれた」

研究者たちによれば、「食生活から発酵食品を取り除くことによって腸内微生物相が変化し、免疫反応の減少がもたらされた」2週間後、食生活は制限されたままだが、参加者にはその後2週間ヨーグルトが毎日提供された。

腸内微生物相が変化し、免疫反応の減少がもたらされた」が重要です。覚えておきましょう。野菜について制限されたとは書かれてはいませんので、普通に食べていたのだと思います。

それでも腸内微生物相が変化するのだから、思っていた以上に発酵食品は影響を与えるようです。そこで、次に、ヨーグルトを食べてもらい変化を観察しました。

ヨーグルトだけでは腸内はもとに戻らない

ヨーグルトは食べただけで口の中から胃まで爽やかになるような気がします。それなりに効果があるのだろうと思いました。

半数には標準的な生きた微生物を含むヨーグルト、半数にはプロバイオティックな株で強化されたヨーグルトが提供された。興味深いことに、どちらのヨーグルトも参加者の血液や糞便サンプルを実験開始前の値へ完全に回復させることはできなかった。

そのような回復が起こったのは、彼らがさまざまな種類の発酵食品を含む日常の食生活に戻ってからのことであった。

ところが、標準的なヨーグルトでもプロバイオティックな菌株を培養したヨーグルトでも、それだけでは、元に戻らないようです。普段何気なく食べている発酵食品が意外と重要なのです。

著者は次のように書いています。

私はこう考える。バクテリアの遺伝的流動性のため、健康な生きた微生物の刺激を保つには、特定のバクテリア株は必須ではない。もっとも重要なのはバラエティと多様性であり、さまざまな原材料に内在するバクテリアを取り込むことだ。

遺伝的流動性とは、変異が起きやすいという意味です。著者の主張をいい換えると、プロバイオティクスのヨーグルトを作るのに血道を上げるより、いろいろな発酵食品をあわせて摂っているのがよいのだということです。

まとめ

発酵食品をすべて抜いたことで起きた変化は、一般的なヨーグルトでもプロバイオティックな株を使ったヨーグルトでもそれぞれ単独では元の状態に戻せないというのが、少し意外に感じて、同時に、少しだけがっかりしました。

腸内細菌叢は、バランスで成り立っていてヨーグルトの菌は、毎日食べている間はともかく、腸内にずっと定着することはできません。しかし、一時的にせよ、腸内細菌叢のバランスをよくするための役割はできるのではないかと考えていました。

発酵食品を毎日とり続けることが大事なのですね。毎日みそ汁を飲んで、自家製の漬け物を食べ、しょう油をかけた納豆を食べ、その上でヨーグルトを食べるとさらによい影響があるということなのでしょうか。

スポンサーリンク
レクタングル大

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル大