明治プロビオヨーグルトPA-3の乳酸菌について調べてみた

普段、ヨーグルトを自作しているとあまりヨーグルト売り場には寄らないのですが、先日ふと、黄色いパッケージに気がつきました。明治プロビオヨーグルトPA-3。プリン体対策とか。これは調べてみなければ。

明治はピンポイントで期待される効果をしぼって、ヨーグルトを出してきますね。痛風対策になるヨーグルトなんて考えたこともありません。

PA-3

PA-3ヨーグルトの乳酸菌

発売日は、2015年4月7日でした。すでに発売から1年以上経っています。しかし、CMはほとんど見た記憶がないです。

PA-3乳酸菌とは、ラクトバチルス・ガセリ PA-3株(Lactobacillus gasseri PA-3株)を使ったことを特徴とするヨーグルトです。

さわやかな酸味と程良い甘みが感じられるとあります。

特許5237581号の明細書を読むと、ラクトバチルス・ガセリ OLL 2959株(Lactobacillus gasseri OLL2959株)と ラクトバチルス・オリス OLL 2779株(Lactobacillus oris OLL 2779株)の2つの乳酸菌が出て来ます。

しかし、実際に製品化するときに使われたのは、ラクトバチルス・ガセリ OLL 2959株(Lactobacillus gasseri OLL2959株)なのでしょう。PA-3株とは、OLL2959株のことでしょう。

足が痛い

痛風になるととても痛いらしい

以前勤めていた会社で、転勤してきた同僚が痛風でした。私と同じ年齢でしたが、朝方まで飲酒するらしく、赤い顔をして会社に出てくることが多かったので、彼の場合は、酒が原因でしょう。

尿酸が原因

公益法人痛風財団のサイトによるとこのように説明されています。

痛風は尿酸が体の中にたまり、それが結晶になって激しい関節炎を伴う症状になる病気です。

医学研究が進み、良い薬も開発されたため正しい治療を受ければ全く健康な生活が送れます。

しかし、放置すると激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節が出来たり、腎臓が悪くなったりする重大な病気でもあります。

発作が起きると、ともかく痛いらしいです。足の親指が腫れて歩けなくなるようでした。健康診断の血液検査では、毎回尿酸値が測定されています。

項目 性別 下限値 上限値 単位
尿酸 女性 2.0 7.0 mg/dL
男性 2.1 8.5 mg/dL

尿酸のもと、プリン体

ウイキペディアによると痛風についてこのように書かれています。昔からビールは尿酸値を上げるといわれています。

患者の90%以上が男性。最近の疫学的研究によると、アルコールは肝臓で尿酸が作られるのを促進し、尿酸濃度をあげてしまうため、痛風のリスクを高める。

特にビールは最もリスクが高く、ワインは飲んでも痛風のリスクを高めないほか、焼酎やウイスキーもそれほど痛風のリスクは高くはない (なおアルコール飲料自体のプリン体は、食品の中でも比較的少ない方である)。

尿酸とはプリン体と呼ばれる物質の代謝産物であり、プリン体を多く摂取すると高尿酸血症、さらには痛風の引きがねとなると考えられる。肉のみならず魚に含まれるプリン体も痛風のリスクを高めるが、野菜に含まれるプリン体 (麦芽、豆類に多い) は高めない。

また、フルクトース (果糖) は急速に代謝されてアシドーシスを引き起こしやすく、酸性下で尿酸が析出しやすくなる。フルクトースを構成体に持つ砂糖の多いドリンクを週に5~6杯飲む場合やフルクトースを含むフルーツジュースの摂取も痛風のリスクを増大させる。

フルクトース(果糖)は清涼飲料水にあたりまえに使われています。体液が正常よりも酸性に傾いた状態をアシドーシスといいます。

プリン体のプリンとは、このような化学的な構造のことを指しています。

プリン

プリン体の多い食べ物

痛風財団の食品・飲料中のプリン体含有量に一覧がでています。このページは酒飲みの方は読む価値がありますよ。

核酸に多く含まれているので、細胞数が多い食べ物や、細胞分裂の盛んな組織にプリン体はたくさん含まれています。プリン体を多く含む食品は、 レバー類(210~320mg/100g)、白子(300mg/100g)、一部の魚介類 エビ、イワシ、カツオ(210~270mg/100g)が上げられます。

PA-3乳酸菌はどのように尿酸値を改善するのか

Lactobacillus gasseri PA-3 によるプリン体吸収低減効果を読ませていただきました。開発のストーリーはとても面白いです。

尿酸値を下げるには、まず、プリン体がたくさん入ったものを食べないようにするのが一番です。しかし、うま味成分もプリン体が関係していて、なんだかんだで、食べないようにするのはむずかしい・・・。

PA-3乳酸菌は、血清中にある尿酸値、つまり現在の尿酸値を低減させようと開発された(見つけられた)乳酸菌なのです。

血清尿酸値を低減させる食品を摂取することである。プリン体は様々な代謝を受けた後にキサンチンオキシダーゼの働きによって尿酸へと代謝されるが,キサンチンオキシダーゼの阻害作用を持つ血清尿酸値降下薬としてアロプリノールやフェブキソスタットが知られている。

これら薬剤と同様の作用メカニズムを持つ食品や食品成分として玉葱や菊花ポリフェノール等が報告されており,これらの食品を摂取することで血清尿酸値の上昇を抑えられる可能性がある。

プリン体は、最終的に尿酸まで代謝されます。その反応をする手前の酵素を阻害すると、尿酸にならないので尿酸値が上がらないという話です。

しかも、玉ねぎにその効果があるということは、酒飲みの方は覚えておきましょう。玉ねぎは血圧を下げたり、尿酸値を下げたり、効果抜群です。

ここからが面白いです。

腸管における食物由来プリン体の吸収量の低減を介して血清尿酸値を改善する可能性を検討した。

プリン体の一種であるプリンヌクレオチドはプリンヌクレオシド,更にはプリン塩基へと代謝される。そして腸管でのこれらプリン体吸収に関して,プリンヌクレオシドのトランスポーターの存在が確認されているもののプリン塩基に関してはラットでわずかに報告があるのみであり,ヒトでは報告がない。

また動物を用いた検討でプリンヌクレオシドよりもプリン塩基の方が腸管から吸収される量が少ないことが報告されている。従って,プリンヌクレオシドはトランスポーターを介して吸収されるがプリン塩基は吸収されにくいことが考えられる。

更にプリンヌクレオシドよりもプリン塩基では溶解度が低いことも踏まえると,プリンヌクレオシドからプリン塩基への分解を促進することで腸管から吸収されるプリン体量が低減されると考えられる。

分からない用語が出てくると読むのが嫌になってしまいますが、著者は実に分かりやすく書いてくれています。

食べたものは、小腸から吸収されます。おいしいからカツオやレバーを食べると、たくさんのプリン体が腸から吸収されてしまうのですが、そこで、プリン体の吸収量を減らせないかなと考えたのです。

プリンヌクレオチドは、プリンヌクレオシド、プリン塩基に代謝されていきます。その時に、プリンヌクレオシドだけ、運び屋のトランスポーターがいて腸に吸収されるのですが、次のプリン塩基になると、腸に吸収されないのです。

プリンヌクレオチド

すると、腸内で、早くプリンヌクレオチドがプリン塩基になってしまえば、体の中に入ってくるプリン体を減らせるという考えです。

プリンヌクレオシドをプリン塩基に分解する酵素としてプリンヌクレオシダーゼやプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ等が知られている。

腸管でのプリンヌクレオシドの分解には,腸管由来のプリンヌクレオシドフォスフォリラーゼの関与が知られているが,その他に腸内細菌の関与も考えられる。

プリンヌクレオシドをプリン塩基に分解する酵素、プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼは、ヒトが自分の体で作って腸から出すものと、腸内細菌から出てくるものがあるというのですよ。

腸内細菌の中には,細胞壁結合型のプリンヌクレオシダーゼを持ち,菌体外でプリンヌクレオシドをプリン塩基に分解することや Lactobacillus 属も同様の酵素を持つことが報告されている。

更に,Lactococcus 属では,プリンヌクレオシドやプリン塩基を菌体内に取り込み,DNA 合成等に利用することが知られており,腸管内のプリン体量が lactobacilli 等の腸内細菌により減じる可能性がある。

腸内細菌は、プリン塩基に分解する酵素としてプリンヌクレオシダーゼをもつ菌が結構いるようです。Lactobacillus 属は腸内にたくさんいますが、これも強い味方になる。

Lactococcus 属なら、代謝してきたプリンヌクレオシドやプリン塩基を自分で使ってしまうのだから、腸内にあるプリン体量は減ることが期待できますね。lactobacilli は、乳酸菌、乳酸桿菌という意味です。

もともと、乳酸菌には、プリン塩基にする酵素を持つものがいて、さらに、プリン体を自分の中に取り込んで使ってしまう性質もあるということです。

それなら、その働きが特に強いものを探して、ヨーグルトに使おうということなのです。その結果、PA-3乳酸菌であるラクトバチルス・ガセリ PA-3株(Lactobacillus gasseri PA-3株)が発見されました。

PA-3乳酸菌はプリン体を吸収されにくいものに分解し、また自分でも使ってしまう

結果,Lactobacillus gasseri PA-3 (L. gasseri PA-3)を選抜した。L. gasseri PA-3 はアデノシンの他に主要なプリンヌクレオシドであるイノシン,グアノシンもプリン塩基に分解する活性を持つことから(データ省略),L. gasseri PA-3 は様々なプリンヌクレオシドを分解する菌株であることが考えられた。

これまでに Lactobacillus 属(種は不明)の菌株の中でヌクレオシダーゼ活性と高尿酸血症モデルにおける改善効果が確認されているものもある。しかし,この菌株のプリン体の取り込み能は不明である。

L. gasseri PA-3 はプリンヌクレオシド分解能とプリン体取り込み能の両者で検証されている点が既報の菌株とは異なる。

つまり、PA-3乳酸菌であるラクトバチルス・ガセリ PA-3株(Lactobacillus gasseri PA-3株)は、体に吸収されやすいさまざまなプリンヌクレオシドを、体に吸収されにくいプリン塩基に分解し、さらに、菌体内に取り込んでしまうので、腸内にあるプリン体を減らす効果があるということです。

PA-3ヨーグルトを食べてみた

パッケージを開けると、ホエイはわりと多めでした。ヨーグルト自体は固めかなと思いましたが、ヨーグルトらしい固さ。

味は、おいしいです。しつこくない程度にこってりとした感じがします。

原材料名:生乳、乳製品、砂糖、香料、甘味料(スクラロース)です。香料を使っているようですが、フタをはがした時にも、口に入れた時も特に感じませんでした。

スクラロースは、日本では1999年7月30日に食品添加物に指定されたもので、砂糖の600倍の甘さを持つものです。

しかし、砂糖のように体内で炭水化物として消化、吸収はされないため、生理的熱量はゼロです。スクラロースを摂取しても、24時間後にほぼ100%が代謝・分解されることなく排泄されるため血糖値やインスリン値にも影響を与えない、とあるので、われわれ中年以降の年代をターゲットにしているのでしょう。

甘味料や香料を入れないとどうなるのかなと思います。

16121202

PA-3ヨーグルトの成分分析

成分分析は、牛乳と変わりません。

栄養成分112gあたり
エネルギー 87kcal
たんぱく質 4.4g
脂質 2.5g
炭水化物 11.7g
ナトリウム 56mg
カルシウム 156mg

原材料に、香料と甘味料(スクラロース)が入っていました。スクラロース (sucralose) は、ウイキペディアによると、人工甘味料の一つであり、スクロース(ショ糖)の約600倍の甘味を持つ甘味料です。ショ糖は、いわゆる砂糖のことです。

製法は、ショ糖のヒドロキシ基のうち3つを選択的に塩素で置換することによって生産されます。他にはラフィノースの選択的塩素化による製法もあるとのこと。

人工甘味料というと、害はないのだろうかと思いましたが、ネットで調べると賛否両論、よく分かりません。塩素を問題視する人がいましたが、塩(NaCl)はどうなるんだと突っ込みを入れたくなります。

甘味料を入れるのは、仕上がりの酸味が強いのかなと思いました。

PA-3ヨーグルトの製造方法

特許明細書を読むと、ヨーグルトの製造について書かれていました。

2通りありました。

1つは、ラクトバチルス・ガセリ OLL2959株(Lactobacillus gasseri OLL2959株)とラクトバチルス・ブルガリカス JCM1002T株(Lactobacillus bulgaricus JCM1002T株)とストレプトコッカス・サーモフィルス ATCC19258株(Streptococcus thermophilus ATCC19258株)の3種類で発酵させます。

もう1つは、ラクトバチルス・オリス OLL2779株(Lactobacillus oris OLL2779株)とラクトバチルス・ブルガリカス JCM1002T株(Lactobacillus bulgaricus JCM1002T株)とストレプトコッカス・サーモフィルス ATCC19258株(Streptococcus thermophilus ATCC19258株)の3種類の菌で発酵させます。

菌株はともかく、ヨーグルト作りの基本の菌、ラクトバチルス・ブルガリカスとストレプトコッカス・サーモフィルスは必ず使いますね。

発酵させるときの温度は43℃。4時間で発酵してプレーンヨーグルトを得たと書かれていましたが、家庭で発酵させる時は、様子を見ながらもう少し長い方がよいのではないかと思います。

ヨーグルティアでPA-3ヨーグルトをつくる

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かなの実験室へようこそ! ラブレに再挑戦してみましたが、今回も失敗・・というわけで 今回は明治PA-3からヨーグルトを作ってみたいと思います。 PA-3は明治が4月7日に発売したばかりのプリン体と戦う乳酸菌PA-3をつかったヨーグルトです。 ...

私はまだ実験していませんが、特許明細書に書かれていた通り、43℃でやってみます。4時間で固まるかどうか分かりませんが、保温中の容器を持ち上げてみれば、どの程度固まったか分かります。それで時間を加減してみましょう。

まとめ

このブログを始めて、いろいろな本を読んだり、論文を斜め読みするようになりましたが、私、だんだん明治のファンになりつつあります。

熱心に仕事されているんだろうなあという感じがするのです。このヨーグルトも買ってきて、培養してみます。その記事は追加します。

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