日本酒の古酒をつくる

古酒は、しぼりたての酒を火入れして、それをタンクにあるいは、甕や樽、ビンに1年以上、常温で長期貯蔵したもののことをいいます。

古酒(これは澤乃井の蔵で、見学当時17年間熟成中の蔵守という酒)

日本酒はできたてを飲んでもおいしいが寝かすとどうなるか

日本酒の古酒(実業之日本社 2008)を読みました。

少し前にウイスキーの本を読んだら、日本酒の古酒にも興味をもつようになりました。何となくの印象なのですが、ウイスキーの仕込みに比べて日本酒の仕込みは繊細だなと思っています。

日本酒は、新酒ができると生酒が出回ったり、できあがりのアルコール度数が高くてすぐにおいしく飲めるのが特徴です。ウイスキーは製造にかかる時間が1とすると樽に入れて寝かせる時間が99かかるそうです。

同じように穀物で作られた酒です。ウイスキーと同じような考えで作ったらどんなものができるのでしょうね。

以前、勤めていた会社が関係して、米のパン、米の麺を試作したことがありました。もちもちして腹持ちもよく、とても美味しかったのです。今は米を食べない時代ですが、米って実はすごいものではないかと密かに思っています。

古酒とは

ページをめくると最初にこんなことが書かれています。

古酒とは、本来、日本酒を指すものであった。

昔ながらの手法で、酒を常温で寝かせると、
味わい、香り、色合いは劇的な変化を遂げる。
現代的な手法で、酒を冷蔵で寝かせると、
新酒のよさを保ったまま、円熟味を帯びた酒になる。

この本では、製造法で古酒を分類しています。しぼりたての酒を火入れして、それをタンクにあるいは、甕や樽、ビンに1年以上、常温で長期貯蔵したものを古酒。

同じくしぼりたての酒を火入れして、それをタンクにあるいは、甕や樽、ビンに1年以上、冷蔵(冷蔵庫、洞窟)で長期貯蔵したものを熟成酒と呼んでいます。

古酒の保存

日本酒はワインとは違い、常温で保存しても劣化することがないそうです。そのため自家熟成をするマニアも多数(?)存在します。

ただし、「生酒」は劣化しやすいので自家熟成には向かないそうです。「生酒」は、一切加熱処理(火入れ)を行ってない日本酒のことです。

前にも書きましたが、以前、勤めていた会社で、ノベルティに作った純米酒が数年忘れられていた後、見つかりました。開けてみたらひどいにおいで少しなめてみたらひどい味でよく口をすすいだくらいでした。あれは、生酒だったのでしょうか?

生酒のように「生」がついている酒に、生貯蔵酒と生詰めがありますが、この2つは火入れをしてあります。「生酒」だけが一切加熱処理していない酒です。

自家熟成をする場合、直射日光や蛍光灯の光が当たらない場所であれば、温湿度にはそれほど気を遣わなくてよいそうです。

健康への影響は?

お酒と健康はいつもついてまわります。日本酒は美味しいですが、楽しく飲み過ぎると確実に翌日に残ってしまいます。しかし、古酒は熟成によって一部アルコールが分解されているので体に負担がすくないといわれているそうです。古酒は酔いが早く回り、代謝されるのも早いとか。

私は、この本の中で、黒松翁玄米ワイン「シャトウ玄」が妙に気になりました。伝統的な日本酒からすると少々邪道かもしれません。なぜ興味があるかというと、私が毎日玄米を食べているからです。香りは日本酒で口に含むと白ワインのような酸味があるとか。飲んでみたい。

蔵元は、合名会社森本仙右衛門商店です。本では、熟成年数27年、720mlで小売価格4200円とありますが、完売したのでしょう。サイトでは、2005年のラベルがついたものが、500ml1620円(消費税込)となっていました。

長期熟成酒研究会

日本酒の古酒をネット検索すると一番に長期熟成酒研究会のサイトが出て来ます。この研究会は、日本酒の熟成古酒の普及と製造技術の向上を主な目的として、小売店、酒販店、流通業者、酒造会社によって設立された団体だそうです。

研究会の定義では、「満3年以上蔵元で熟成させた、糖類添加酒を除く清酒」を熟成古酒としています。

自宅で日本酒を熟成させる方法を少し教えてくれてます。(出典

・無濾過のものを選ぶ
・多少甘口で酸度のあるものを選ぶ
・新聞紙で包んだり、箱に入れる
・立てて保存
・純米酒・本醸造は常温保管
・大吟醸酒・吟醸酒は、最初の1年間は、冷蔵庫の中など4度くらいの低温で寝かせ、1年過ぎたら15~18度にする

熟成古酒とはのページには、熟成古酒は身体に優しいお酒という記事が出ています。

その理由として、熟成古酒に含まれるアルコールそのものの熟成に関して、2つの変化が考えられるそうです。

一つは、エチルアルコール分子を取り込んでいる水の集合が大きくなり、まろやかになる。
もう一つは、水の分子の集合の隙間にアルコール分子が入り込み、まろやかになる。

酒に振動を与えるとおいしくなる

これを書いていて、昔読んだ、うまい酒は、なぜうまい―「さらば悪酔い・二日酔い」の科学 (カッパ・サイエンス 1994) を思い出しました。酒は振るほどうまくなるという話です。その経験の背景に、水とアルコール分子の混ざり方が細かくなるとまろやかになると理論が紹介されていました。

この本は、もう古本しか手に入りませんから、図書館で探した方が早いと思います。

確か、著者がHOYAかどこかのメーカーと一緒に開発した、お酒に超音波振動させる器具が一時発売されていたように思います。

探してみたら、別なメーカーですが、現在も、超音波を当てる器具がありました。酒熟成器 ”速熟香果”という商品でした。

古酒の熟成に、このような装置を一緒に使うと面白そうですね。

まとめ

この後、古酒を何度か味わう機会がありましたが、私はあまり好きではありません。紹興酒が好きな方は、おすすめできます。色も味も似てくるようです。私は紹興酒が好きではないので、どうも口に合いませんでした。

日本酒について他にも記事を書いています。日本酒についての記事をお読み下さい。

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