肥満すると腸内で増えるアリアケ菌がガンを誘発するらしい

相変わらずやせる! 若返る! 病気を防ぐ! 腸内フローラ10の真実を読んでいますが、この本は、短い記事でも実に興味深いことを教えてくれます。今は興味があれば、時間をかけてネット検索することができるので、さらにたくさんのことを知ることができます。

わずか4ページの記事でしたが、「がんを引き起こす腸内細菌が見つかった!」にはとても興味を持ちました。

最近、別な本を読んでいて、肥満とがんが関係がある話を読みました。その本の中では、どちらかというと肥満が悪いというより、高脂肪の食べ物がよくないという話でした。疫学調査の話だったので、たくさんの人を長く追いかけて生活調査した結果です。

しかし、「がんを引き起こす腸内細菌が見つかった!」では、もっと踏み込んで、肥満が発がんリスクを高めるのは、腸内細菌とその代謝物が関係しているという原英二先生の研究が紹介されていました。

この記事では、大阪大学の原英二先生の書かれた肥満と肝がん:腸内細菌と細胞老化の関与についてを読ませていただいて、私が理解できたことを書きます。

私もやや肥満体なのですが、同じような方、高脂肪食をとらないようにして、やせた方がよいと思います。長いですが、そのつもりで書きます。

肥満と発がん

あまり知られていないことですが、肥満になるとがんの発症リスクが上がることが以前から指摘されていました。

肝臓がん、子宮がん、食道がんなど数多くのがんで確認されており、肥満になると肝臓がんのリスクが2.2倍になったというデータもあります。

しかし、なぜ肥満になるとがんになりやすいのか、その原因についてはほとんど分かっていませんでした。

肥満すると炎症がひどくなる?

肥満すると、炎症反応が亢進することが知られていました。これは、血液検査で分かるようです。なんらかの炎症が起きていてしかもその度合いが高くなるということです。

炎症が長く続くとがんになりやすいです。肝炎を長く患うと肝がんになりやすいのはよく知られています。

肥満するとがんになりやすくなるのは、炎症反応が亢進するからではないかといわれていました。

IL-6やPAI-1などの炎症性サイトカイン等は、肥満による発がん促進に深く関与していることが以前から知られていました。

サイトカインとは、免疫システムの細胞から分泌されるタンパク質で、標的細胞は特定されない情報伝達をするものをいいます。炎症を起こさせる情報伝達をする物質だと思っておけばよいと思います。

炎症は細胞老化のせい?

ところが、IL-6やPAI-1などの炎症性サイトカイン等は、「細胞老化」という現象にも関係が深い物質でした。

細胞老化とは、正常細胞に修復不可能なほど大きなDNAダメージが生じた場合に、それ以後、細胞増殖を停止してしまう状態のことをいいます。

細胞老化は、体を守るため、異常を持った細胞が増殖してがん化することを防ぐ重要な仕組みであると長い間考えられてきました。

しかし、細胞老化を起こした細胞は、すぐに死滅せず、炎症や発がんを促進するさまざ まな分泌因子を分泌するSASP(senescence-associated:老化に関係した secretory: 分泌腺phenotype:表現系)と呼ばれる現象を引き起こすようになることが、分かってきました。

そこで、細胞老化とそれに伴うSASPという現象が肥満による発がん促進に深く関与しているのではないかという仮説が立てられました。

実験は、マウスを使って発がん物質であるDMBAという物質を背中に塗布し、高脂肪食と普通食を与えたグループで30週にわたり観察されました。

DMBAは、ras遺伝子を傷つける化学物質です。

ras遺伝子は、多くのヒトのがんで高頻度に変異が見つかる遺伝子です。

つまり、がんになると高頻度に変異が見つかるras遺伝子を傷つける発がん物質を塗布することで、発がんを誘導しているのです。もし、高脂肪食を摂って肥満していると発がんしやすくなるなら、発がん率が高まります。

この時、細胞老化誘導遺伝子が働いているかどうかを発光シグナルとして検出できる、細胞老化イメージングマウスを使って観察されました。すごい仕組みですね。

その結果、高脂肪食摂取群のすべてのマウスの肝臓に強い発光シグナルが観察され、さらに肝がんが形成されていることがわかりました。

また、肥満遺伝子をもつマウスに普通食を与えて同じように実験が行われました。

obese(肥満した)から名づけられた肥満遺伝子(ob遺伝子)をもつob/obマウスは、ob遺伝子の産物であるホルモン、レプチンが作られないために食欲が抑制できず、正常マウスに比べて体重が3倍以上、体脂肪量が5倍以上にもなります。

ob/obマウスは、高脂肪食でなく普通食を過食した結果、高脂肪食摂取群のマウスと同様、肝臓での強い発光シグナルと、肝がんが形成されていることが分かりました。

一方、DMBAを背中に塗布されても、普通食を与えられて肥満していないマウスには、肝がんの発症は見られませんでした。

これらの結果から、食事内容は関係なく、肥満することが、細胞老化を誘導し、発がんが促進されることが分かりました。

肝星細胞が細胞老化する

次に、肝臓のどの細胞が細胞老化を起こしているか調べてみると、肝星細胞が細胞老化を起こしていることが明らかになりました。

肝星細胞とは、初めて聞くことばです。

ミノファーゲン製薬のサイトに詳しい説明がありました。

肝臓の主体は、肝細胞であり、肝星細胞は、肝細胞と類洞の間にある類洞内皮細胞を取り巻く細胞とのことなので、肝臓の中では少数派の細胞なのだと思います。

肥満により肝星細胞にDNAダメージが起こり、細胞老化とそれに伴うSASPが起こることで、周囲の肝細胞の発がんが促進されたのではないかと仮説が立てられました。

そこで、主要なSASP 因子であり、他のさまざまなSASP因子の発現誘導に必要なことが知られているIL-1(IL-1β)を欠損したノックアウトマウスを用いて実験が行われました。

IL-1(IL-1β)を欠損したノックアウトマウスとは、炎症反応に深く関与するサイトカインIL-1(インターロイキン-1) (IL-1β) を作る遺伝子を無効化された遺伝子組み換えマウスのことです。

実験の結果、遺伝子組み換えしていないマウスと異なり、ノックアウトマウスでは、肥満による肝星細胞のSASPが起こらず、肝がんの発症率も著しく低下することがわかりました。

さらに、肥満マウスの肝星細胞を死滅させてみたところ、肝がんの発症率が著しく低下することがわかりました。

これらの実験結果から、肥満によって細胞老化を起こした肝星細胞がSASPを発現させて周囲に存在する肝細胞のがん化を促進していることが明らかになりました。

長いですが、次から腸内細菌が出て来ます。

肥満すると腸内フローラが変化する

腸内細菌の構成は、ヨーグルトを食べたぐらいではなかなか変化しないといわれますが、一方では、食事や栄養状態によって大きく変化することが知られています。もちろん長い時間がかかると思います。

人の腸では肥満に伴いグラム陰性菌が減少し、逆にグラム陽性菌の割合が著しく増加することが明らかにされていて、同じような傾向が、肥満遺伝子を持つob/obマウスでも確認されています。

グラム陽性菌とグラム陰性菌の区別は、グラム染色で色がつくかつかないかということです。ここでは、菌の種類のバランスが変わるのだと思っておきます。

普通食を摂取したマウスの腸内細菌では、グラム陽性菌とグラム陰性菌の割合はそれぞれ50%程度とほぼ等しかったのに対し、高脂肪食を摂取して肥満したマウスではグラム陽性菌が90%以上を占めるまでに増加していることが明らかになりました。

特に、普通食を摂取したマウスではほとんど検出されなかったクロストリジウム(Clostridium)クラスターXIに分類されるグラム陽性菌が、高脂肪食摂取マウスで増加していることが明らかになりました。この結果は、人や肥満遺伝子を持つob/obマウスを用いた以前の報告とも一致しました。

つまり、肥満すると腸内でグラム陽性菌の割合が著しく増えるなら、グラム陽性菌がつくる代謝物が血液に乗って肝臓に運ばれ、肝星細胞にSASPを誘導し、周囲に存在する肝細胞のがん化を促進したのではないかと考えられたのです。

そこで、グラム陽性菌だけを特異的に除去する抗生物質バンコマイシンを肥満マウスに投与したところ、肝がんの発症や、肝星細胞の細胞老化とSASPの誘導が著しく抑制されることがわかりました。

さらに、無菌マウスを使った実験でも同様の結果が得られました。無菌マウスは、文字通り腸内にもどこにも菌がいないマウスです。無菌マウスを肥満させても肝がんの発症や、肝星細胞の細胞老化とSASPの誘導がほとんどなかったということでしょう。

DCAが肝星細胞に細胞老化を誘導

普通食マウスと高脂肪食マウスの血清を比較すると、二次胆汁酸の一つであるデオキシコール酸(deoxycholic acid:DCA)が肥満マウスの血中で顕著に増加していることがわかりました。

胆汁酸は、肝臓の肝細胞でコレステロールから生成され、胆汁として胆嚢に蓄えられ、食事をすると十二指腸に分泌されるます。脂肪を消化するのに必要です。
ヒトの胆汁酸には、肝臓で合成される一次胆汁酸と、腸内細菌によって一次胆汁酸から生成される二次胆汁酸があります。

一次胆汁酸は、ほとんど回腸末端部から吸収され再び肝臓に戻ります。小腸は、十二指腸から空調、回腸と続き、その先は大腸につながります。空腸末端部とは、小腸の末端部で大腸に入る手前です。

しかし、一部の胆汁酸は大腸に移動するため、大腸で一部の腸内細菌によってDCAなど二次胆汁酸に変換されます。

DCAは活性酸素種を介して細胞にDNAダメージを与えることが報告されており、肥満による肝がんの形成のためには、DCAが重要な役割を担っている可能性が高いと考えられました。

そこで、肥満マウス にDCAの産生を阻害する物質や、胆汁酸を体外へ排出させる物質を投与して体内のDCA濃度を低下させると、肝がんの発症率およびSASPを起こした肝星細胞の数が著しく低下することが分かりました。

さらに、DCAだけが肝がんの発症に関係しているのか、確かめる実験も行われました。腸内細菌を除去してしまうのです。

肥満マウスに抗生物質を投与して腸内細菌を除去し、同時に化学合成されたDCAを経口投与しておくと、肝がんの発症率が低下せず、肝がんの発症した部分で肝星細胞の細胞老化とSASPも観察されました。

以上の実験結果から、肥満することで増加した腸内細菌が産生するDCAが肝臓に運ばれ、肝星細胞に細胞老化およびSASPを誘導することで肝がんの発症を促進していることが分かりました。

肥満マウスで増加していたクロストリジウムクラスターXIに属する菌は、クロストリジウム アリアケ(Clostridium ariake)と命名されました。

肥満している人は痩せよう

この論文は、何度も何度も読ませていただきました。腸内細菌と聞くと、ヨーグルトの本ばかり読んでいたので自分の味方だと思っていたのです。しかし、肥満している人には敵になりますね。

しかし、食べ物の種類を変えて、食べ過ぎをやめると腸内細菌の構成が変わります。発酵食品を食べたりすることも大切ですが、高脂肪にならないように太らないように食べることが大切なのだと思いました。

私と同じように太っている方、やせましょう。

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