生ゴミなど有機性廃棄物を発酵処理するハザカプラント

バクテリアを呼ぶ男―究極の生ゴミ革命という本を読みました。

著者の葉坂勝さんは、宮城県柴田郡村田町の(株)県南衛生工業の社長さんであり、有機廃棄物を25日間で高速発酵処理するハザカプラントを発明した方です。是非、ハザカプラントのサイトをご覧下さい。すごいなと思いました。

有機性廃棄物というのは、トイレの屎尿、家庭やレストランなどからの生ゴミ、街路樹などの刈草、選定屑、木屑、籾殻、浄化センターからの脱水汚泥、海産廃棄物、食品工場からの廃棄物、家畜糞尿などのことをいうそうです。これらは全て堆肥に変えられるそうです。

さらに、HPに書かれていた特許「有機性排出物の発酵処理法」を調べて読んでみると、有機物を完全に二酸化炭素と水に分解し、有機物を含む堆肥ではなく無機物にすることも可能になったようです。

今回は、葉坂勝さんと「ハザカプラント」について書きます。

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有機性廃棄物を堆肥化するまで

葉坂勝さんは、バキュームカー一台の清掃業者として事業をスタートさせました。清掃業者は、汚泥処理場などの処理処分施設を持つか、使えないと営業が許可されないらしいのですが、葉坂氏は、埋め立ての土地に恵まれ、順調に事業をのばして行きました。

扱っているのは有機性の廃棄物ですから、土地に入れすぎなければ何年か経つと肥料として効いてくるのです。ところが、ある時から土地が借りられなくなり、葉坂さんは、廃棄物の堆肥化を考え始めます。

この時は、浄化槽の管理をしていた経験が生きました。浄化槽を観察していて、浄化とバクテリアの関係に気がついていたのです。そこで、何軒も農家を回って、堆肥の作り方から、堆肥が実際にできあがっていく過程を観察することになりました。

農家から聞いた話は、堆肥ができあがるまでには、4,5年かかるということでした。普通の農家は、農産物の収穫期に出る残りかすや、盆、正月、祭りの時にでるゴミを積んで、それに季節の変わり目ごとに糞尿をかけ、切り返しをします。

そうすると、何日かして湯気が立ち(発酵している)、しばらくすると収まります。葉坂さんは、湯気がたたない時期は、バクテリアが休んでいること、堆肥が完熟になるまでに、湯気のたつ回数が20回であることに気がつき、20回毎日湯気をたたせることができるなら、完熟堆肥は、20日くらいでできると考えました。

この、湯気がでるところを観察した話が面白いので、ちょっと長くなりますが、引用
します。

堆肥にびたびたにかけられたし尿がわらなどの積んだものを濡らして溜まっているのですが、見たところ昨日も今日も変わらなかったのが、ある時期にきて、そのわらや積み上げられたものの表面がスーッと乾いた時があったのです。内部はまだ濡れているのですが、その時点から急に湯気が立ち始めたのです。

・・・(中略)・・・

その時、ふと思い出したのは、学校の理科の実験でやったことのある毛細管現象のことでした。狭い隙間に水分が溜まっている。まさに毛細管現象で溜まっているのです。もしこの水分を取り除くことができれば、その部分から発酵が始まるのではないか、と気づいたのです。

・・・(中略)・・・

要は、いい加減に混ぜた廃棄物を発酵槽に入れたなら、できるだけ早く水分を抜いて発酵に必要な条件が保たれるようにすればいいわけです。そのためにはどうすればいいのか。毛細管現象というのは、ある程度の隙間があればこそ、表面張力で水分を保つのですから、そこへ空気を送ってやればいい。空気は上に登って、毛細管現象を保てなくなった水が落ちる。これを私は空気と水のすれ違い現象と名づけました。そうなれば自然の法則に基づいた発酵の条件が自ずからでき上がるはずだ、と私は確信したのです。

これがもとになって、ハザカプラントが生まれました。

また、葉坂さんは、浄化槽の管理の経験から、バクテリアは、生存条件さえ整えれば勝手に増えてくるもので、バクテリアだけをたくさん加えても意味がないと書いています。

ハザカプラント

さて、葉坂さんの発明したハザカプラント、どんなものなんでしょう。サイトには写真付きの説明がありました。

幅3メータ、深さ2メータ、長さ100メータの直線上のレーン(発酵槽)の上に、撹拌機が長さ方向に自在に移動できるように取り付けられています。また、このレーンは、かまぼこ型の透明なドームでおおわれています。基本的には、ただこれだけです。

また、レーンの深さが2メータというのには、意味があって、彼が堆肥を観察していたときに、一間(約1.8メータ)の高さに積まれていないと、うまく発酵しないことに気付いたからだそうです。

レーンの入り口からは、水産、食肉、そうざい等の工場からの有害物質を含まない廃棄物、製紙工場からでる製品かす、汚水汚泥、などなどその他いろいろなものが放り込まれます。

それらは、水分調整材と一緒にされ、撹拌機で後方へ、一回につき、2メータづつ切りかえされながら送られていきます。一日2回で4メータ、20日で80メータのレーンの長さでよいわけですが、予備的に5日分、20メータ足してあるようです。

投入された廃棄物は、一日たつと、底では80℃くらいの温度になり、それが10日間続きます。(40メータ地点)そうすると、水分がどんどん抜けて乾燥してきますが、その時点では、まだ有機物は完全に分解されておらず、使えません。

そこで、水分補給のために、し尿、家畜の尿、屠殺場の血液、廃油、牛乳、ジュースなどの期限切れのものなどを原液のまま、撒きます。そうすると、これが栄養ドリンクのような働きをして、また、もうもうと水蒸気がたつのだそうです。

通常、これら水がわりに入れたものは、水処理施設であるところまで浄化しないと放流できないのですが、このプラントでは、廃棄物の上に撒かれてしまうため、汚水が一切でないのだそうです。すごいですね。

おまけに、バクテリアの勢いがすごくて、臭いもでないらしいです。こうして、20日、80メータ地点で、発酵も終わり、湯気がでなくなって堆肥になります。

この堆肥には、1グラム中、10億の土壌有効バクテリアが棲んでいるそうです。有害なバクテリアは、高い温度で殺菌されてしまうのと、有効バクテリアに食われてしまい、ほとんどいないそうです。

これらバクテリアに関しては、投入口から、10メータ、50メータ、70メータ地点で、種類の相が変わるらしいのですが、この辺の学問的裏付けは、まだできていないそうです。こうして堆肥ができます。

そして、最後にふるいにかけられて、堆肥以外のものが、選別されます。ビニール袋などは、表面に付着していた有機物が、きれいに分解され、クリーニングされたような状態で選別されるのだそうです。

しかし、低コストで、しかも廃棄物を細かく選別しないで使え、最後には、完熟堆肥がえられるというプラント、魅力ありますね。こういうのが真っ先に必要なのは、大都市近郊ではないでしょうか。

ハザカプラントの発明のポイントの一つは、レーンの下部から、エアーが送り込まれること、そのエアーが圧縮空気であることのようです。

エアーを送り込むのは、一つは、酸素を供給して、好気性の発酵をさせるためです。そして、もう一つの意味は、その土地特有の菌をそれら廃棄物に継続的に送り込むことです。

また、エアーをレーン下部から上方に送るのは、表面張力の解消のためでしょう。水切りです。このあたりは、風量とかいろいろなノウハウがあるんだろうなという感じがします。

次に、そのエアーを圧縮するのは、加温のためです。発酵に適切な温度を与えてやるということです。また、熱源を使って加温しているわけではないので、空気中の菌の生存に影響を与えないということも考えられているようです。

ハザカプラントどうでしょう。構造はとても簡単、必要な装置も少なくて、低コスト。もちろんいろんなノウハウはあるんでしょうけど、計器やボタンがたくさんついた機械のイメージからはほど遠いものです。一度見てみたいものです。

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