今回も、微生物を培養して食料とする話です。微生物からタンパク質をつくるで酵母を培養してタンパク質を得る話を書きました。その時に、ふとスピルリナのことを思い出しました。
スピルリナはサプリメントとしてどこでも手に入りますが、私はサプリメントとしてのスピルリナには興味はありません。
毎日たべる食事の、おかずの一部にならないかなと時々思っているのです。そのためには、サプリメントでは高いおかずになるので、自分で培養することができないのだろうかと考えています。
この記事では、スピルリナについて、栄養成分、増殖するスピード、培養しやすいのかどうかについて調べて書きます。
スピルリナとは
スピルリナについて調べていたら、この本に詳しく説明されていました。
スピルリナは強アルカリ性の特殊な水質で生育します。この特徴が、他の細菌や藻類とあまり競争せずに生きてこられた理由です。また、培養しやすいということでもあります。
スピルリナの形態はその名の通り直径5~8μmの円筒状の細胞が,らせん形(スパイラル)に連なった糸状をしています。
長さは300μmから長いものでは1mmになります。らせんの直径は30~70μmで,糸状体の細胞内にガス胞をもち,水中に浮遊して生活しています。
実は,近年の分類学的研究から,健康食品や青色色素の原料とされている「スピルリナ」はスピルリナ属ではなく,アルスロスピラ属のマイクロアルジェであることが分かっています。
しかし,すでに一般名として定着しているためスピルリナの呼称が用いられています。(中略)
現在,スピルリナの自生が確認されるのは主に熱帯地方の湖で,それも強アルカリ性の特殊な水質の湖に限られます。こうした環境が,他の細菌や藻類に侵されることなく長い間絶えずに生き続けてこられた理由の一つと考えられています。
色素はオレンジ色のカルテノイドや青色のフィコシアニンをもっています。フラミンゴがピンク色をしているのは食べているスピルリナの影響なのです。
中央アフリカにあるチャド湖周辺には小さな塩湖が点在しており,スピルリナの大量発生が繰り返されていました。
住民は古くからこれを貴重な栄養源(特にタンパク質源)として利用していました。湖面に浮遊しているスピルリナを藁で編んだ籠で採取し,主食のでんぷん質に混ぜてケーキ状に調理して食べています。
1963年にフランス政府が,かつて植民地だったチャド湖周辺の住民の栄養状態が,近隣諸国に比べて非常に良いことから,彼らが日常食べているチャド湖のスピルリナに注目して調査しました。
その結果,スピルリナの高い栄養価が明らかとなり,特にプロテイン・スコアが80を超えるという良質のタンパク質を含むことが分かりました。
スピルリナの味は、まずくもおいしくもありませんが、タブレットが水にぬれると、とても鮮やかな青色がしみ出してきます。初めて見たときはびっくりしました。
そのせいなのか、大日本インキ化学工業(現DIC)が食品としての工業的生産を世界で初めて行ったとあります。きっともともと青色インクの原料としていたのでしょうね。
スピルリナの成分
さて、次に栄養成分ですが、簡単な表を載せておきます。主要成分とビタミンは、カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(上) から、ミネラルは、DICスピルリナのサイトにあったスピルリナの優れた栄養バランスから教えていただきました。この成分表は一度ご覧になる価値があります。すごいです。
タンパク質 | 70g | |||||
糖質 | 20g | |||||
繊維 | 2g | |||||
脂質 | 2g | |||||
ビタミン | A,B1,B6,B12,E | |||||
ミネラル | カルシウム リン 鉄 ナトリウム カリウム マグネシウム 亜鉛 |
成分表を見ると、タンパク質がダントツに多いです。酵母は、100g中40gでしたが、スピルリナは70gもあります。
一日あたりのタンパク質平均必要量は、成人男性で50グラム、成人女性で40グラム(出典)とされていますから、スピルリナだけで、タンパク質をとろうとしても70g食べればまかなえます。
またスピルリナには葉緑素が含まれています。根拠は分かりませんが、昔から葉緑素を含むものは血液をきれいにするといわれています。葉ものの野菜を食べることを兼ねることができそうです。
おひたしを食べるのは葉緑素を食べることという記事を書きました。
また、スピルリナの細胞壁は、他の細菌と同様に糖タンパクを含み、ヒトの消化酵素で容易に消化されるので、食品として利用しやすいそうです。
スピルリナの増殖速度
単細胞生物は、2倍、2倍、2倍・・・と増えていきます。増殖の条件が整っていればとても速いスピードで量が増えていきます。
スピルリナの増殖スピードは、ネットで探しましたが、今のところ分かりません。また分かればこの部分は訂正しておきます。
カラー図解 EURO版 バイオテクノロジーの教科書(上)では、藻類は6時間で重さが2倍になると書かれていたので、それに準ずると思っておきましょう。つまり6時間毎に分裂するということです。
一方、牧草が重さ2倍になるには2週間かかり、ニワトリは4週間、牛は2ヶ月かかるそうです。畜産に使用するえさは、農産物ですから、その農産物を栽培することから考えると、とても時間がかかりロスが多いことが分かります。
スピルリナを培養するには
2年前にスピルリナを培養するキットはないかネットで調べたときは1件もヒットしませんでした。しかし、英語で検索をかけると相当な数がヒットしました。
スピルリナ培養に必要なものは、太陽光、二酸化炭素、水、温度条件、そして高いアルカリ性(pH9-11)となるもともと生息していた環境にある塩類です。
それほどむずかしいとは思えません。
培養キットは販売されてないかなと思って検索したら、出講社さんのサイトがありました。ただ、残念なことに現在はスピルリナの販売を停止されているのと、注意書きとして、「培養したスピルリナは飲んだり食べたりしないようにしてください。」と書かれているので、それは守らなくてはいけません。
代わりにこちらが紹介されていました。
スピルリナにはずっと興味をもっているので、新しい話が見つかれば記事を更新します。
スピルリナに問題があるとすると、酵母と同じで、核酸が多く含まれていると尿酸値を上げるかもしれません。
培養した生のスピルリナが手に入ります
現在、生のスピルリナが入手できることが分かりました。こちらは食べられます。とても興味がありますが、私はまだ知ったばかりなので食べた(飲む?)ことはありません。味もにおいもほとんどないそうです。
基本的にサプリメントは嫌いなので紹介しないのですが、生のスピルリナは、面白い。興味があります。
まとめ
スピルリナはいまはサプリメントの扱いですが、もともとは、アフリカや中南米の湖に自生する熱帯性の藻類で、現地の人々の食糧源だったようです。
増えるスピードが早く、農業のように土壌は必要でなく、しかも塩類さえ整えればよいので条件さえ整えれば培養できると思います。
非常食や、食の進まないお年寄りの良質なタンパク源になり得るだろうなと思います。