酒粕は買ったことがありません。しかし、調べてみると魅力が一杯あります。酒粕の栄養、酒粕の効能、酒粕のレシピ、酒粕パックなど酒粕の魅力について調べてみました。
農大の小泉先生は、実家が造り酒屋だったので、子供の時から酒粕をおやつ代わりに食べ、酒くさい息を吐いていたそうです。酒粕はアルコール度数が8%くらいあり、ビール(5~6%)より度数が高いのです。
酒粕からアルコールを蒸留するとアルコール度数はだいたい3倍になります。以前こんな記事を書きました。
酒粕のおいしいレシピ 寺田本家【蔵人直伝の酒粕料理帖】という魅力的な本を見つけてしまいました。さすが寺田本家で蔵人をやっている人が書いた本だと思いました。写真もきれいです。
読んでみると、酒粕は栄養が豊富なんですね。
酒粕の栄養
酒粕は、お酒を搾ったあとに残るものです。お米が原料ですが、麹がデンプンを糖に変え、そこに乳酸菌が出て来て乳酸を作りながら環境を整え、酵母が増えてアルコールをつくります。
酵母は70%がタンパク質なので、酵母が増えるとタンパク質(アミノ酸)が増えます。酒粕1g中には、酵母が2~6億個いるそうですよ。
酒粕100gにはタンパク質が15gもある
本には、日本食品標準成分表2010からのデータがでていましたが、せっかくなので、最新の2015からのデータを調べてみましたが、数字に変化はありませんでした。
酒粕 | 精白米(ご飯) | 玄米(ご飯) | |
エネルギー | 227kcal | 168kcal | 165kcal |
タンパク質 | 14.9g | 2.5g | 2.8g |
食物繊維 | 5.2g | 0.3g | 2.4g |
ビタミンB1 | 0.03mg | 0.02mg | 0.16mg |
ビタミンB2 | 0.26mg | 0.01mg | 0.02mg |
ビタミンB6 | 0.94mg | 0.02mg | 0.21mg |
ナイアシン | 2.0mg | 0.2mg | 2.9mg |
葉酸 | 170μg | 3μg | 10μg |
パントテン酸 | 0.48mg | 0.25mg | 0.65mg |
酒粕は、もろみからお酒をしぼったかすです。でんぷんは、糖分として出ていって(お酒になって)しまいます。残るのは、タンパク質に脂質に食物繊維など。
それで、カロリーが増え、タンパク質が増え、食物繊維が増え、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸が増えています。酒粕のカロリーは100gあたり227kcalです。
タンパク質が増えているので、もちろんアミノ酸もご飯とは比べものにならないくらい増えています。必須アミノ酸はすべて含まれています。
ここで出て来たビタミンについて簡単に役目を書いておきます。
- ビタミンB1:糖代謝、特に、ピルビン酸をアセチルCoAに変化させるのに必要。不足すると脚気に。
- ビタミンB2:脂質の代謝に必要。欠乏すると皮膚炎に。
- ビタミンB6:アミノ酸代謝に必要。欠乏すると貧血に。
- ナイアシン:アミノ酸、炭水化物、脂肪の代謝に必要。欠乏すると皮膚炎に。
- 葉酸:核酸合成に関わる。欠乏すると貧血に。
- パントテン酸:補酵素A(CoA)の構成成分。アセチルCoAを作るために必要。不足するとエネルギー代謝が行われなくなる。(図解入門よくわかる栄養学の基本としくみ)
酵母が増えると、タンパク質(アミノ酸)が増えると覚えておきましょう。
酒粕の効能
酒粕の効能は、大まかに酵素とレジスタントプロテインによって得られます。
酒粕は酵素のかたまり
酒粕は、もろみから日本酒をしぼったものですから、麹、乳酸菌、酵母など微生物がつくった酵素がたくさん含まれています。おなかの調子がすぐれないとき、生で少し食べれば調子を整えてくれます。大根おろしを食べると胃腸がすーっとしますが、それと同じような効果が期待できます。
ただし、生の酒粕にはアルコールが8%もありますから、ヨーグルトや豆乳にいれて場合によってはミキサーにかけて飲むとよいかもしれません。しかし、顔が赤くなって気持ちよくなる酵素ドリンクになってしまうかも。
コレステロールを下げるレジスタントプロテイン
酒粕に含まれるレジスタントプロテインがその主役です。プロテインですからタンパク質なのに、体内の消化酵素で分解されにくく食物繊維のような働きをします。
レジスタントプロテインは、食べたものに含まれている油をがっちりつかまえて外に出します。LDLコレステロール値を下げ、結果的にお通じをよくするそうです。
もっともお通じは、酵素も関係しているでしょう。
その他には、清酒・酒粕中の生理活性物質の解明によれば、酒粕にはインスリン様物質が含まれ、また、癌に対する抵抗力を増強するNK細胞の働きを強める物質があることが分かっています。
酒粕レシピこれぞの二品
この本には、いろいろなレシピが出ています。写真もきれいで真似して作ってみたくなりますよ。しかし、著者が男性であるからこそのレシピがありました。私は、一番これにひかれました。
酒粕網焼き
板酒粕を好みの形に切る。水分の少ない酒粕がおすすめ。網にのせて両面を香ばしく焼く。まずは塩で、そして醤油で試し、好みでわさび醤油、黒砂糖などをつけて食べる。
酒粕を焼いて食べるなんて初めて聞きました。目の前に酒粕があっても焼くなんて考えは出て来ません。しかし、においを想像しただけで・・・唸ってしまいました。そして、もう一つ。
酒粕素揚げ
板酒粕を好みの形に切り、中温の油で素揚げする。好みで焼き塩などをつけて食べる。
酒粕を焼いていいなら、揚げて悪いわけがありません。こちらは熟成したチーズのような味わいになるそうです。
酒粕パックはのんべの女性用には純米酒と純米酒酒粕がよいかも
今は日本酒からも健康成分が抽出されて化粧品などに活用される時代ですが、酒粕パックというのがあるそうです。
ネットを見ると、酒粕に精製水を加えて混ぜるものが出て来ますが、もう少し効果がありそう?なのはないかなと探してみました。お酒をたしなむ女性用のレシピかもしれませんが、あくまでもご参考まで。
純米酒と純米酒の酒粕を混ぜてパックを作る方法がありました。
- 純米酒:30g
- 純米酒酒粕:200g
これをかき混ぜます。これは重量比だと思っていただいて、たくさんつくりたい場合は、それぞれ何倍かすればよいです。ジュースを作るミキサーを使って60秒ミキシングするとよくなじむようです。
純米酒というのがミソで、ラベルを見て醸造用アルコールを添加していないものをお使い下さい。お肌はそれぞれ違って、肌がとても弱いかたもいらっしゃるので、肌に反応がでないかテストしてからお使いください。
また、保存はお酒と同じですから透明な容器でなく日本酒のビンのように遮光できるものを用意して、保存は冷蔵がよいようです。何しろ、純米酒と酒粕ですから、使う前にちょっとなめてみたら日本酒好きなら品質の変化が分かりますね。
使い方は、普通のパックと同じ。洗顔後、顔に塗って3~5分間そのままにして、その後、水又は温水にて洗い流すということのようです。
私は男なのでパックは使いませんからあくまでもご参考まで。
酒粕から甘酒をつくる
昔、といってもかなり昔のことで私が小学生ぐらいのことですが、昭和40年代は、甘酒といえば、酒粕から作るものだったと思います。今のようなワインボトルに入った高級な(?)甘酒はなく、酒粕のにおいがする甘酒ばかりでした。
私は子供の頃、発酵臭があまり好きでなかったので、麹くさい甘酒を飲まなくなりました。
ネットで酒造会社のサイトを行き来しましたが、酒粕から甘酒を作るのは簡単です。
- 酒粕200g
- 水1リットル
- 砂糖100g(要調整)
- 塩少々
- ショウガ少々
これでできるようです。材料を用意して鍋で全部煮てちょうどよいところで完了です。
日本酒について他にも記事を書いています。日本酒についての記事をお読み下さい。