簡単ですぐに使えるぬか床の作り方

ぬか床は1週間くらいかけて準備するものですが、その日に作ってその日から使えるぬか床の作り方が書かれていました。いりぬかの他、米麹に酒粕、酵母を濾過していない生ビールに、なんと新ビオフェルミンS細粒を1/2本使うのが特徴です。

ぬか床をつくったその日にぬか漬けが食べられる?

ぬか床を新しく作ると、実際に漬けられるようになるまで1週間くらいかかります。これが待ち遠しいもの。しかし、新しく作って、その日から野菜を漬けられるぬか床の作り方があるのですよ。

農文協らしい本ですが、農家が教える発酵食の知恵―漬け物、なれずし、どぶろく、ワイン、酢、甘酒、ヨーグルト、チーズを読んだら、びっくりしました。「プロの手ほどき ぬか漬」という記事の冒頭に、こんなことが書いてあるのです。

ふつう、ぬか床をつくるには、あらかじめくず野菜などを一週間ほど捨て漬けして、床を熟成させる。

ところが、ぬか床をつくったその日においしいぬか漬けを食べられる方法があった。

なんでぬか床をつくったその日に食べられるんだろう?ぬか床は作っても使えるようになるまでしばらく時間がかかります。普通は。

考案者は針塚藤重さん

このぬか床を考案されたのは、針塚藤重さん。1935年(昭和10年)生まれ。東京農大で育種を専攻し、卒業後は、農業、麹、漬物など農産加工業に従事するとありました。

ネットで探すとインタビュー記事がありました。育種で9月に収穫できる白菜をつくり、まだ暑い季節なので収穫後腐りやすいのでそれを浅漬けにしたらデパートでバカ売れしたという話から始まります。

すごく面白い方だと思います。針塚農産を経営されています。

この人と語る21世紀のアグリビジネス/JACOM

このぬか床は、普段から土作りをして堆肥や発酵に詳しい方だから考えることができたのではないかと思います。

すぐに使えるぬか床の材料にはビオフェルミンを使う

材料はこちらです。普通にぬか床を作るには使わないものがいくつか入っています。

材料(米ぬか3㎏分)

  • 炒りぬか・・・3㎏
  • 海水塩・・・450g
  • 唐辛子・・・50g(一つかみ)
  • 昆布・・・50g(一つかみ)
  • 米麹・・・300g
  • 酒粕・・・50g
  • 生ビール(キリンまろやか酵母)・・・1本
  • 新ビオフェルミンS細粒・・・23g(1/2本)
  • 純米本みりん・・・100cc
  • 水(ミネラルウオーター)・・・1650cc

ビオフェルミンは、S細粒を使う

材料に新ビオフェルミンS細粒が入っているのがすごいですね。乳酸菌をスターターとして使っています。錠剤でなく細粒を使うのは、錠剤だとつぶして粉にしなければならないのと、賦形剤など余分なものが入っているからでしょう。

新ビオフェルミンS細粒|新ビオフェルミンS|製品情報|ビオフェルミン製薬
「新ビオフェルミンS細粒」のブランドサイトです。生後3ヵ月からのめる細粒タイプをご紹介します。ヒト由来の乳酸菌とビフィズス菌を3種類配合した整腸剤で、整腸、便秘、軟便などにお使いいただけます。

新ビオフェルミンSのCMで「人にはヒトの乳酸菌」といっているのは、Enterococcus faecalis(エンテロコッカスフェカリス)のことで、これは腸内にいる乳酸菌です。腸球菌と呼ばれます。

米麹の他、生ビールから酵母が供給され、酒粕からは、乳酸菌、酵母、麹が供給されるのでしょう。みりんは糖分が豊富な酒(焼酎)です。アルコールによって雑菌を殺菌するのとスターターになる菌へエネルギーを供給しているのだと思います。

みりんについては以前こんな記事を書きました。

みりんと酒はどうちがうのか?
私にとって長らくみりんが何ものであるのか謎でした。 以前、そば学校に行った時、そばだしを仕込むときにみりんを「煮きる」ことをやりました。鍋に入れたみりんを熱して傾け火を入れるのです。その時、みりんには火がつくくらいアルコールが入っているんだ...

ぬか床の作り方

実際の作り方は以下の通りです。

私はこのブログを始める前でしたら、新ビオフェルミンS細粒を1/2本入れる、で固まってしまったと思いますが、今なら是非作ってみたいと思います。

  1. みりん、水、塩半量(約225g)を容器に入れ、菜箸でかき混ぜる。
  2. 別容器に炒りぬか全量を入れ、残りの塩を混ぜる。生ぬかの場合、必ず新しいものを使い、75℃で3分炒る。
  3. ぬかと塩をよく混ぜ合わせたら、真ん中にくぼみをつくる。
  4. そこに、新ビオフェルミンS細粒を1/2本入れる。
  5. 次に酵母菌。一般の生ビールでは、酵素は活性していますが、発酵が進まないように酵母はろ過して取り除かれています。酵母も入っているキリン「まろやか酵母」や、酵母が入っている地ビールを使います。キリン「まろやか酵母」は現在も入手可能でした。
  6. 菜箸でよくかき混ぜます。
  7. 唐辛子と昆布を一つかみずつ入れ、風味づけをする。
  8. 酒粕と麹を入れ、麹菌や酵母菌をたっぷり投入。
  9. 菜箸でよく混ぜ合わせる。
  10. 1.でつくった液体をすべて入れて、しっかりかき混ぜる。これで、およそ耳たぶくらいの固さ(水分率約70%)になる。

こうしてできたぬか床に野菜をいれます。

  • 水洗いした野菜の先端部を切り取り(雑菌がつきやすいため)、塩もみし、もう一度水洗いが基本。
  • きゅうりを漬ける場合は、塩をふって、まな板の上で両手で転がして板ずりするか、袋に入れて塩もみする。もみ加減は野菜の汁が出てくるくらい。
  • 毎日1回隅までよくかき混ぜ、新鮮な野菜を1本入れるのがおいしいぬか床を保つ秘訣。野菜には乳酸菌がついていて、酵素も含まれる。これがぬかの脂肪分を分解し、風味を高めます。
  • 野菜を埋めたら、空気が入らないようしっかり押さえる。10%の塩水に浸して軽く沸騰させた綿の布巾を上からかぶせておくと、シンナー臭の原因となる酸膜酵母の繁殖を抑えられる。夏は週1回、冬は2週に1回、布巾を沸騰させたお湯に浸して殺菌すること。

針塚藤重さんの本

針塚藤重さんは本を何冊か出されているようですが、アマゾンで調べてみたら、現在でも本屋さんで買える本がありました。

あざやか浅漬け直伝 (Cooking & home made―遊び尽くし)

NOTE

今は発酵食品に人気があるので、スーパーでも無印良品でもすぐに使えるぬか床が買えます。ただ、ぬかの量は多くないです。大きな容器を使う方や、ひょっとして実験したい気持ちの方は、自分でやってみるとよいですね。

何しろビオフェルミンを1/2本一度に使う機会は滅多にありません。

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