ぬか漬けは乳酸菌と酵母の漬物

ぬか床の手入れは少し手間ですが、ぬか漬けをつけると食卓に並ぶ発酵食品が一つ増えます。ぬか床の作り方とぬか漬けの漬け方、栄養価が意外にも高いぬかのこと、ぬか床の菌の変化などまとめてみました。

暑くなると、いや、暑くなくてもビールを飲むときにぬか漬けがほしくなります。

そういえば、いつもお昼に行っていた蕎麦屋さんでどんぶりものを頼むと、小皿にちょっとだけぬか漬けを出してくれました。

それが十分に口直しになりました。大根の皮を厚むきして漬けてあり、無駄を出さないように工夫しているんだなと思ったものです。

ちなみに、ぬか漬けは日本だけのものだそうです。

ぬか床には、乳酸菌や酵母が繁殖しています。1gのぬかの中には数億個の菌がいるそうです。おなかの調子がよくなるように毎日食べるとよいですね。

ぬかづけ

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ぬか床の作り方

忙しくてぬか床なんか作っていられないという方もいらっしゃると思います。スーパーに行くとぬか床が売っていますから、それを使うのが一番早い方法です。自分で作ると10日くらいかかります。

私は自分で作った方が面白いと思いますが、ぬか床はぬかと塩を足しながらずっと使うものなので、買って来たぬか床で始めても同じです。

おいしい漬けものと手作りみそを参考にさせていただきました。写真が多い分かりやすい本です。

材料

  • 米ぬか・・・1キロ
  • 粗塩・・・150g
  • 水・・・1200ml
  • 粉からし・・・30g
  • 赤唐辛子・・・3本
  • しょうが・・・2かけ
  • 昆布・・・5㎝角1枚
  • 捨て漬け用野菜(ニンジンのヘタ、大根やかぶの葉など)・・・適量

必要な道具

  • ホーロー容器など

では手順を紹介します。

  1. 水に塩を入れて火にかけ、ひと煮立ちさせて塩を溶かしたら火を止めて冷ます。
  2. ボウルに米ぬかと粉からしを入れて混ぜる。大きなボウルがなければ半量ずつ作るとよい。
  3. 1の塩水を2~3回に分けて加える。
  4. 下まで手を入れ、底の方からよく混ぜる。
  5. 軽く握って固まるくらいの固さになるように、塩水の量を加減する。
  6. 漬け込むホーローなどの容器に5を移し、赤唐辛子、しょうが、昆布を入れて混ぜる。
  7. ぬか床の表面を平らにならす。
  8. まわりについたぬかをきれいにふき取り、乾燥しないようにふたをして半日ほど冷暗所に置く。
  9. ぬか床に新しい空気を含ませるように底の方からかき混ぜる。
  10. 捨て漬け用の野菜(ニンジンのヘタ、大根やかぶの葉、キャベツの外葉など)をぬかに入れる。
  11. 空気を抜くように押さえ、表面を平らに整える。(乳酸菌を増やすには酸素は必要でないため。ただし、酵母には必要)1日に1回底の方からかき混ぜ、2~3日ごとに捨て漬けの野菜を変える。10日ほどくり返すとぬか床の完成です。

最初は刺激臭のようなにおいから、だんだん発酵してぬか漬けのにおいがしてきます。これで漬けられます。

ぬか床

ぬか漬けの漬け方

漬ける時は、漬かりやすいように切って少し塩をまぶすのがコツです。私もそうですが、最近はぬか床を冷蔵庫に入れる人が多いので、実際はもう少し時間がかかります。ニンジンは漬かるまで時間がかかります。

  • キュウリ:両端を切り落とし、塩少々をすりつける。6~12時間漬ける。
  • なす:半分に切って塩少々をまぶす。丸のままでも可。6~12時間漬ける。
  • 大根:皮はむかなくてもよい。縦に1/4に切り、塩少々まぶす。6~12時間漬ける。
  • ニンジン:太いところを半分に切り、塩少々まぶす。1~2日漬ける。
  • カブ:半分から1/4に切り、塩少々まぶす。6~12時間漬ける。

かぶぬかづけ

ぬか漬けの容器

冷蔵庫のスペースにもよりますが、自分でこのくらいと思った大きさより少し大きめのものを買った方がよいです。野菜を入れるとカサが増えるので、ぬか床の高さは容器の高さより大分低くした方がよいからです。

そして、漬けていくと水が出るようになります。その時はぬかと塩を足していくことになりますので、最初からぬか床を高く作ってしまうと少し困ります。

私は大きめのタッパーのようなものを使っています。最初は100均で買ったのを使っていましたが、大きさは十分でも容器自体の肉厚が薄くて形が歪んでしまい、1000円くらいでしっかりしたのを買いました。

アマゾンで探してみると、≪水抜き上手ぬか漬け器(糠なし)≫水抜きの手間がなくなる主婦のアイデア品なんていうのがありました。毎日のように漬けるようになると、水が結構出て来ますからこういうのがあると楽かもしれないですね。

二重容器で下に水がたまるようになっていました。

基本はこういう容器で、ベストセラー1位だそうです。野田琺瑯 ぬか漬け美人 TK-32水取器もついています。

水がたくさん出て来て水取器がないときは、茶こしを入れると代用できます。

ぬかは栄養価が高いって知ってました?

ところで、お米を精米すると出るぬかですが、実はなかなか栄養価が高いのです。調べてみました。タンパク質も脂質も多い灰分(ミネラル)も多いです。

コメ油はぬかから搾るのですが、20%くらいの含油率なら大豆と変わりません。

100gあたりの成分比較(g)出典
品名 エネルギー 水分 タンパク質 脂質 炭水化物 灰分
精白米 358kcal 14.9 6.1 0.9 77.6 0.4
米ぬか 412kcal 10.3 13.4 19.6 48.8 7.9

農大の小泉先生のくさいはうまい (文春文庫)という本があります。

その中で、ぬか漬けについてこんなことが書かれていました。

まずその第一は、発酵した糠に根菜を漬け込むことにより、微生物によって分解された糠のさまざまな成分が漬け込んだ材料に浸透して、まことに風味豊かな野菜に変えることができることで、水分が多く味があまりない生大根と、糠みそ漬けにした沢庵漬けを比べてみれば、そのあたりは明確によく分かります。

第二は糠にあった豊富な栄養成分、とりわけ無機質やビタミン群が漬け物の中に移行される上、発酵の際に微生物群によって新たに生成されたビタミン類も根菜に吸収されます。

こうして漬けあがった材料は、栄養的に相当高い価値をもったものになり、それでなくても質素な昔の食生活の中にあっては、この糠漬けは多くの日本人にとって貴重なビタミンの補給剤にもなっていました。

そして糠みそ漬けの第三の知恵は、この漬け床は連続発酵が可能ですから、実に便利な方法であるということです。糠床を上手に手入れして発酵をうまく管理さえしておけば、その床には絶えず材料を漬け込むことができ、食べて減った分の材料を漬け込むことにより、毎日食べ続けることができるのです。

ぬか漬けで、ぬかの栄養をいただいて、ついでにお腹の中もきれいにしたいです。ぬか床で活躍している菌はどんなのがいるのでしょう?

ぬか床の菌の変化

糠床の熟成に関する研究という論文が見つかりました。

市販のぬかでぬか床を2つ作り、それぞれ2日に1回十分に攪拌し、片方にはきゅうりとなすを入れ、もう片方には何も入れず、菌叢の変化を観察しました。

当初、ぬか床に乳酸菌の占める割合はわずか15%程度で、他はグラム陰性菌が60%、乳酸菌以外のグラム陽性菌が25%でした。

グラム陰性/陽性については、以前書いた記事をご覧下さい。

乳酸発酵の文化譜を読みました。酵母と乳酸菌と麹は日本人の生活にとって馴染みがある存在です。漬け物もヨーグルトも乳酸発酵。発酵させている時は乳...

その後、ぬか床の菌は変化し始めます。C床は、何も入れない方のぬか床です。何も入れないと乳酸菌ばかりになるようです。

全く野菜を潰けないC床では,最初の30日間でほとんど100%近く乳酸菌で占められ,その後60日,90日でも乳酸菌が圧倒的に優勢であり,その他のグラム陽性菌および陰性菌の増殖は見られなかった。

しかし,60日~90日にかけて酵母および糸状菌の生育が床表面に白い膜状に現れ麹臭に近い臭気が発現した。C床におけるこれら単純な菌叢は高い食塩濃度と酸濃度によるものと考えられる.

野菜を入れたぬか床は、酵母が増え始めます。野菜を入れた方はT床と呼ばれます。野菜を入れてこそぬか床が出来上がってくる様子が分かります。

一方,T床については,熟成期間を経るにつれ菌叢の著しい変化を生じた.最初の30日間はC床と同じように乳酸菌型のパターンを示し,特有な香りは全く無く酸臭に近いものであったが,60日後では酵母の占める比率が30%になり,やや熟成香を現し始めた.

90日以後では乳酸菌が主勢を占めながらも,乳酸菌に対するその他のグラム陽性菌およびグラム陰性菌の比率が急激に高くなった.T床での糠みそ床特有な香りは60~120日にかけて急速に強くなり,C床に比べ酵母,乳酸菌以外のグラム陽性菌および陰性菌の糠床中に占めるバランスが熱成香生成にはきわめて重要であると考えられる.

ぬか床は使っているうちにだんだん漬物がすっぱくなりやすくなります。私はすっぱいぬか漬けが好きですが、嫌いな人もいますね。

ぬか漬けがすっぱくなってきたら

ぬか床を仕込んである期間ぬか漬けをつけていると、だんだんすっぱくなってきます。上で書いたように主に乳酸によるものなので、腐ったわけではないですから気にしなくてよいのですが、すっぱいのが苦手な方もいます。

その場合は、粉からしを入れます。スーパーに行くとぬかの隣にたいていあります。

ぬか1キロに対して、大さじ2杯の割合で入れるとよいそうです。

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