少し前のこと、L8020乳酸菌が話題になっていたようです。フジテレビ「ホンマでっかTV」2016年5月25日放送で、むし歯にならない食べ物としてL8020ヨーグルトが紹介されていたそうです。
今までも、歯磨きをしたあとにヨーグルトを食べるとよいとか、ビオフェルミンをなめておくとよいと聞いたことがあります。むし歯対策と、あとは、鼻腔にもよいと聞きました。
少し検索してみると、L8020乳酸菌は、むし歯菌と歯周病菌を減らすとはっきり書かれています。これはすごいものだなと改めて調べてみました。
らくれん8020ヨーグルト
L8020乳酸菌でヨーグルトを作っているのは、愛媛県東温市にある四国乳業です。らくれんというブランドがついています。商品ラインナップを見ると、8020ヨーグルトと8020飲むヨーグルトがあります。
もともと四国の会社なので、東京ではあまり販売されていないようです。放送終了後、ネットでも売り切れてしまったようです。
飲むヨーグルトもあります。
スーパー販売店など
四国乳業のらくれんブランドは四国をはじめ、主に中国、関西地方にて販売を行っていて、関東、東京では手に入りにくいようです。
イオンを始め、東急、西友、小田急、など商品検索ができるスーパーで調べてみましたが、商品なしでした。
ツイッターで検索すると、以前、成城石井でらくれんの商品が買えたそうですが、現在は未確認です。
L8020乳酸菌発見まで
「むし歯菌・歯周病菌を抑えるヨーグルト」の研究開発を読ませていただきました。広島大学の二川浩樹先生が、L8020乳酸菌の発見者です。
短い文章ですが、実に面白くてしびれます。初めて知ることだらけでした。
口の中にも細菌叢がある
ヒトの口の中には、700~800くらいの微生物が棲みついているそうです。これを、口腔内微生物叢、またはオーラルフローラといいます。叢(そう)って、くさむら、むらがる、草が群がりはえるという意味です。フローラはお花畑です。
腸内細菌叢は、今やどなたでもご存知だと思います。口腔内微生物叢なんて、私は初めて知りました。
中には虫歯の原因となるミュータンス菌(mutans streptococci)や歯周病を起こす菌や病原菌もいますが、出生時産道から口の中に入ってくるカンジタ(Candida)などの日和見菌もいます。
口腔内微生物叢も、腸内細菌叢と同じように、善玉菌と悪玉菌のバランスで成り立っているのです。
腸内環境が、乳酸菌でコントロールできるなら、口の中の環境もコントロールできそうですね。腸の中は、お腹の具合とおならと便で様子を観察しますが、口の中ならもっとはっきり自覚できます。
疲れていたり体調が悪いと、においます。
L8020は唾液に棲んでいる乳酸菌
二川先生は、昔、歯科診療をするため、ある精神病院に行っていたそうです。
そこの入院患者さんの中に、年に数回、(多分、歯ブラシを使うことが許可されない)保護室に入るため、十分な歯磨きができていないのにむし歯になったことのない方がいたそうです。
むし歯になったことがない人に、ごくたまに会います。話を聞くと、たいていどちらかの親がやはりむし歯になったことがない人です。
むし歯のない人は、唾液の性質が良い、歯が強い、むし歯菌がいないことが考えられるそうですが、先生は、むし歯菌抑制効果の非常に強い乳酸菌がいるのではないかと考えました。
そこで、むし歯になったことのない人から唾液を集めて、そこから乳酸菌を分離することにしました。
私は、このブログを作って記事を書き始めるまで、ビオフェルミンのCMで「人にはヒトの乳酸菌」と聞くと、なんだ便からとった乳酸菌を培養しているのかと思いました。実際、その通りなんですけど。
また、ビオフェルミンを種にヨーグルトをつくる記事を読むと、正直、あまり好ましくない感じを受けていました。
しかし、今は、全く違和感を感じなくなりました。調べてみると、ヨーグルトに使われている菌は、ヒト由来のものが結構あるからです。
今回の乳酸菌は、ヒトのツバ、唾液に棲んでいる菌です。
L8020に決まるまで
探したのは、歯周病・むし歯そしてカンジダ菌に効果を持つ乳酸菌です。
最終的にむし歯菌とカンジダ菌の両方に効果のある3菌株が得られました。この3菌はラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamunosus)、ラクトバチルス・ガゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラガゼイ(Lactobacillus paracasei)であることがわかりました。
次に、ヨーグルトを作ってくれる会社を探すのに時間がかかり、やっと四国乳業を紹介され、実際に食べる試験ができることになりました。
ヨーグルトを作ってみて、風味や味の点からラクトバチルス・ラムノサスKO3株(Lactobacillus rhamunosus KO3)を使用することになりました。
ヒト試験は、学生ボランティア50名が毎日昼休みに1個、2週間食べるというものでした。
その「新しいヨーグルト」を食べたグループでは、なんと(!)、むし歯菌は80%以上、4種類の歯周病菌は40~90%減少させる効果が認められ、むし歯菌と歯周病菌を同時に抑制する効果が実証されたのです。すごいですね。
そして、ラクトバチルス・ラムノサスKO3株は、L8020菌と名づけられました。80歳になっても歯を20本残してほしいという意味だそうです。
L8020ヨーグルトを増やす
貴重なL8020ヨーグルトです。増やすにはどうしたらよいのか。特許第5645192号の明細書が参考になりそうです。
このヨーグルトは、ヨーグルトを作る時の基本である、ラクトバチルス・ブルガリカス・サブスピーシーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)とストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcusthermophilus)が使われていました。
それにL8020菌を加えて発酵させているようです。
乳を含む原材料を均一に混合し、加熱・殺菌する。これを冷却し、スターターとしてS. thermophilusを用いて、L. bulgaricusとL. rhamnosus KO3株を用いて、37~40℃で 発酵させヨーグルト(L8020)を製造した。
発酵させる温度は、37~40℃なので、一般のヨーグルトをつくる時と何も変わりません。時間については記載がありませんでした。
買って来たL8020ヨーグルトを温めた牛乳に加えて保温すればよいと思います。
ただ、別の実施例では37~40℃で 24時間保温したという記述もあったので、もし、8時間程度でまったく固まらなかった場合は、長くかかるかもしれないと参考にして下さい。
L8020マウスウオッシュ
関連商品として、L8020菌を配合したマウスウオッシュも出ていました。ラクレッシュL8020菌マウスウォッシュというのだそうです。
109もレビューがついていたのは、テレビ効果なのでしょう。しかし、評価は抜群によいというわけではないようです。
ヨーグルトについて他にも記事を書いています。ヨーグルトについて書いた記事をご覧下さい。