クエン酸は乳酸を減らすが疲労を回復させるわけではない

クエン酸は柑橘類に含まれ、昔から疲労回復に役立つといわれてきました。クエン酸は乳酸を減らすことはできます。しかし、乳酸は疲労物質ではなくなってしまいました。

レモン

クエン酸は英語で書くとcitric acidです。もともとはcitrous、柑橘類にたくさん含まれています。

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クエン酸の化学式と構造式

クエン酸の化学式は、C6H8O7です。示性式は C(OH)(CH2COOH)2COOH で、構造式は下図の通りです。

クエン酸

クエン酸

クエン酸に疲労回復効果はあるか

クエン酸は、疲労回復に役に立つといわれてきました。もう30年以上前ですが、よくラグビーの試合を観に行っていました。当時はやかんの水が定番でしたが、ハーフタイムになるとマネージャーが輪切りにしたレモンを配っていました。

レモンの酸っぱさはクエン酸です。

疲れたら酸っぱいものを

クエン酸は、たいていのスポーツ飲料に酸味料として含まれています。昔から疲労回復には酸っぱいものがよいといわれて来ました。

実際のところはどうなのか?と聞かれると、自分の記憶を振り返ってみて、自信を持って効果がある(!)と強くはいえないのですが、昔からいわれてきたことなので今でも信じています。

クエン酸はお酢の酢酸とは違って爽やかな酸味であることが特徴です。ところで、お酢とクエン酸はどのように違うのか分かりますか?

少し前に書いた記事ですが、お酢とクエン酸の違いについてで詳しく説明しました。よかったら読んでみてください。

お酢もクエン酸もすっぱくて疲労回復に役に立つと昔からいわれています。一般的なお酢は酢酸が主成分です。クエン酸は果物の酸っぱさ、例えばレモンの...

クエン酸を摂るとクエン酸回路に影響がある?

ところで、昔から、クエン酸を飲むと、クエン酸回路(TCA回路・クレブス回路)を先に進ませるので疲労した時によいのだともいわれてきました。

そのおかげで、疲労物質といわれた乳酸が減って疲れがとれるという仕組みです。

クエン酸回路には、クエン酸ができる過程があるので、クエン酸を外から摂取するとそこに横から入るので、クエン酸回路が早く進むのだと考えられています。

これは本当のことなんでしょうか?早速、調べてみました。

クエン酸を摂ると乳酸を減らすのは本当らしい

ネットで調べてみると、ヒトにおけるレモン果汁およびクエン酸摂取が運動後の血中乳酸濃度に及ぼす影響という2001年に雑誌に掲載された論文が見つかりました。

要約がありましたので引用します。

本研究では持久運動後のレモン果汁とグルコースの混合液摂取がヒトの血液成分濃度に及ぼす影響を検討した。

運動経験のある健康な成人男性(25-30歳)を被験者として用いた。自転車エルゴメーターによる1時間の運動負荷後に,500mLのレモン果汁(1)(クエン酸として0.4g/kg体重)とグルコース(1.5g/kg体重)の混合液,(2)クエン酸(0.4g/kg体重)とグルコース(1.5g/kg体重)の混合液,もしくは(3)コントロールとしてグルコース溶液を摂取させ,運動終了1時間後までの血液成分の変動を測定した。

レモン果汁もしくはクエン酸摂取により,血中のクエン酸濃度は有意に上昇した。

運動終了後の回復期の血中グルコース,遊離脂肪酸,インスリン,アンモニア,尿素濃度の変動に対して,レモン果汁もしくはクエン酸の摂取は有意に影響しなかったが,乳酸濃度の減少は,レモン果汁もしくはクエン酸被験液摂取により促進された。

これらの結果より,運動後のレモン果汁もしくはクエン酸摂取は,血中乳酸の除去を促進することが明らかとなった。

レモン果汁+グルコース(ブドウ糖)溶液と、レモン果汁に見立てた同じ濃度のクエン酸+グルコース(ブドウ糖)溶液には、なにも差がありませんでした。

そして、クエン酸を摂取すると血中の乳酸濃度が下がることが分かりました。

ただしクエン酸はかなりの量が必要だ

ところで、クエン酸として(0.4g/kg体重)とグルコース(1.5g/kg体重)の混合液ってどのようなものなのでしょう?

体重60kgの人だと、クエン酸は24gとグルコース90gを溶かした溶液になります。かなりの量です。単純に砂糖を90g溶かしたものを考えると相当に甘いことが分かります。

そして、もちろん、クエン酸はとても酸っぱいものです。このくらいの量を摂取しないと、血中の乳酸除去が促進されないということです。スポーツドリンクではせいぜい数gしか入っていません。

スポーツドリンク程度では、乳酸濃度には影響がないということですね。

もちろん、この論文にはクエン酸を摂取するとクエン酸回路にクエン酸がたくさん入るので影響があったなんてことは書かれていません。

この時点では、クエン酸を相当量摂れば乳酸除去に役立つことが分かりましたが、ところが、その後、数年で乳酸の意味が変わってしまいました。

乳酸は疲労物質ではなくなった

乳酸は疲労物質だとずっといわれてきました。ところがちょうどこの論文が出された2000年以降、乳酸は疲労物質ではないということが分かってきました。

少し前に、乳酸は疲労物質ではないという記事を書きました。

乳酸は酸素が不足するとできる、疲労物質だといわれてきました。乳酸は糖の分解量が増えるとできるもので、疲労物質ではなく、エネルギーを貯めておく...

糖の分解が急に進むと乳酸が増えることが分かり、乳酸がエネルギー源であること、また、乳酸はすぐに消えるが、筋肉疲労はその後も続くことが分かりました。

私が読んだ本は2007年に出版された本ですが、その時点で「乳酸=疲労物質」は完全に否定されていました。

まとめ

クエン酸は(かなり大量に摂ると)乳酸を減らしますが、乳酸は疲労物質ではなくなってしまいました。

「クエン酸は、クエン酸回路を進ませるので疲労回復に役立つ」があまり意味のないものになってしまいましたが、個人的に、クエン酸はミトコンドリアの中に入って、クエン酸回路を進ませる役割をするのか知りたいと思っています。

分かれば、記事を更新します。

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