ビール職人、美味いビールを語る

ビール職人、美味いビールを語るを読みました。本の中で出てくる一番搾りはさんざん飲んでいるので、今夜はずーっと飲んでいない著者おすすめのハートランドを買って来ようと思います。

この本はキリンビールを定年まで勤められ、その後八ヶ岳ブルワリー醸造長となり50年以上ビールを造り続ける、山田一巳さんを紹介する本です。

読みながら、私がビールを飲み始めた頃から現在に至るまで、いろんな銘柄があったなあとか、アサヒスーパードライの登場はともかくインパクトがあったなどいろいろなことを思い出しました。

しかし、それだけでなく、ビール造りをしていた方だからこその、ビール造りの技術的なことで私が知りたいと思っていたことがいくつか書かれていました。それをいくつかメモしておきましょう。

下面発酵の熟成期間

日本のビールは、下面発酵のピルスナータイプです。10℃以下の低い温度でゆっくり発酵させるのが下面発酵の特徴で、発酵が終わると酵母が下に沈んで行きます、というのがよく出てくる説明ですが、こちらを読むともっと濃く様子が伝わってきます。

主発酵が終わったばかりのビールを、若(わか)ビールと言うんですが、これは濁りがあって、味も匂いも雑だから商品にはできない。それで貯蔵タンクに移して、低温でゆっくりと熟成させていきます。

私のところでは短くても二十四日間、長いときで一ヶ月以上時間をかけて、若ビールをマイナス一度くらいまでだんだん冷やしていく。

そうすると、酵母が少しずつ発酵を続けながら止活して、タンクの底に沈んでいく。液体がきれいに澄んでくる。味が落ち着いてくる。発酵のときに出た嫌な臭いが抜けて、爽やかなビールの香りになる。炭酸ガスが十分に液体に溶け込んで飲み心地がよくなる・・・・・・。(p36)

マイナス1℃まで徐々に冷やしていくとしたら、大規模な冷蔵施設が必要になりますね。

ビールの副原料について

実は、私もビールをつくる時に副原料を使っているのは、原料をけちっているんだろうと思っていました。しかし、日本のビール味の変遷を書いた時に、私も含めた人の嗜好は案外保守的で変化を好まないのだろうと思うようになりました。

山田さんもこうおっしゃっています。

なかには副原料を使ったビールを原料をケチっているかのように考えている人がいる。これは間違いです。

副原料を使っているのは、ビールをより飲みやすくするための工夫でね。オールモルトでつくったビールは、しっかりとしたコクがあってうまいですが、飲み口が重くなりがちになってしまう。

それでほどよく副原料を混ぜているんです。原料のモルトの一部を米やコーンで代用すると、オリジナルエキスの雑味成分が少なくなって、飲み口が軽くなります。(p83)

ラガービールと生ビールについて

このところビールについての本を読んでいるので、ラガービールの意味が分かったのですが、ほんの少し前まで、ラガービールは加熱処理したビールで、生ビールは加熱処理なしのつくったままのビールだと思っていました。

ラガービールは、下面発酵で醸造されるビールのことで、日本の大メーカーのビールはみんなラガービールです。ラガーは貯蔵という意味です。加熱処理することを指しているわけではありません。

では、なぜラガーが加熱処理したビールで、生ビールと対立するビールのように思ってしまうのかというと、キリンラガービールがラガービールであると思ってしまうくらい売れていたからです。確かにそうでした。

1977年、サッポロビールが「サッポロびん生」を出して、生ビールの時代が始まったとあります。サッポロビールのサイトに生ビール時代を切り開くというページがあり、詳しい説明がありました。「サッポロびん生」ももちろん、ラガービールです。「サッポロびん生」はかなり売れたようです。

生はできたて

それまでの生ビールとは、ビアホールで飲む、工場でつくりたての鮮度の高いビールでした。すぐに消費されるため、ろ過処理しただけで加熱処理なしで樽詰めされ出荷されていました。

びんや缶ビールは、お店に在庫されるので消費されるまでかなり時間がかかります。そのため、加熱処理されるのが普通でした。

「サッポロびん生」は、最後に熱処理をしないで、セラミックフィルターという目の細かいフィルターを使ってろ過除菌して出荷されていました。ろ過技術が向上して、除菌できるようになったのです。

生は非熱処理という意味に

それまでの生ビールの意味だった「つくりたて」は、1979年に公正取引委員会が非熱処理であることを「生」と表示するための基準にしたことで、少し意味が変わりました。

たいていの人は「生」と聞けば、新鮮だと思います。お店で1ヶ月前に製造されたビールを買っても、なんとなく新鮮なものを買ったような印象を持ちます。

その後生ビールがとてもよいイメージのビールとなりました。1980年頃は、サントリーはずいぶんお金をかけてCMを流していたのを覚えています。

その後、私が思っていたように、ラガービールは加熱処理したビールで、生ビールは加熱処理なしのつくったままのビールだというイメージが広がったようです。

ドライは高発酵度法

アサヒスーパードライが発売されたのは、1987年3月だそうです。初代CMキャラクターは、作家落合信彦氏でした。銀色のラベルと缶は(今でも変わりませんが)、インパクトがありました。

私はすでにサッポロ派だったのでそれほど飲まなかったけど、あっという間にスーパードライだらけになりました。

スーパードライは高発酵度法といって、酵母が代謝できないデキストリンなどの糖類を残さないようにすべて糖化させた麦汁をつくり、発酵時にほとんどの糖分をアルコールと炭酸ガスに分解させてしまう発酵法だそうです。

糖分が希薄にしか残らないビールができるそうです。

浅草の駅を降りて吾妻橋を渡るとアサヒビール本社がありますが、スーパードライが売れて、あの土地は買い戻して本社を建てたそうです。

スポンサーリンク
レクタングル大

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル大