糖質ゼロビールを比較してみてどのように作るのか調べてみた

糖質ゼロビールはどんなものなのか?調べると発泡酒と新ジャンルしかありませんでした。アルコールのカロリーは1gあたり約7kcalで決まっています。麦芽のデンプンが糖化するときに、酵母がアルコールにするブドウ糖に100%変えることができれば、糖質ゼロにできます。ゆるやかな糖質制限が静かに流行っているので、糖質ゼロビールに需要がありそうです。

ビール

糖質ゼロビールが気になってきた。

暑くなると、いや、1年中ビールはうまいものですが、ビールは日本酒ほどではないものの確実に太ります。お腹が出ます。

たまに、糖質ゼロビールが気になって買ってみようかなと思うことがありますが、せっかく飲むならと思い直し、いつも買っているサッポロ黒ラベルを買います。

糖質ゼロという文字はなかなか見た目にインパクトがあり、運動不足にならないように気をつけているとはいえ、私がなかなか体重が減りにくい年代になったこともあり、ちょっと気になります。

まず、普通のビールの栄養成分を調べてみました。ちなみにいつも飲んでいるサッポロ黒ラベルのカロリーは100mlあたり40kcalです。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)による栄養成分表を下に載せました。

食品成分ビール/淡色
エネルギー40kcal
水分92.8g
たんぱく質0.3g
脂質0g
炭水化物3.1g
灰分0.1g
食塩相当量0g
食物繊維総量0g
アルコール3.7g
日本食品標準成分表2015年版(七訂)による

各メーカーの糖質ゼロビール

各社の糖質ゼロビールを調べてみました。サントリーは糖質ゼロビールはなかったです。それぞれ350mlの缶で計算しています。

ちなみに糖質ゼロとは?

最初に確認しておきましょう。糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。いわゆる糖分は、全て糖質の中に含まれます。たとえばデンプンも糖質です。

ちなみに上で載せたビールの表を見ると、食物繊維総量が0gですから、炭水化物3.1gは全て糖質ということになります。

アサヒスタイルフリー糖質0

スタイルフリー

アサヒの商品サイトを見ると、アサヒのスタイルフリーは発泡酒で、カロリーは100mlあたり24kcal。アルコール度数は4%でした。総カロリーは、84kcal。

キリン濃い味糖質0

キリン濃い味

キリンの商品サイトを見ると、キリン濃い味糖質0は、新ジャンルと呼ばれる種類で、100mlあたり19kcal。カロリーはかなり低いですが、その分アルコール度数は2.5%以上3.5%未満。プリン体は60%OFFでした。総カロリーは、66.5kcal。

サッポロ極ZERO

極ZERO

サッポロの商品サイトを見ると、サッポロ極ゼロは発泡酒で、カロリーは100mlあたり26kcal。アルコール度数4%。プリン体も0でした。総カロリーは91kcal。

キリン淡麗プラチナダブル

淡麗プラチナダブル

キリンの商品サイトを見ると、淡麗プラチナダブルは発泡酒で100mlあたり31kcal。アルコール度数5.5%。プリン体も0でした。総カロリーは108.5kcal。

糖質ゼロはカロリーも低い

糖質ゼロの「ビール」は現在ありませんでした。発泡酒か新ジャンルのビールのような飲み物だけです。糖質を減らすと味に影響するのかもしれません。

また、4社の商品を比べてみると、カロリーが低いものはアルコール度数も低くなっていることが分かります。もともと、糖質ゼロのビールを求める人は、カロリーも気にしている人が多いのです。アルコール(エタノール)はもちろんカロリーがあります。アルコール度数が下がれば、全体のカロリーも下がります。

ところで、ビールのカロリーを抑えるのは他にどんな方法があるのでしょう?

ビールのカロリーを抑える

ビールの教科書 (講談社選書メチエ)を読みました。この本の中でビールのカロリーを抑える方法が説明されていました。

  1. アルコール分と糖質の両方を少なくする。
  2. アルコール分はそのままにし、糖質のみを少なくする。
  3. 糖質はそのままにし、アルコール分をカットする。

ビールはたいてい副原料を使いますが、基本は発芽させた大麦とホップで作ります。糖を酵母がアルコールにしますが、残った糖質が何となく多いのかなと思いましたが・・・。

アルコールはカロリーが高い

アルコール(エタノール)1gのカロリーは約7kcalとして計算されるようです。出典これは濃度100%混ざり気なしのアルコールです。油は1gあたり9kcalで最強なのですが、それと比べても結構な熱量がありますね。

350mlのビールのアルコール度数は5%ですから、中に入っている純粋なアルコールは、次の計算で求められます。

350×5/100=17.5(g)

このアルコールのカロリーを計算します。

17.5×7=122.5(kcal)

ビールのカロリーは100mlあたり40kcalでした。1缶350mlの総カロリーを計算します。

40×350/100=140(kcal)です。

ビールには糖質が入っていますが、その分のカロリーは引き算すると出せます。

140-122.5=17.5(kcal)

これらの計算から次のことが分かります。

  • たとえば水にアルコールを混ぜ、アルコール濃度が5%になるように調整して350mlにすると、そのアルコール水のカロリーは122.5(kcal)ある。
  • ビールに入っている糖質のカロリーは意外と少ない。

ちなみに、アルコール度数4%になると、アルコールによるカロリーはどのくらいあるのか比較してみましょう。

350×4/100=14.0(g)
14.0×7=98(kcal)

大分変わりますね。

一体糖質ゼロのビールはどんなつくりかたをしているのでしょうね。少しだけ特許を調べてみました。

低糖質のビールのつくりかた

特開2012-147780「低糖質発酵麦芽飲料およびその製造方法」というキリンビールの公開公報が見つかりました。低糖質ビールの造り方の一例としてご紹介します。

従来、糖質を低減する方法として、酵母がアルコールにしやすい糖質を多く含む液糖を使用して、酵母にできるだけアルコールにしてもらい、糖質を残さないようにする方法や、糖質含有量の少ない仕込み原料を混合する方法があったようです。

しかし、これらのビール風飲料は、すっきりしすぎて飲み応えやボディ感が減少し、水っぽくなってしまうという問題があったそうです。いも焼酎と梅酒を漬けるホワイトリカーを飲み比べるようなものです。アルコールに変わるぶどう糖以外のものが風味をつくります。

麦芽のデンプンをできるだけブドウ糖にする

ビールとしての本格的な味わいを持つ麦芽を用いて糖質が低減されたビールを作る技術を新たに作ったのが、この発明の内容です。

栄養表示基準では100mlあたり0.5gを糖質ゼロと表示できるようですが、この発明では、糖質が1.4g/100ml以下の発酵麦芽飲料とすることができると書かれていたので、残念ながら糖質が2.5g/100ml以下に許された、糖質オフ、糖質カット、低糖質の表示ができる発明でした。

しかし、好感を持てる発明です。

この発明の一番大切なところは、従来のビールの製造方法のうち、糖化工程中に麦汁濾過を行うことにあります。

糖化工程

糖化工程は、リンクを貼ったビアバル コムシェモアさんのサイトにわかりやすい説明があります。

お湯を加えられたモルトが酵素によって分解され、デンプンが糖に、たんぱく質がアミノ酸になる工程です。

麦汁濾過

その後の麦汁濾過もやはりビアバル コムシェモアさんのサイトにわかりやすい説明があります。糖化工程でできた液体をゆっくり何度も循環させながら濾過してビールの原料となる麦汁を取る工程です。

この麦汁に酵母を加えてビールを造ります。

普通は、糖化工程が終わってから麦汁濾過を行うようですが、途中で行うことで、糖化工程が2回に分かれ、デンプンから酵母がアルコールにできない二糖類や三糖以上の糖ができることを抑制することができるそうです。つまり、アルコールになるぶどう糖をできるだけ多くつくることができるので、できた飲料から糖質が減るということです。

しかもビールの原材料を使っているので、ビールの風味には影響がありません。

興味があったら検索してみてください。

NOTE

糖質ゼロビールと普通のビール。糖質の差は、500mlだと15gくらいあります。炊いたごはんは100gあたり35gが糖質です。ご飯を食べることを考えれば大した数字ではありません。しかし、ゆるやかな糖質制限が静かに流行っている今、気にする人が増えているでしょう。需要はあります。

調べてみると、糖質ゼロのビールは、糖化工程と麦汁濾過の工程を少し変えることでできるようなので、味に問題がなければドライブームの頃みたいに、各社商品化しそうですね。

ビールについて他に書いた記事があります。ビールについて書いた記事をご覧下さい。

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