ウイスキーの熟成

熟成についての続きです。ウイスキーとビールの発酵は途中まで似ているが、乳酸菌が出てくるのは?では、ウイスキーの発酵モロミは、アルコール度数(濃度)が6~8%というのが私にとっては意外でした。

ウイスキーは、製品がアルコール度数が43%とか50%もあるのに、アルコール発酵が終わった段階の発酵モロミの度数がずいぶん低いからです。アルコール度数が6~8%なら濃いめのビールという感じですね。

この記事では、蒸留するとどんな風にアルコール度数が上がるのか、そしてその後、樽詰めされて何年も寝かされますが、どんな風に熟成されるのか、を書いておきます。参考文献は、ウイスキーの科学という素晴らしい本です。

まったくこの本を読むまで、お酒はよく飲んでいるのに私は何にも知らないんだなあと思いました。

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2回の蒸留でアルコール度数を上げる

蒸留は、いろいろなものが混ざった状態から沸点を利用して目的物を分ける方法です。ウイスキーの場合は、エチルアルコールの沸点が78.3℃、水の沸点は100℃ですから、エチルアルコールの沸点よりも高く、水の沸点よりも低くしておけば、アルコールが先に全部気化して、気化した気体を冷やせば、アルコールが集められます。

私は文系人間なので、(多分)高校生の頃でも、実験をやったことがなかったと思います。蒸留の説明を読めば、仕組みは理解できますが、蒸留によってアルコール度数をどのくらい高めることができるのか感覚的にまったく分かりませんでした。

ウイスキーの蒸留は、初留、再留と2回行われるそうです。そして、濃度はそれぞれ3倍ずつ上がります。

初留では、発酵モロミのアルコール度数が6~8%なので、18~21%になります。
次の蒸留(再留)でさらに3倍になり、55~67%になります。

ウイスキーの仕込みは、サントリーのサイトにモルトとグレーン:2つのウイスキーが出会うときがあり、図が入っていて分かりやすいです。ちなみに私が書いているのは、モルトウイスキーの方です。

2回の蒸留で、アルコール度数がかなり上がりましたが、もちろん、それ以外のものも入ってきます。香りの成分、味の成分などなど。物質の沸点が分かれば、設定温度によってどれが入ってくるか分かるのですが、実際はその通りにコントロールするのは難しいようです。

出来上がったものは、ニューポットと呼ばれ、次に樽詰めされます。

樽の中で眠る

ウイスキー(ニューポット)はオーク材でつくられた樽に入れて寝かされます。オークは、ナラや樫の総称なのでドングリが実る木です。

樽に入れる前に、樽の内部が焼かれます。これはチャーという作業です。木の香りが強いので、内部を焼いて木の香りを抑える目的で行われます。

こうやって書いていると、ウイスキー工場を見学したくなります。サントリー白州蒸留所は予約すれば見学できるようですね。

ウイスキーの熟成には、短くても6、7年、普通は8年~12年。少し長ければ12年以上、さらに場合によっては18年~25年も寝かす場合があるそうです。一般的には、12年くらいで変化がなくなるようです。

ニューポットの製造にかかる時間は、1ヶ月程度、アルコール発酵だけなら数日です。それに対して、熟成期間は、普通で8年~12年もかかります。

樽を貯蔵する場所は、気温が高くならず、湿度が高く、清澄な場所がよいとされています。確かに白州蒸留所のあるところは、南アルプスの麓です。

暑い季節には、樽からアルコールや揮発成分が外に蒸散し、寒い季節には、外から空気が吸引されます。

熟成による化学変化

それでは、樽の中でどのような変化が起きているのでしょうか?

まず、色が変化します。貯蔵して半年くらいで淡い黄色になり、さらに時間が経つにつれ、黄褐色から、見慣れている琥珀色に近づいていきます。これはおもに樽からの成分が溶けたことによるものだそうです。

日本酒の古酒、焼酎の古酒も色がついていますが、こちらはどんな由来なんでしょうね。

次は香りの変化です。

ニューポット由来成分は、発酵モロミからの成分です。アルデヒド、アルコール、カルボン酸とエステルいう成分ですから、アルコールの酸化に関係する成分です。

例えば、エチルアルコール(アルコール)は、酸化されて、アセトアルデヒドになり、さらに酸化されて、カルボン酸である酢酸になります。材料になるアルコールはたくさんあります。

エステルは、酢酸とアルコールが結合してできる酢酸エチルが多いようです。エステルは香り成分です。

アセトアルデヒドはさらにアルコールと反応してアセタールという芳香を持つ物質ができます。

また未成熟香と呼ばれる硫黄化合物は抜けていきます。こちらは嫌なにおいになる成分です。

硫黄はすぐに硫酸を思い出すので有毒ではないかと思ってしまいますが、私たちの体の中にも普通にあります。アミノ酸の中に硫黄が入っているのもあります。

また、長く貯蔵されているうちに、樽からの成分がウイスキーに溶け出してきます。分解しにくいリグニンなどが分解されて、長い時間をかけて成分がつくられ、バニラ香などをつけてくれます。

さらに、味については、エチルアルコールは刺激とまろやかさのバランスを持つようになり、それが、甘さや辛さといった味を決めていると考えられているようです。

色、香り、味(とくにまろやかさ)が変化していくようです。

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