アメリカでバーボンウイスキーが主流なのはトウモロコシがたくさん栽培されているからだろう

アメリカのウイスキーといえば、バーボン。トウモロコシを原料にしたのはきっと生産量が多いからだと思いましたが、トウモロコシは白人が来るずっと前、古くから北米でも栽培されていたとは知りませんでした。

バーボンウイスキー

最新 ウイスキーの科学 熟成の香味を生む驚きのプロセスを読みました。

この本は最近のブルーバックスらしく表紙がカッコいいですが、中身も本当に面白い本です。私はウイスキーはほとんど飲まないのですが、発酵過程と熟成に特に興味があって読みました。こんなに中身の濃い本がわずか1000円で買える幸せを感じます。

ウイスキーがお好きな方はもちろん、発酵に興味がある方が読むと私と同じように思われるのではないかな。

アメリカのウイスキーはバーボンウイスキーが主流

30歳前後の頃、よくバーボンを飲んでいました。その頃の日本は円高ドル安でバーボンがとても安く買えるようになったからです。鼻から抜ける香りの強さがなんとも魅力的でした。

その頃、ウイスキーは麦が原料だと思っていたのですが、なぜ、バーボンウイスキーはトウモロコシを原料にしたのかなとふと思ったことを思い出します。

本にはこのように書かれています。

穀物が豊かなアメリカではトウモロコシ、大麦、小麦、ライ麦などさまざまな原料でウイスキーが造られている。

トウモロコシを51%以上使ったのがバーボンウイスキー、80%以上使えばコーンウイスキー、ライ麦51%以上であればライウイスキー、小麦51%以上の場合はホイートウイスキー。

これらは、ストレートウイスキーと総称されている。

それぞれのストレートウイスキーを20%以上含み、他の蒸留酒と混和したのはブレンデッドウイスキーだ。原料以外にも用いる樽の条件やアルコール濃度などが規定されている。

しかし、生産量でいうと全体の約半分をストレートウイスキーが占め、その大部分がバーボンウイスキーで、その8割がケンタッキー州で造られている。

バーボンウイスキーが主流なのは、トウモロコシの生産量がとても多いからでしょう。

アメリカの穀物生産量ではトウモロコシがダントツに多い

アメリカでの穀物の生産量について調べてみました。出典については表の一番右をご参照下さい。生産量は時代とともに変化すると思いますが、トウモロコシがダントツなのは変わらないと思います。

アメリカのトウモロコシ生産は世界でも第一位です。

アメリカの穀物生産量
トウモロコシ349,200,000 トン出典
大麦3,800,000トン出典
小麦62,859,050トン出典
ライ麦195,000トン出典

トウモロコシはメキシコ原産

トウモロコシはトウモロコシの起源を読むと、メキシコ原産であり、起源地からメキシコ高地で多様化した後 、「メキシコ西部・北部 → 北米南西部 → 北米東部 → カナダ」へ伝播したと考えられている、と書かれていました。

また、紀元前5000年ごろまでには大規模に栽培されるようになり、南北アメリカ大陸の主要農産物となっていた(出典)とあるので、古くから当たり前にある作物だったようです。

また、トウモロコシは、コーンスターチ(でんぷん)に加工されるくらい、炭水化物(70%)が豊富に含まれています。

大麦、小麦、ライ麦もだいたい70%が炭水化物です。トウモロコシからバイオエタノールが作られているように、アルコールの原料になります。

誰がトウモロコシから初めてウイスキーを作ったのか、諸説紛々ではっきりしていないようなので、また、別の本を読んで分かれば、ここに書き足します。

バーボンウイスキーの特徴

バーボンウイスキーの製造について書かれていました。

主原料にトウモロコシ、副原料に大麦麦芽、ライ麦などが使われ、発酵モロミは連続式蒸留機で蒸留される。

連続式で蒸留すると精留度が増すため、単式蒸留器(ポット・スチル)を使った場合と比べて、さっぱりしているが原料の個性は若干失われてしまう。貯蔵に使う樽は、容量が小さく(180リットル)、新しいホワイト・オークの材で作られた樽(新樽という)を用いることが法律で決められている。

木が新しいと樽の個性が強く出過ぎてしまうため、樽の内面を十分に炎で焦がして用いる。また熟成年数も短いものが多い。

それでも、他のウイスキーに比べて褐色の色合いが強く、焦げ臭いウイスキーができる。

大麦麦芽は、モルトといって、でんぷんを糖化するための酵素源として必要です。樽の容量や新品を焼いて使うというのは法律で決まっているのでしょう。

精留度の「精留」の意味を調べました。

蒸留に際して,すでに凝縮した液をさらに続いて発生する蒸気と接触させ(還流という)て蒸留を繰り返す操作をいう。

1回の蒸留に比べ,上昇する蒸気はいっそう低沸点成分に富むようになり,一方,下降する液は,高沸点成分が増加し,分離効果が向上する。(出典

つまり、一度蒸留した液体をまた蒸留して濃度を高めていくことです。

また、ウイキペディアには、もう少し詳しく蒸留の基準について書かれていました。

その後、連続式蒸留機で、アルコール度数を80%(160プルーフ)以下となるように蒸留を行って、バーボンの原酒となる蒸留酒(この時点では無色透明)を製造する。

こうして作られた無色透明の蒸留酒を、その後アルコール度数62.5%(125プルーフ)以下に加水して調整し、内側を焼き焦がしたホワイトオーク製の新樽に詰め熟成を行う。

テネシーウイスキーもある

ジャックダニエルは樽に貯蔵する時にサトウカエデの炭で処理するのが特徴だそうです。少し変わった味がしますよね。確かに。

「ジャックダニエル」はテネシー州産のアメリカンとしてよく知られている。南北戦争後、統一を果たしたアメリカ合衆国の登録第一号蒸留所で造られ、その歴史は古い。

1920年から1933年までの禁酒法施行期間は生産をストップしたが、四角い瓶に黒いラベルのデザインは1912年から変わっていない。

テネシー州産ウイスキーの原料や製造法はバーボンとウイスキーと同じだが、貯蔵の前後に原酒をサトウカエデの炭で処理する、チャコールメロウイングと呼ばれる独特の製法を採用している。

この特徴を強調して、とくにテネシー州産のアメリカンはテネシーウイスキーと呼ばれている。

まとめ

酒を飲みたい!と思う気持ちは、どこでもいつの時代でも同じです。穀物があればお酒を造ってみる。トウモロコシが使われたのも同じ理由です。

アメリカのトウモロコシの生産量が多いことは知っていましたが、メキシコ原産で古い時代から(白人が新大陸として移り住んで来るずっと前から)伝播されて、栽培されていたとは知りませんでした。

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