お酢は抗菌作用があるといわれていますが、あまり大したことがないだろうと思っていました。調べてみると、思ったよりも強い酸性を示し、抗菌力が強いことが分かりました。そんな酢を使った酢玉ねぎの作り方もお知らせします。
お酢の酸性はなかなか強く抗菌力が強い
お酢のpHは思っていたより低く、米酢で2.45~3.22でした。(酢の科学 (シリーズ「食品の科学」)
お酢の抗菌作用はよく聞きますが、これほど酸性が強いとは知らなかったので、あまり効果はないだろうと思っていたのですが、間違っていました。
酢は強い酸性を示す食品です。自然界に生存している微生物の多くは、pH5.0~9.0の範囲に最適pHを持っており、このことが酢に強い抗菌作用を発現させる結果になっています。
pH7.0が中性で、7より小さいと酸性、7より大きいとアルカリ性です。
食中毒菌は生きていられない
食酢中では食中毒菌はすべて5分で死滅します。また、かび、酵母についてはpH3.5の氷酢酸を希釈した培地で培養したところ、250倍希釈(つまり酢酸濃度0.4%)でも、2日間の増殖抑制効果が認められました。氷酢酸は、純度96パーセント以上の酢酸のことです。
食酢(お酢)には酢酸が約5.0%含まれており、pHも3.0以下を示すことからカビ、酵母に対する増殖抑制効果(静菌作用)はさらに大きいと考えられます。
アジの酢漬けとおにぎりに対する酢の防腐作用
アジの酢漬けでは、酢酸含量4.5%の食酢に10分浸漬したもので約24時間の防腐効果が認められました。
また、おにぎりでは、同じく酢酸含量4.5%の食酢を使用し、2%の酢の添加で18時間の防腐効果が認められました。おにぎりの場合、3%の酢添加までは酸味を感じないそうです。コンビニのおにぎりなんかにも使われているのでしょうか。
細菌数は107個まで増えると食用不可になるそうです。
一般にすし飯では、酢が7~10%加えられるので、保存日数はさらに長くなります。もちろん、作ってすぐに食べるなら安心です。
役に立つお酢ですが、私は酢玉ねぎをいつも欠かしません。
酢玉ねぎ
酢玉ねぎは昨年からつくるようになりました。知人が劇的に血圧が下がったと教えてくれたので、私も真似したのです。ちなみに、知人は血圧の上が測定不能(200くらい)から120まで戻りました。身近にそんな体験談があると自分もやるようになります。
「NHKためしてガッテン」でも酢玉ねぎを特集していたそうですが、血圧の高い方は試してみる価値があります。何しろ材料費が安く、玉ねぎは、ほぼ毎日食べるものです。酢に漬けておけばよいのですから。
用意するものは
- ふた付きの容器
- 玉ねぎ
- お酢
以上です。
作り方は簡単。玉ねぎをスライスします。
スライスした状態で20分以上置き、それからふた付きの容器に入れて酢を注いで冷蔵庫にいれます。この時水にさらさないことがポイントです。お酢の量は、玉ねぎが浸ればOKです。
24時間後から食べ頃とか。辛みを気にしない人なら、数時間たてば食べられます。
お好みで塩を少々入れたり、ハチミツを少し入れたりする方もいます。
酢たまねぎを食べる量は1日約50グラムが目安だそうです。私はきっとそれより食べていますが、別にお腹をこわしたりしません。
食べるときに一緒に漬けてあるお酢も入れるとよいです。玉ねぎを漬けておいたのでお酢もマイルドな味になります。
私は京都の千鳥酢をいつも使っています。以前は自然食品店にしか置いてなかったですが、今はたいていのスーパーに並んでいます。酸味がやわらかいのが特徴です。スーパーなら安いときは900mlで600円くらいで買えます。
酢玉ねぎを漬けておいて、容器から出してから味をつけるのもよい方法だと思います。最初に漬ける時に塩を足してしまうと、あとで醤油はかけられないです。
しばらく食べるのを忘れていると色が変わり始めるので、色が変わる前の1週間くらいで食べてしまうのがよいと思います。色の変化は、最初は黄色っぽくなり、それ以降は赤みがかって来ます。
酢玉ねぎの効果は玉ねぎから生まれる
やせる! 血糖値、血圧が下がる! タマネギレシピによると、玉ねぎには、イソアリインというイオウ化合物と、アリナーゼという酵素が含まれていて、玉ねぎを切って空気にふれることで化学反応が起き、チオスルフィネートという物質ができます。
このチオスルフィネートは、ガンの発生を抑制し、喘息の発作を抑え、痛みを鎮め、血糖値を下げるなど多くの効果が確認されているそうです。
さらに血小板の凝集を抑制する作用も認められています。血小板は血液を固まらせる働きがありますから、いわゆる血液サラサラになるという意味です。血液が固まりにくくなる代わりに、血栓ができにくくなりますから、脳卒中や心臓病になるリスクを減らせます。
また、玉ねぎには、さまざまなイオウ化合物が含まれています。玉ねぎ独特のにおいは、イオウ化合物のものですが、これらの物質もさまざまな効果を持っています。
特に、血糖値や脂質の検査数値を低下させる働きがつよく、中性脂肪やコレステロールが高い人には効果的です。
酢玉ねぎの効果
もともと玉ねぎには血圧を下げる効果があります。作家の椎名誠さんもご自分の本の中でよく書かれていました。また、血液をサラサラにする作用もあります。また、血糖値を下げる働きも知られています。
そして、お酢には疲労回復効果のほかに、血液をさらさらにする働きをもち、高血圧や動脈硬化の予防に役立ちます。さらに糖の吸収を穏やかにする働きもあり、血糖値の急激な上昇を抑えます。
玉ねぎとお酢の相乗効果で次のような効果が期待できます。
血圧を下げる
玉ねぎもお酢も血圧を下げる効果があります。酢玉ねぎは両方の相乗効果が期待できそうですね。血圧は下がりますよ。私の知り合い2人もぐっと下がりました。
免疫力を高める
玉ねぎには、自律神経の働きを整えて、免疫力を高める働きがあります。ウイルスなど病原菌への抵抗力が高まり、病気にかかりにくくなります。玉ねぎの硫化アリルには、体温を上昇させる働きがあり、白血球が活性化するので、免疫力が上がります。
老化防止作用
玉ねぎに含まれるケルセチンによって、耳鳴りや難聴、白内障、飛蚊症、老化による多くの症状の予防、改善ができます。
記憶力増強
玉ねぎの主成分、含硫アミノ酸は切ったり加熱したりして細胞膜が破壊されると、時間とともに成分が変化していきます。最初に辛味成分と催涙成分が生成され、時間が経つとにおい成分に変化します。
このにおい成分は、記憶をつかさどる脳の海馬で抗酸化力を発揮し、記憶障害を改善していることが分かりました。におい成分が増えれば、ボケやもの忘れに対して効果が期待できます。
辛味成分をにおい成分に変化させるには、玉ねぎを切って30分~1時間放置します。その後お酢に漬ければよいのです。
ダイエットに役立つ
カイチュウ博士こと藤田紘一郎先生の書かれた1000兆匹の腸内細菌を使って10キロ楽にやせる方法 ヨーグルト・ホエイと酢タマネギが効く!という本を読みました。
酢玉ねぎを食べていると、始めやせるのに役に立つ菌を増やし、太りやすくなる菌を減らしてダイエットに役に立つのだそうです。
これは藤田先生ご自身も体験された話です。毎食、酢玉ねぎを食べていると、腸内で肥満につながる菌が減り、やせるのに役に立つ菌が増えてくるのだそうです。
肝心なのは、毎食必ず酢玉ねぎも食べることです。酢玉ねぎだけを食べるダイエット法ではありません。
藤田先生は、半年間で10キロ体重を減らしました。糖尿病と診断されていたのですが、始めて4ヶ月後には高かった血糖値や中性脂肪の値が正常値になったそうです。
若い人は運動するとすぐに体重が落ちますが、中年以降、だんだん体重が減りにくくなります。これはやってみる価値がありますね。
玉ねぎの食物繊維とフラクトオリゴ糖が腸内細菌に働きかけて、ビフィズス菌を増やしますが、また、それらは、短鎖脂肪酸に変わります。
脂肪酸とは、例えばオリーブオイルならオレイン酸が有名ですが、脂肪を構成するものです。
短鎖脂肪酸は、その長さが短くなったもので、例えば、お酢の成分である酢酸。バターなどの成分の酪酸があります。においがある(クサイ)のが特徴です。
短鎖脂肪酸は、そのまま腸の粘膜の栄養になります。腸の粘膜が強化されます。食物繊維も酢酸になり、お酢(酢酸)は口からも入ってきますから、腸にたくさん栄養を与えていることになります。
酢玉ねぎのレシピ
まずはオニオンスライスでおかかと醤油を少しかけて。
私はポテトサラダにいつも生玉ねぎを使っていましたが、そのかわりに酢玉ねぎを使います。生と違って、酢玉ねぎはヘナヘナしているので、混ぜやすいです。また、最初から酸味も効いているのでよいですよ。
冷や奴に酢玉ねぎをのせると暑い日のビールのおつまみには最適です。ショウガを一緒にのせてもおいしくいただけます。
まとめ
玉ねぎは毎日使っているといってもよいかもしれません。少し意識して使い方を考えることと、いつも酢玉ねぎを用意していると、すぐに使える薬味にもなり、とても便利です。
お金がかからない健康法はすぐに始めるのがよいです。
お酢についていくつか記事を書いています。他の記事は、お酢についての記事をご覧下さい。