お酢の発酵方法は万年酢のつくりかたがもとになっているらしい

発酵食品への招待を読んだら面白いことが書いてありました。

万年酢(まんねんす)というのがあったそうです。ちなみに万年酢とは江戸時代に知られたつくり方だそうです。こんな風に書かれていました。

万年酢のつくり方は、好い酒一升、好い酢一升、清水一升を混ぜ、甕(かめ)に入れてふたをし、密閉して、30~40日すると酢が熟成します。

使用するときは、甕から一杯くみ出せば、別に好い酒を一杯追加しておきます。こうすれば何度酢を取っても酢はなくなりません。

なるほど万年酢とはよくいったものです。

しかし、日本酒は酒税がかかっていて、お酢に比べると値段が高いので買った方がずっと安いですね。しかも、私がやると、お酢をつくる目的で買って来た日本酒をすぐに飲んでしまい、いつまでたってもお酢はできないような気がします。

ちなみに、万年酢で検索をかけると、和食の用語でも、万年酢がありましたが全くちがうものでした。こんな風に出て来ました。

「酢に、味醂、塩、薄口醤油、梅干しを加えて、弱火で煮立てたもの。」(出典

封を切ったお酒をそのままにしておくと、やや酸味がついてくるので、お酒は放っておけば酢になるのだと思っていました。

お酒が酢になる過程は、ヒトの体でお酒を代謝していくのと同じです。エチルアルコールは、アセトアルデヒドになり、次に酢酸になります。

アセトアルデヒドは、二日酔いの原因になっていて、発がん性もあるといわれています。それを無害にするため分解したのが酢酸です。

乳酸菌が糖を分解して乳酸をつくるのはエネルギー獲得のためで書きましたが、アルコールが酢酸に変わるのは、ヒトも微生物もそれを分解して生きるエネルギーを得るためです。

ヒトの場合は、アルコールを肝臓で解毒して、アセトアルデヒドから酢酸にしますが、酢酸はCH3COOHと炭素が2個の短鎖脂肪酸です。酢酸は、補酵素AとくっついてアセチルCoAになり、ミトコンドリアの中に入ってTCA回路に入り、生きるためのエネルギーの材料となります。

さてさて、お酢はどうやってつくられているのでしょう?

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お酢の製造方法

日本生物工学会のサイトの中に食酢醸造の変遷と酢酸菌の新たな利用という素晴らしい記事がありました。

この記事によると、上で書いた万年酢は、江戸時代に書かれた本草書「本朝食鑑」に載せられていたようです。まだ平凡社の本が古本でなく買えるので、アマゾンのリンクを貼っておきました。本草書は昔の薬草辞典みたいなものです。

さらに、万年酢のつくり方は米から酢をつくることと比べると、大変理にかなった方法のようです。一度米をアルコール発酵させてお酒にしてしまい、それにスターターとなる酢酸菌を大量に含む酢(種酢)を使うので、コントロールがとても楽で、容易に酢を製造することができるのです。

アルコールは、殺菌に使うくらいですから雑菌は繁殖しにくいです。さらにアルコールを酢酸に変える酢酸菌がそこにたくさん入るのですから、お酢を作るには失敗しにくい方法なのです。

アルコールの製造と酢の製造を別々にやるのがよいところでした。

そして、ワインビネガーも同じ製造方法で作られていたようです。17世紀の頃で、日本では江戸時代ですから、ほぼ同時期ですね。

産地にちなんでオルレアン法と呼ばれているそうです。原理は同じで、ワインビネガーを種にして、そこにワインをつぎ足しながら連続してワインビネガーを作っていたようです。

万年酢のつくりかたの原理は、現代でも踏襲され、静置発酵法と呼ばれています。また、より早く発酵を進めるために、通気発酵法といって、発酵槽内をかくはんして、発酵槽内に酸素を送り込む方法もあります。酢酸発酵は、好気性発酵だからです。

また、お酢の中でも健康オタク受けする鹿児島の黒酢は、万年酢のつくり方をベースにした静置発酵法とは異なり、一度につくる方法です。

黒酢をつくる場合は、蒸した玄米と米麹を重ねて大きな甕(かめ)の中に入れて放置します。この方法では、糖化→アルコール発酵→酢酸発酵の順番に進むので、時間がかかります。

麹を入れてアルコール発酵する過程について詳しくお知りになりたい方は、わが家でできるこだわり清酒をお読みください。(私は、なぜ麹を入れただけでアルコール発酵するのか疑問に思っていたのです)

それに加えて、寒暖の温度変化も必要なのだそうです。現在市販されている黒酢の発酵熟成期間は半年から1年が一般的ですが、こだわりのある醸造元では、3年以上時間をかけるところもあるようです。

酢酸発酵で活躍するのは酢酸菌です。

お酢の発酵

酢酸発酵の主役、酢酸菌は、グラム陰性で好気的な桿菌です。グラム陰性は、グラム染色で染まらないという意味です。桿菌は、細長い形をした菌です。好気的とは発酵するときに酸素が必要だという意味です。

どちらかというと、グラム陰性は、一般的にはヒトに有害な菌が多いという目印にされます。

酢酸菌はアセトバクター属が代表的な菌です。

アセトバクター属(Acetobacter)の菌は、酢酸菌属とも呼ばれます。エチルアルコールの酸化力が強い性質をもちます。

一番よく知られているのは、アセトバクター・アセチル(Acetobacter acetil)です。

原料となる酒は、アルコール濃度が10%を超えないようにコントロールされます。エチルアルコール濃度が上がりすぎると酢酸発酵がうまく進まなくなります。

これにアセトバクター・アセチルなどを植え付けると、液面に膜をつくって繁殖し、酸素を使ってエチルアルコールを酢酸に酸化していきます。

酢酸菌は、細胞膜の表面にエチルアルコールを酸化するアルコール脱水素酵素とアルデヒドを酸化するアルデヒド脱水酵素を埋め込んでいます。

酢酸発酵はエチルアルコールを酢酸にする反応ですが、次のような反応をします。酸素(O2)を使っているのがよく分かります。

2C25OH+O2→2CH3CHO+2H2O(エチルアルコールからアセトアルデヒド)
2CH3CHO+O2→2CH3COOH(アセトアルデヒドから酢酸)

お酢の効果

お酢が体によいのは常識です。私も知人が劇的に(ほんとびっくりするぐらい)血圧が下がったので真似して酢玉ねぎを作って食べています。作家の椎名誠さんも、本に玉ねぎを食べ続けて血圧が下がった話を時々書かれています。

お酢の効果は、やはりメーカーに聞くのが一番です。お酢といえばミツカン。ミツカンのサイトによれば、

肥満気味の方の内臓脂肪を減少させる
高めの血圧を下げる
高めの血中総コレステロール及び高めの血中中性脂肪を下げる
食後の血糖値上昇を緩やかにする
カルシウム吸収の促進
疲労回復のお手伝い

以上の効果があるようです。それぞれ説明ページにリンクを貼っておきました。

そして、もう一社、お酢といえばタマノイ。タマノイのサイトでは、お酢の効果・効能を見ると、トップページでお酢のJAS規格が説明されています。

お酢には、醸造酢と合成酢があり、醸造酢には、穀物酢と、果実酢があります。穀物酢には、さらに、穀物酢、米酢、黒米酢があり、果実酢には、ぶどう酢とりんご酢があります。それら分類と原料について教えてくれます。

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