酒造りが学べる大学・学部

酒造りが学べる大学は、帯広畜産大学、山梨大学、秋田県立大学、新潟大学、東京農業大学、鹿児島大学、佐賀大学、高知大学でした。

大学

実際に酒造りができる大学は意外と少ない

日本で酒造りが学べる大学は、東京農業大学の醸造学科がよく知られています。昔から酒蔵の子弟が行くことと、何しろ小泉武夫先生が有名でした。

ところで、このところ、他にどんな大学で酒造りができるのだろう?と思って探していました。醸造や発酵を教えてくれる大学は結構ありますが、実習として実際に酒造りができる大学はなかなか見つかりませんでした。

私の調べ方に問題があるのかもしれませんが、意外と少ないのです。

広島大学や大阪大学など昔は醸造学部?か醸造学科?があった大学もいまは実習で学生に酒造りは教えていないようです。もちろん、酵母や麹を研究している大学はあります。

一度社会人になってから酒造りを学びたくなるかもしれない

高校生の頃から「日本酒造りを勉強しよう」と考える生徒は、酒蔵の息子でなかったら相当変わっているかもしれないですね。

しかし、一度社会に出て、お酒をたしなむようになってから、酒造りに興味を持つ人は結構いるのではないかと思います。私が勤めていた会社の同僚も、ある時会社を辞め、酒蔵に蔵人として入り、今では立派な杜氏さんです。

彼のように最初から蔵に入る手もありますが、私はこのブログをずっと書いてきて、化学の知識があった方がもっと仕事を楽しめると思っています。そして、何より大学には知識豊富な先生がいらっしゃいます。質問したら答えてもらえるのはとてもありがたいことですよ。

帯広畜産大学畜産学部

北海道で帯広畜産大学はよく知られていますが、農業について学べるとは知りませんでした。帯広畜産大学では、2019年に大学内に酒蔵を作りました。上川大雪酒造 碧雲蔵(へきうんぐら)と呼ばれています。

まだ正式に授業は組まれていない

まだ、正式な授業の中に酒造りは組まれていませんでしたが、2021年に酒づくりプロジェクトが始まっています。

さらに、帯広畜産大学、小樽商科大学、北見工業大学が経営統合され一つの大学になることが決まっています。小樽商科大学は商業や経済を教える大学です。近い将来、日本酒を造り、それをどのように販売していくかということまで学べるようになるそうです。この大学では間違いなく日本酒造りが学べるようになります。

詳しくは、帯広畜産大学 酒造りが学べる大学をお読み下さい。

山梨大学生命環境学部地域食物科学科ワイン科学特別コース

山梨はブドウ・ワインの産地として有名です。地元の山梨大学では日本で唯一ワイン造りを学べる学科があります。山梨大学生命環境学部地域食物科学科ワイン科学特別コースといいます。

6年教育が前提です

昔の大学だと、最初の1、2年間の教養部の成績で学部の進学先を決めたものですが、ワイン科学特別コースは入学試験を受ける時から志願します。6年間の教育を想定しているので、修士課程まで行くと思って下さい。

秋田県立大学生物資源科学部 応用生物科学科 応用生物科学講座 食品醸造グループ

少々長いですが、秋田県立大学生物資源科学部 応用生物科学科 応用生物科学講座 食品醸造グループで酒造りを学ぶことができます。

秋田県立大学は1999年につくられた新しい大学です。2009年から毎年、「究(きわむ)」という日本酒をつくり販売しています。大学が単独で醸造しているのではなく、地元の蔵が協力しています。2018年からは株式会社那波商店が秋田県立大学の酒造りに協力しています。

詳しくは、秋田県立大学生物資源科学部で酒づくりを学ぶをお読み下さい。

新潟大学農学部農学科応用生命科学プログラム/食品科学プログラム

新潟のお酒を買って「はずれ」を引いたことがありません。しかも、コストパフォーマンスがよいお酒が多い印象があります。

その地元、新潟大学では、2018年に日本酒学を立ち上げ、全学部学生への講義が始まりました。さらに、清酒製造免許(試験醸造)を取得して試験醸造室もある日本酒学センターも完成しました。

新潟県酒造組合副会長の平田大先生が2020年に農学部の教授に就任し、応用生命科学プログラム/食品科学プログラムの学生に醸造学の講義が始まりました。

まだ、日本酒醸造の実習は始まっていませんが、まもなくでしょう。詳しくは、新潟大学で日本酒学を学ぶをお読み下さい。

東京農業大学応用生物科学部 醸造科学科

応用生物科学部 醸造科学科といえば、小泉武夫先生。小泉先生の書かれた本は今でも必ず読んでいます。

醸造科学科では、3年生になると調味料と酒類を製造する実習があります。清酒に限らず、焼酎、ビール、ワインもつくります。さらに、3年生の12月になると、全国の醸造所に2週間ほど泊まり込む実習があります。実習先を探すのに困ることはないほど、卒業生がいます。

東京農大の醸造学科は、製造することに力を入れた教育をしています。造るための授業が多い。また、全国の酒造会社の50%に卒業生がいるそうです。

詳しくは、東京農大で酒づくりを学ぶをお読み下さい。

鹿児島大学農学部 食料生命科学科 焼酎発酵・微生物科学コース

鹿児島大学農学部 食料生命科学科 焼酎発酵・微生物科学コースの焼酎製造学部門で焼酎造りを学ぶことができます。

焼酎づくりに実践的な授業があります。焼酎製造学、焼酎製造学実験(実際に造る)、発酵食品製造実習など。発酵食品製造実習は、サツマイモを栽培し、学外の焼酎工場で働いてみる実習です。

詳しくは、鹿児島大学 農学部で焼酎づくりを学ぶをお読み下さい。

佐賀大学農学部 生物資源科学科 生命機能科学コース 応用微生物学分野

佐賀大学農学部 生物資源科学科 生命機能科学コース 応用微生物学分野で清酒づくりを学ぶことができます。九州は焼酎を造るのが普通だと思っていましたが、佐賀県では日本酒がたくさんつくられているそうです。

佐賀大のオリジナル日本酒「悠々知酔」が毎年造られています。原料の米は酒米でなく食用の「ヒノヒカリ」、その他酵母、酒質、製造すべてが佐賀大学のオリジナルです。

詳しくは、佐賀大学農学部で清酒をつくるをお読み下さい。

高知大学農林海洋科学部 大学院総合人間自然科学研究科 農林海洋科学専攻

高知大学では、農林海洋科学部 大学院総合人間自然科学研究科 農林海洋科学専攻で酒をつくることができます。学部生ではなく、大学院の修士課程からです。

高知大学は醸造免許を持っていないので、高知県工業技術センターに通いながら研究を進めます。学部生で、酒造りの研究ができるのか高知大学のサイトからはわかりませんでした。ただ、微生物化学の教授に聞いてみるとよいかもしれません。

詳しくは、高知大学 農林海洋科学部で酒をつくるをお読み下さい。

NOTE

東京農業大学のように、昔から酒造りを教えている大学が多かったのか少なかったのかわかりませんが、新しい大学や新しくできる(?)学科で酒造りを教えるようになるようです。

大学に入学する若者の数が減り、大学も特徴を持たないと生き残れない時代です。また、人の生き方が多様化しているので、いろいろなことを試す人が増えています。酒造りを教える大学が増えると面白いなと思います。

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