山梨大学生命環境学部地域食物科学科ワイン科学特別コースは、日本の大学の中で唯一ぶどう栽培とワインづくりが学べる学科です。定員は13人で入学試験で選抜されます。以前、工学部にあったワイン科学特別教育プログラムを引き継いだもので大学院修士までの6年教育を想定しています。
日本で唯一ワイン造りを学べる学科
山梨はワインの生産が盛んですが、地元山梨大学には、日本で唯一ワイン造りを学べる学科があります。山梨大学生命環境学部地域食物科学科ワイン科学特別コースといいます。
入学試験を受ける時に志願する
生命環境学部は定員150人ですが、その中の地域食物科学科は30人、さらにワイン科学特別コースは13人が定員です。入学試験も地域食物科学科とワイン科学特別コースでは試験科目が少し違っています。入学後に進路を決めるわけではなく、入学試験を受ける時にワイン科学特別コースを志願する必要があります。(参考)
ワインを学んでみたい高校生ってどんなタイプなのだろう?と逆に興味がわきますね。
ワイン科学特別コース
ワイン科学特別コースでは地場産業であるワイン醸造のための人材を教育することを目的としています。私はワインをそれほど飲まないのですが、山梨のワインは高評価らしいのです。
以前、「発酵文化人類学」を読んで甲州ワインのことを知ったという記事でそのことを書いたことがあります。
ワイン科学特別コースのページにはこのように書かれています。
「ワイン科学特別コース」では引き続き、ブドウやワインに関する高度な専門知識と実践的な技術力を備え、ワイン製造に熱意を持った技術者・研究者の育成を目指しています。
6年間の教育を想定している
このコースは以前、工学部で行われていたワイン科学特別教育プログラムを引き継いだものです。以前から修士課程までの6年間の教育が行われていました。
「ワイン科学研究センター」ではこれまで前身の山梨大学工学部において、「ワイン科学特別教育プログラム」の学生に対し、学部1年生から修士課程終了までの6年間、ブドウやワインに関する高度な専門知識と技術力を持つスペシャリストの育成を目指した教育に努めてきました。
通常、学士は4年でもらえますが、ワイン科学士をもらうには6年かかるようです。
「ワイン科学特別コース」を卒業後、大学院で修士課程(2年)を終了するとワイン科学士を取得することが可能になります。
1年生から専門科目を学び始め、必修の専門科目として、ワイン科学、ワイン醸造学、ワイン分析学はこのコースの学生だけが履修するのだそうです。
その他、ブドウ栽培学実習・ワイン製造科学実習などの実習科目や、山梨県内のワイナリーでブドウ栽培やワイン製造の現場を体験することもできるようです。
学生は実際にどんなことをしているか
さて、山梨大学のサイトでワイン科学特別コースのことを大まかに知った後は、実際に学生はどんな経験をするのか知りたくなります。
探してみると、ブドウ栽培からワイン醸造までを実践的に学び、ワインの専門家を育成という記事が出てきました。
たとえば、科目の中にワイン科学ゼミⅡがあります。科目の名前だけ見ても中身はわかりませんが、テイスティングのトレーニングなのだとか。
3年生の北村栞(しおり)さんは、「ワイン科学ゼミⅡ」でワインのテイスティングのトレーニングを行ったことが、ワインの味を評価する上での基礎になったという。
「味の基本となる5味(甘味・塩味・酸味・苦味・うま味)をどの程度、認知できるのかをテストしました。人によって認知できる味の範囲が、異なることが興味深かったです」
実際にワイン造りをする話も書かれていました。
3年次にはいよいよワイン作りの実習が始まる。 「ブドウ栽培学実習」では大学の農場でブドウを育て、 「ワイン製造科学実習」ではそのブドウを使って4人程度から成るチームごとにワインを仕込む。北村さんは、この秋、ワインの仕込みを終えたばかりだ。
「メンバーと話し合い、飲みやすく渋みの少ないワインを目指すことにしました。その理想の味を出すために、味に渋みをもたらす皮と種を発酵途中で半分に減らす手法を採りました。また、味の違いを比べるために、2つの樽を用意し、天然酵母と培養酵母の異なる酵母を入れて今は熟成中です」 (北村さん)
4人程度でチームを組むのは、国内のワイナリーは小規模であることが多く、ぶどうの栽培、製造、販売までを一貫して手がけることが多いからだそうです。実践的な教育が受けられるということですね。
NOTE
YouTubeには山梨大学ワイン科学研究センターの紹介がアップされていました。