秋田県由利本荘市にある天寿酒造の限定酒、天寿 純米吟醸生酒★★★VER.ONEZERO-ONEZEROを飲みました。純米吟醸生酒で精米歩合は55%。ナデシコの花から分離した「ナデシコ酵母」ND-4東京農大短醸分離株でつくったのが特徴です。開けたてはやわらかい味がしましたが、翌日は東北の酒らしいガツンとした味になっていました。
お祝いにいただいた2本目の酒を開けた
昔の同僚が送ってくれた2本目のお酒を開けました。色の濃いビンに黒いラベル。「superior unpastuerised sake 2021 summer」と書かれています。特別な低温殺菌されていない酒(つまり生酒)。
天寿。なんか宗教的な名前みたいだなと思いました。もちろん、初めて飲む酒です。
ビンの反対側を見ると、住所が書いてあります。秋田県由利本荘市。秋田の酒なんだ。早速、グーグルマップで場所を調べました。秋田は、昔、オートバイで八幡平に行った時に一度通過したことがあるだけで、由利本荘市には行ったことがありません。
天寿酒造株式会社

日本名門酒会向けの限定品
日本名門酒会のサイトの純米吟醸生酒 ☆☆☆VER. ONEZERO-ONEZEROにはこのように書かれていました。
秋田の名峰・鳥海山の自然に抱かれた蔵元の、夏向きに三ツ星の味わいに仕上がった純米吟醸生酒。地元秋田県産《美山錦》とナデシコの花から分離した「ナデシコ酵母」で醸し、原酒でアルコール分15度に仕上げた純米吟醸酒を生のまま低温貯蔵しました。
「ナデシコ酵母」由来の華やかな香りとやわらかな味わいで、喉ごしも良く、まさに三ツ星の仕上がり。品良い夏の味覚と合わせて涼やかにお楽しみください。ちなみに「ONE ZERO-ONE ZERO」は「10・10」→「TEN・十」→「天寿」の言葉遊びです。
このお酒は限定品なんですね。
純米吟醸生酒
このお酒は純米吟醸の生酒です。なんてぜいたくな。酒税法では純米吟醸酒の原料と精米歩合に決まりがあります。精米歩合は60%以下とされています。詳しくは、吟醸香は酵母にストレスをかけると出てくるんだってをお読み下さい。
精米歩合55%
この酒の精米歩合は55%です。規定よりもう少し磨いているのですね。
美山錦
地酒サンマートさんの美山錦に説明がありました。
美山錦は、昭和53年長野県農事試験場にて「北陸12号」を母、「東北25号」を父とした「たかね錦」に放射線処理を行い、突然異変によって誕生した比較的新しい酒造好適米です。
醸した酒は、スッキリと軽快な味わいとなります。山田錦ほど心白は大きくはないが、北アルプス山頂の雪のような心白があることから美山錦と命名されています。主産地は長野ですが、秋田、山形、岩手など東北地方で広く栽培されています。
ND-4東京農大短醸分離株
使用酵母:ND-4東京農大短醸分離株と書かれています。こちらの蔵の社長さんも東京農大の卒業生なのでしょうか。この酵母は、ナデシコの花から分離した「ナデシコ酵母」です。
ND-4株について調べてみると、花から分離した酵母の性質と清酒醸造における特長という論文が出てきました。ND-4株に書かれていたことを抜き書きします。
ND-4株は日本酒度+4,アルコール 16.4%であった
アミノ酸度は ND-4株のみが1.8とやや高い値を示した
カプロン酸エチルを高生成した株は ND-4株
日本酒の甘辛度が分かる!「日本酒度」「酸度」「アミノ酸度」についてを読むと、数字の意味がわかります。
日本酒度は、一般的にマイナスになればなるほど甘口、プラスになればなるほど辛口。酸度は、日本酒に含まれる酸の量を表したものでコハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの量です。これは「キレ」に関係しています。アミノ酸度の高い日本酒は甘口、低い日本酒は辛口となります。
カプロン酸エチルは、炭素数8の脂肪酸カプリル酸とエチルアルコールのエステルで、甘いアプリコット・パイナップル様フルーティー香の成分です。吟醸酒の香り、吟醸香の一つです。
実際のお酒は、日本酒度+2、酸度1.5、アミノ酸度1.0と書かれていました。
やわらかい味
東北の酒はガツンと来る感じのが多いので期待しました。何しろ黒いラベルからして迫力があります。利き猪口に入れてみると、無色透明です。黄色がかっているのは照明のせいです。
口に含んでみると、あれっ、やわらかい。東北の酒というより、山口とか広島など西日本の酒のようです。
2日目に東北の酒になった
開けた直後に飲んだ印象は、やわらかい酒でした。正直なところ、少し迫力に欠けるような気もしました。しかし、冷蔵庫に入れて翌日飲んでみると印象が変わりました。
東北の酒らしい、ガツンと来る味になっていました。こういうことはわりと(値段が張る)よい酒で時々経験します。
空気にふれさせる
自宅でできる! 日本酒が段違いにおいしくなるプロのテクニックにはこのように書かれています。空気にふれさせることで味がよくなるのです。
次は日本酒全般に使えるテクニック。それは飲む数時間前に「開栓」するだけ。
「昔は開けたてがおいしいと言われていましたが、最近の日本酒は逆。開けたてだと味が『閉じて』いることが多く、うまみが感じにくい場合があります。そこで、夜に飲みたいなら昼間に開栓しておくと、飲むときに味が『開いて』バランスが整い、甘みがのりますよ」
開栓前の瓶の中は真空に近い状態。一度外気に触れさせて瓶の中と外の気圧のバランスを取ることで、味が広がるというわけです。
NOTE
日本酒もワインと同じように空気にふれさせるとうまくなると気がついたのは、何年まえだったか?それまでは、開栓直後が一番うまいのだとかたくなに信じていました。
今回は、1本目の花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒がなかなかインパクトのある味だったので、天寿 純米吟醸生酒★★★VER.ONEZERO-ONEZEROの魅力を見落とすところでした。