花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒

昔の同僚が送ってくれた花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒は、福井のお酒でした。精米歩合70%の純米酒です。大吟醸と同じ槽搾りをするところがこだわりです。無濾過なので、少し濁りがありますが、口に含むと酸味があるのが特徴です。生酛づくりをして純米酒にこだわりがある蔵でした。キレがあっておいしいです。精米歩合70%にはこだわりがあると思いました。

昔の同僚がお祝いに日本酒を送ってくれた

昔の同僚がお祝いに日本酒を送ってくれました。多分、最後に会ったのは2003年だった(と思います)。それ以降は、メールやSNSでやりとりをしています。昔、よく飲んでいたので、私が(もちろん向こうも)酒好きなことをよく知っているのです。

箱を開けてみるとラベルがオシャレなので最初はワインかと思いました。福井の花垣という銘柄です。考えてみると福井の酒は飲んだことがない、かもしれない。福井の米はアマゾンで3回玄米を買ったことがありますが、なかなかおいしかったです。福井も米どころです。

精米歩合70%

ラベルを見ると、精米歩合70%、アルコール度数は16%。精米歩合は高い方です。精米歩合が小さくなる、つまり60%とか50%とか、お米を磨いて小さくするほど、雑味が減ってすっきり系のお酒になります。一方、安い日本酒は、精米歩合が高いものです。

しかし、このお酒は、ラベルからこだわりが感じられます。わざと70%にしているのは明らかです。

ちなみに精米歩合は、お酒の種類によって酒税法で細かく決められています。詳しくは、吟醸香は酵母にストレスをかけると出てくるんだってに表を載せてあります。ちなみに、精米歩合70%以下とされるのは、本醸造酒ですが、醸造用アルコールを添加するのが決まりです。それ以外の酒は60%以下に決められています。

ただ、「純米酒」だけは精米歩合の指定がありません。このお酒の分類は、純米酒になります。

「番外編」が何を意味するのだろう?

ラベルの右を見ると、このお酒は、花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒というのだそうです。「番外編」が何を意味するのだろう?気になります。要冷蔵なので、クール便で来ました。

花垣のサイトを探してみました。株式会社南部酒造場が会社名です。

花垣
『花垣』醸造元 株式会社南部酒造場。北陸の小京都・福井県大野市で、手づくりの酒を生み続けて100年余り。良い水・良い米・良い人に恵まれた歴史ある酒蔵です。

最近は、南部酒造場と会社名をグーグルに入れると地図を表示してくれるので、必ず見るようになりました。

sake-hanagaki - Google 検索

会社のサイトには花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒について、このように書かれています。

当蔵では通常、大吟醸の搾りで使用する伝統的な搾り機・槽(ふね)。この槽を使い、手間ひま掛けて搾った極上の純米酒が、オンラインショップでもご購入いただけるようになりました!

このお酒は「普通とは異なる特別のもの」ということで、通称「番外編」と呼ばれています。

無濾過生原酒ながら度数を16度におさえたことで、濃厚な味わいを飲みやすく仕上げたこのお酒は、しっかりしたお米の味わいで、ほどよい酸と後味のキレが心地いい1本です。

さらっと書いてありますが、マーカーを引いた、槽(ふね)と無濾過について調べてみます。こういう時は画像検索すると一番わかりやすい記事がわかります。

槽(ふね)搾り

博多日本酒吟醸香というサイトの日本酒の搾り方「ヤブタ式」「槽搾り(ふねしぼり)」「袋吊り」記事を読むと、写真つきで説明されています。是非、リンク先を見てきてください。

「槽搾り」はこのように説明されていました。

「槽搾り」は、木などつくられた細長い酒槽に、醪を入れた酒袋を何層にも重ね押し蓋をして、上から圧を掛けて搾ること。槽搾りで原始的なのが、てこの原理を応用して圧を掛けるハネキ搾り。

「ヤブタ式」はガッチリ確実に搾ることができる。「槽搾り」から「袋吊り」になると、力がかかりにくくなり、搾る量が減ります。その代わりに雑味が入りにくくなるでしょう。贅沢な搾り方です。

花垣は、大吟醸を搾る時に、「槽搾り」を使います。このお酒は、大吟醸ではなく純米酒ですが、贅沢な「槽搾り」で搾ったのが特徴です。

無濾過は、濾過しないということですが、つまりは、槽搾りで集めた酒をそのまま入れたという意味です。日本酒の濾過はどのようにするのか知った方がその意味がわかります。

濾過はフィルターを通す

天吹酒造合資会社のサイトにある日本酒の雑学あれこれ(濾過)に写真つきで説明されています。こちらもリンク先を見てください。

濾過とは液体に固体が混ざっている 混合物を細かい穴がたくさんあいた多孔質(ろ材)に通して、穴よりも大きな固体の粒子 を液体から分離する操作です。

搾った酒には酒粕などの微細な物質が浮遊しています。冷やすと数日間でタンクの底に沈殿します。当社では0.5ミクロン(10,000分の5ミリ)のフィルターを通過させ浮遊物質を除去します。味の調整のため炭素など濾過助剤は使いません。

濁り酒を飲んだことがある方なら、「搾った酒には酒粕などの微細な物質が浮遊しています」と書かれている部分を読めば、無濾過の意味がわかると思います。少しだけ酒粕が混ざるのです。すると少し甘味が加わる印象があります。

口に含むと感じる酸味が特徴

早速、利き猪口に注いでみます。このように少し濁りがあります。若干黄色く見えるのは照明のせいです。

口に含むと生酒の香りがします。私、20歳の頃日本酒が嫌いだったのですが、冬に友人の部屋に行ったら宮城の一之蔵の「しぼりたて」が出てきて、それを飲んでから日本酒が好きになったことを思い出します。

しかし、このお酒はすっきりしたお酒の味とは少し違う複雑な味です。そして酸味が結構あります。そのせいか辛口でキレがよい感じがします。

このブログで記事を書いてきたので、酸味は酵母と仲よしの乳酸だろうと見当がつきます。でも、なぜこんなに酸味があるのだろう?

日本酒に含まれる代表的な有機酸5つはどんな味?─ 味わいを左右する酸と温度の関係を読むと、このように書かれています。

日本酒造りにおいて、乳酸菌が活躍するのは生酛です。酒母を造る際に天然の乳酸菌を繁殖させることで、生成された乳酸が雑菌による汚染を防ぎます。

生酛(きもと)は、酛すりという作業によってつくられます。蒸米と麹をペースト状に丁寧に摺りつぶし、さらに、「暖気入れ(だきいれ)」は、暖気樽(だきだる)という湯たんぽのような道具を使って温度を高め、この工程で乳酸菌が増えます。

このことは、「わが家でできるこだわり清酒」はドブロクと清酒造りが学べるを読んでいただくと詳しく書いてあります。

生酛づくりをしていた

花垣は、生酛づくりをしているのです。YouTubeの紹介動画のリンクを貼っておきます。もともとのページは、花垣の酒造りです。純米酒にこだわりを持っている会社だったのですね。

花垣の酒造り
『花垣』醸造元 株式会社南部酒造場。北陸の小京都・福井県大野市で、手づくりの酒を生み続けて100年余り。良い水・良い米・良い人に恵まれた歴史ある酒蔵です。

NOTE

一通り花垣のサイトを読んだのですが、花垣 「番外編」槽搾り 純米無濾過生原酒が、精米歩合70%である理由がわかりませんでした。もちろん、単純にお米を磨くと重量が減ってしまうので、原材料費が上がります。

ひょっとすると、精米歩合70%でも手間をかけるとこんなにおいしい酒がつくれて、比較的リーズナブルな値段で出荷できるんだぜという主張が入っているのかもしれないと思いました。

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