納豆キナーゼ(ナットウキナーゼ)について調べてみた

納豆といえばお腹の調子がよくなる以外によく知られているのは、血栓を溶かす納豆(ナットウ)キナーゼです。力が強く、食べても効果があるとか。納豆を食べるだけでよいのですから、できるだけ毎日食べましょう。

納豆

納豆を自家製造している私には、実によい話題です。納豆をつくっていても食べない日もありますが、毎日きっちり食べているとどうなるのだろうかとか、肉をあまり食べないようにして主なたんぱく源を納豆にするとどうなるのだろうかと興味があります。

こういうのは、自分の体で実験するのが一番よいです。自分が50歳を過ぎているので、血栓というのもだんだん身近な話題になってきました。

血栓ができる仕組みと、それを溶かす酵素については、こちらの記事で書きました。

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納豆キナーゼとは

納豆キナーゼ(ナットウキナーゼ)は酵素です。納豆菌によって大豆が発酵するとき、ネバネバした糸を引きますが、この中にナットウキナーゼが含まれています。

倉敷芸術科学大学の須見洋行先生が1987年に発見されました。納豆の活性は強く、市販の納豆1g(3~4粒)は、血栓溶解剤として使われているウロキナーゼの約1600国際単位(IU)にも相当するそうです。

通常、心筋梗塞の発作直後の患者さんには、20万~30万IUのウロキナーゼが投与されるのですが、市販されている納豆1パックは、それと同等の効果をもつことになりますとありました。(食品機能学への招待―生活習慣病予防と機能性食品P53)

また、納豆の機能性という論文を読むと、その単位数は、臨床で当時用いられていた約1回分(当時約20万円)と同等だったそうです。

ところで、なぜ納豆が血栓を溶かすなんて考えが浮かんだのだろうと思いませんか?ネットを探していたら、須見洋行先生のインタビューがありました。

納豆キナーゼ発見のきっかけ

納豆インタビュー/納豆文化村

この中で、なぜ納豆と血栓の関係について調べようと思われたのか、きっかけが書かれていました。私、こういう話が読みたかったのです。是非、上のリンク、納豆インタビューを読んでみてください。

須見さん:納豆を食べたその時、ふとひらめいたんです。血栓はタンパクで出来ている。大豆のタンパクを溶かす納豆菌は血栓のタンパクも溶かすのではないかと思い、アルミホイールに包んで、次の日研究室へ持って行ったんです。

シャーレに人工的に血栓を作り、その上に納豆を乗せたところ、見事に血栓を溶かしたんですね。当時研究していた血栓溶解酵素では午後3時に実験を開始し、翌朝9時に血栓溶解酵素の周り約1cmくらいが溶けるんです。

それが納豆の場合は午後3時にシャーレの真ん中に納豆を置いて、5時にさあ帰ろうと思ってシャーレを見ると、1cm以上溶けてるではないですか。これはすごいと思い翌朝9時に見ると、シャーレ全面が溶けていたんです。

これは大発見!すごいテーマが見つかったと思いましたね。その後日本に帰り、いろいろとまとめて、1986年日本農芸化学会で納豆が血栓を溶かすことを発表したんです。それがNHKでも紹介されたんです。

ものごとを発見するきっかけは、意外と日常生活の中にあります。ずっと血栓のことを考えていたから、食べた納豆も実験材料になったのですね。

納豆キナーゼは食べても効く

ナットウキナーゼは、静脈に注射するだけでなく、口から入れても生体内の血栓をよく溶かすそうです。納豆の機能性には、実験データなども掲載されています。ナットウキナーゼを腸溶カプセルにして被験者に飲ませてみると、ナットウキナーゼがマイルドながら非常に長時間にわたって血中の線溶亢進を起こすことが分かりました。

さらに、ナットウキナーゼは、被験者自身の体がもつt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)という、血管内皮細胞から産生される線溶系酵素の血中抗原量が増えることが分かりました。つまり、t-PAがたくさんつくられているのです。

t-PAは企業がバイオ技術を競って開発しようとしている第2世代の血栓溶解剤といわれるものだそうです。それが納豆を1パックか2パック食べると増えるというのは痛快ですね。

納豆をめぐる嘘について

ナットウキナーゼを調べ始めると、納豆についてネガティブな記事がたくさん出て来ました。

納豆を食べるとダイエットになるとウソの内容を流して終わった番組や、納豆を食べると血液サラサラになると放送して抗議を受けた番組など。私が納豆自家製造に励むようになったのも、もともとテレビの影響で納豆が店頭から消えてしまい、しばらく買えなくなったからです。

テレビが流した内容が、新しい商品を売るためだったらかなり問題ですが、今までさんざん食べてきた納豆に新しい一面が見つかったというだけのことなので、私は気にしません。

ナットウキナーゼについてかなり念入りに検索しても、須見洋行先生以外の論文がなかなか出てこないようなので、もっと研究してほしいです。

NOTE

私はサプリメントがあまり好きではありません。ナットウキナーゼのサプリメントはたくさん出ているようですが、そんなもの(失礼!)を飲むなら、炊きたてのご飯にネギと醤油をたらしてよくかき回した納豆をかけて食べた方がよいと思います。

おかずの一品になり、おまけに安い。自家製造すると分かるようになりますが、メーカーの品質管理は大したもので、水分調整などなかなか真似できません。

この記事を書くために納豆のことを調べましたが、毎日必ず納豆を食べることにしようと思いました。

納豆について記事をいくつか書いています。他の記事は、納豆についてをご参照下さい。

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