納豆は栄養価が高いといわれます。よく練って醤油と薬味のネギを加えてご飯にかけて食べれば、本当にいつもおいしくて幸せを感じます。
発酵仮面こと東京農大(もう退官されましたが)の小泉武夫先生は、海外に行くときは必ず大量に納豆をもって行き、少しおかしなものを食べたときは、必ず2パック食べるそうです。それでお腹を壊したことがないそうです。
そんな納豆ですが、大豆が原料ですからタンパク質が多いのは常識ですが、他にどんな成分からできていて、どんな特徴があるのでしょう?
納豆のカロリーと栄養成分
納豆の三大栄養素の分析は下の表のようになります。早速、他のものと比較しながら考えてみましょう。
エネルギー | 200kcal |
水分 | 59.5g |
たんぱく質 | 16.5g |
脂質 | 10.0g |
炭水化物 | 12.1g |
灰分 | 1.9g |
納豆は意外とカロリーがある
納豆のカロリーは、100gあたり200kcalあります。これは意外と多い。ご飯100gで168kcalなので、ご飯よりカロリーがあります。これはもともと大豆に、油が20%くらい含まれているからです。
しかし、パスタ(乾麺)100gは379kcal。それにオリーブオイルを10g使うと90kcal。一人分のパスタを食べることを考えると、納豆はダイエットに気をつかう人でも許せる範囲だと思います。
納豆はタンパク質が多い
何度か書いたことがありますが、小学生の頃、担任の教師が「大豆は畑のお肉」と繰り返しいっていたので記憶に残っています。私が子供の頃は、たんぱく質をとらなければならないといわれていたものです。
納豆100g中のタンパク質は16.5g。
例えば、牛肉、肩ロース脂身つき(生)100gのたんぱく質は、13.8gです。牛ロース肉よりたんぱく質が多いです。
ちなみに、日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、18歳以上の男性のタンパク質推奨量は1日60gです。また、18歳以上の女性のタンパク質推奨量は、1日50gです。
納豆にも脂肪がある
脂質は10gあります。大豆は油をしぼる油糧作物としても知られていますが、含油率は約20%です。大豆をゆでたり蒸して発酵させる間に減ってしまうようです。サラダ油の原料は、大豆となたねです。
では、詳細に見ていきましょう。
灰分(ミネラル・ビタミン)、タンパク質(アミノ酸)、脂質(脂肪酸)について書いていきます。脂質には、コレステロールもありますが、納豆にコレステロールは含まれていません。
納豆のその他の栄養成分
ナトリウム | 2mg |
カリウム | 660mg |
カルシウム | 90mg |
マグネシウム | 100mg |
リン | 90mg |
鉄 | 3.3mg |
亜鉛 | 1.9mg |
銅 | 0.61mg |
セレン | 16μg |
クロム | 1μg |
モリブデン | 290μg |
α-トコフェロール | 0.5mg |
β-トコフェロール | 0.2mg |
γ-トコフェロール | 5.9mg |
δ-トコフェロール | 3.3mg |
ビタミンK | 600μg |
ビタミンB1 | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.56mg |
ナイアシン | 1.1mg |
ビタミンB6 | 0.24mg |
葉酸 | 120μg |
パントテン酸 | 3.60mg |
ビオチン | 18.2μg |
水溶性食物繊維 | 2.3g |
不溶性食物繊維 | 4.4g |
脂肪酸総量 | 9.30g |
飽和脂肪酸 | 1.45g |
一価不飽和脂肪酸 | 2.21g |
多価不飽和脂肪酸 | 5.65g |
ミリスチン酸(C:14:0) | 28mg |
パルミチン酸(C:16:0) | 1100mg |
ステアリン酸(C:18:0) | 360mg |
パルミトレイン酸(C:16:1) | 28mg |
オレイン酸(C:18:1) | 2200mg |
リノール酸(C:18:2) | 5000mg |
α-リノレン酸(C:18:3) | 670mg |
イソロイシン | 760mg |
ロイシン | 1300mg |
リシン | 1100mg |
メチオニン | 260mg |
シスチン | 320mg |
フェニルアラニン | 870mg |
チロシン | 680mg |
トレオニン | 620mg |
トリプトファン | 240mg |
バリン | 830mg |
ヒスチジン | 480mg |
アルギニン | 940mg |
アラニン | 680mg |
アスパラギン酸 | 1800mg |
グルタミン酸 | 3200mg |
グリシン | 680mg |
ブロリン | 900mg |
セリン | 720mg |
アンモニア | 450mg |
でんぷん | 0.3g |
果糖 | 0.1g |
骨粗鬆症対策には納豆のビタミンK2
納豆に含まれるビタミンKは600μgです。μgとはマイクログラムと読み、1/106g(グラム)、つまり100万分の1g(グラム)を表しています。
ビタミンKは茶葉を始め、わかめパセリなどに多く含まれ、納豆も含有量としてはかなり多い方です。ビタミンKは血液凝固に関係しているので、血液サラサラにするためにワーファリンを飲んでいる人は避けなければいけないビタミンです。
一方骨粗鬆症の予防に、納豆がよいことも知られています。それは納豆菌がつくりだすビタミンKによるものです。特に納豆菌はビタミンK2(メナキノン-7)をつくり、ビタミンK2の効果が高いのです。
一方、日本人の食事摂取基準(2015年版)によれば、日本人の18歳以上の男性も女性も目安量は、150μg/日です。納豆を1パック(50g)食べてもお釣りが来ますね。
納豆にはリノール酸が多い
脂肪酸について、納豆は100gあたり、5gのリノール酸を含みます。今はリノール酸のとり過ぎに注意するようにいわれる時代です。日本人の食事摂取基準(2015年版)によれば、リノール酸を含むn-6系脂肪酸の1日の目安量はせいぜい10gです。目安量については、このように説明されていました。
十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合は、「目安量」(adequate intake:AI)を設定した。一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
今はリノール酸とり過ぎを気にする人が増えていますので、ご参考まで。他の食べ物でリノール酸を調整してください。
セレンはとり過ぎに注意?
奇跡の納豆パワーには次のように書かれていました。
納豆にはセレンというミネラルが含まれていますが、このセレンの一日の摂取上限値が納豆100g(約2パック)に含まれる量に相当しますので、食べ過ぎには注意が必要です。
上の表にも書きましたが、納豆100g中のセレンの含有量は16μgです。
念のため確かめておこうと思い、日本人の食事摂取基準(2015年版)を見ると、10歳以上の男性女性とも、推定平均必要量は20μg/日以上で、推奨量は25μg/日以上だったので、それほど心配するようなことはないと思います。
NOTE
納豆に含まれるタンパク質の多さは、昔から「畑のお肉」といわれてきたことが思い出されます。しかも適当にアミノ酸に分解されているのですから、消化吸収されやすい食べ物です。ご飯と納豆、味噌汁の食事をしていると、それほど栄養が不足することはないかもしれません。
納豆について記事をいくつか書いています。他の記事は、納豆についてをご参照下さい。