納豆に含まれている4つの栄養

納豆に含まれているリジン、大豆サポニン、レシチン、カリウムについて説明します。年齢が上がってくると記憶に関係があるレシチン、血圧対策のカリウムがありがたく感じられます。

納豆

納豆のリジンはご飯と相性がいい

人間に必要なアミノ酸は20種類あり、その中でも、体内で十分な量を合成できず、栄養分として食べ物から摂取しなければならないアミノ酸のこと必須アミノ酸といい、今は9種類あります。(出典

必須アミノ酸は、次の通りです。

①トリプトファン②リジン③メチオニン④フェニルアラニン⑤トレオニン⑥バリン⑦ロイシン⑧イソロイシン⑨ヒスチジン

私が高校生の頃は必須アミノ酸は8つでした。(なぜか今でも覚えています)ヒスチジンが新たに加わったものです。

ご飯と納豆の組み合わせはよい

下の表を見てください。白米にはリジンがほとんどないですが、納豆には100gあたり1100mgもあり、普通の体格をした人の1日分をほぼまかなえます。少し少ないですが、ご飯と納豆以外のおかずも食べているので、不足することはないでしょう。

一般に植物性タンパク質にはリジンが少ないのですが、納豆にはリジンが豊富に含まれています。

品名100gあたりリジン含有量
出典
精白米83mg
糸引き納豆1100mg
体重50kg当たり推奨量1500mg
体重60kg当たり推奨量1800mg
※WHOによる必須アミノ酸の成人向け1日当たり推奨摂取量

大豆サポニン

豆腐や豆乳を味わうと、舌や喉を刺激する「えぐみ」「渋み」を感じられます。これは収斂味といわれます。この主な成分がサポニンです。

「サポ」とは「泡立つもの」という意味があり、水を加えて振ると、泡立つ性質があります。

大豆サポニンは、食品添加物として認可されており、天然の乳化剤として利用可能です。出典

サポニンは以前、赤血球を破壊する作用があること、甲状腺異常を引き起こすことが問題になり、有害な物質だといわれてきました。

しかし、サポニンが水や油に溶ける性質があることが分かり、血管をきれいにして、動脈硬化の予防や脂肪の酸化を防ぐ作用があることが分かってきました。まいにち納豆

記憶力低下に効果的なレシチン

脳の働きは20歳代がピークといわれているそうです。本当かなと思いましたが、30代の頃を思い出してみると、前半にwin95(インターネット)時代が始まり、急激に漢字が書けなくなっていったのは確かです。

記憶力低下に効果的なのはレシチンです。レシチンは生体膜の主要構成成分なので、動植物のすべての細胞に存在しています。

生体膜とは、細胞膜や、細胞内の核を包む核膜、その他細胞内小器官といわれる小胞体・ミトコンドリア・葉緑体・ゴルジ体などを構成する膜のことをいいます。

レシチンは大豆に多い

レシチンはもともと、卵黄から発見されましたが、大豆にも多く含まれています。お菓子のパッケージをひっくり返すと「大豆レシチン」と書かれていることがあります。

ドイツの研究者がレシチンを豊富に含んだ食事を学生たちに与えて、学習能力を調べた結果、記憶力が高くなったというデータがあります。記憶には脳内の「海馬」という場所に記憶し、覚えてもすぐに忘れる短期記憶と、長く記憶している長期記憶がありますが、この実験では短期的な記憶力がアップしたそうです。

アメリカでも同様の実験がされ、レシチンを含む食品を食べた人たちは、食べなかった人たちに比べ、記憶力が25%も上昇したといわれています。

レシチンを食べると、分解されてコリンの材料になります。コリンは脳まで行くとアセチルコリンになります。アセチルコリンは神経伝達物質で、記憶と学習に関係しています。

レシチンは痴呆症の予防にも

また、痴呆症の予防にも、レシチンが効果的だといわれるようになってきました。痴呆症のうち、脳血管性痴呆は、動脈硬化などによって血液の流れが悪くなり、脳全体に十分な酸素と栄養が行き渡らないために、脳の機能が低下していくものです。

レシチンは、血液中のコレステロールを減らして、動脈硬化を防ぐので、脳血管性痴呆に効果的だと言われています。

カリウムは血圧対策

もともと大豆(乾燥)には100gあたり2000mg程度カリウム(K)が含まれています。納豆に加工されても100gあたりカリウムは660mg~700mg程度含まれています。これは一度に100g当たり前に食べる食品に含まれる量としては多い方です。

塩の成分であるナトリウム(Na)はカリウムとともに、血管壁の物質の出入りを調整する働きがあります。

ナトリウムとカリウムの働きは拮抗していて、ナトリウムは水分などを血管内に引き入れる役割で、カリウムは逆に血管の外に出す役割をします。

この2つがバランスを取って体内の水分を調整しています。

しかし、塩を摂りすぎてナトリウムが多くなると、水分を血管に引き入れる量は多くなりますが、出て行く水分は少なくなり、血管はパンパンになってしまいます。すると、圧力が高くなり、高血圧になります。

そこで、カリウムを摂取すれば、余計な水分を出してくれるので血圧も正常になります。

日本人の食事摂取基準(2015年版)によれば、成人男子では目安量は2500mg/日、成人女子では2000mg/日です。目安量はこれだけとっていれば不足することはないという量です。

さらに、目標量があり、生活習慣病の一次予防のため定められています。成人男子では3000mg以上/日、成人女子では、2600mg以上/日です。

納豆を100g食べると、目標量の1/5~1/4くらい摂ることができますね。もちろんまだ足りませんから、海草や青菜から摂る必要があります。ちなみに生の葉っぱで一番多かったのはフダンソウで100gあたりカリウムが1200mg含まれていました。

納豆について記事をいくつか書いています。他の記事は、納豆についてをご参照下さい。

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