納豆は、保温さえうまくできれば簡単に自作できます。私は保温器としてタニカヨーグルティア(ヨーグルトメーカー)を使っています。納豆を作るために、材料や仕込み方法、失敗しないためのコツ(気をつけること)を説明します。大豆の安い入手先もご紹介します。
納豆好きなら自作してみよう
納豆を作り始めたきっかけは、健康番組の影響で毎日売り切れになって、しばらく買えなくなったからでした。記録を見ると2007年のことでしたからもうずいぶん前のことになります。1ヶ月以上買えなくてとても困りました。
このように、納豆を作る原理はカンタンです。
用意するもの
必要な材料は大豆と納豆だけです。
- 乾燥大豆300g
- 一番安い納豆1パック(40~50g入り)
- 圧力鍋
- タニカ・ヨーグルティア(もしくはヨーグルト・メーカー)
300gの乾燥大豆を仕込むと、できあがりは700g程度の納豆になります。うちでは妻と2人で1週間くらい食べられます。材料の入手先については、つくり方を書いたあとに改めてご紹介します。
納豆菌を別に買った方が強力な糸引き納豆ができるようですが、私はスーパーの安売りの納豆を40gくらい種菌にしています。
種菌の量は本当はもっと少なくてよいみたいですが、保険だと思って多めに入れています。
ヨーグルティアを使って納豆をつくる
私は保温器としてタニカヨーグルティアを使っています。大豆を水に浸けてふくらんだら圧力鍋で蒸します。蒸し上がった大豆が熱いうちに種となる納豆を入れたヨーグルティアの容器に移し、中ブタをしないでフキンやペーパータオルをかけ、45℃24時間保温します。でき上がった納豆は別な容器に移し、冷蔵庫で寝かせて保存します。
大豆を水に浸ける
最初に乾燥大豆を300gはかります。
鍋に水を入れて軽く洗います。大豆は水に入れただけで泡立って来ますが、大豆はもともとそのような性質なのです。泡はサポニンによるもので、特に豆が古いわけではありません。
軽く洗って豆がしっかり浸かる以上の水を入れておきます。高さとしては3倍以上が目安です。そして12時間おきます。夏のように気温が高い時は、8時間程度でも大丈夫です。大豆のふくらみ方でわかるようになると思います。
やってみると分かりますが、12時間も置いておくと、水が泡だらけになります。そして、大豆特有の青臭いようなにおいもつきます。
夏は室温が上がるので、途中で水を取り替えた方がよいです。以前、大豆もやしを作ろうと思って、見事に腐らせたことがあります。大豆はまめに水を替えた方がよいです。
仕込むときは、もう一度よく大豆を洗ってからざるで水を切って、蒸し器を中にセットした圧力鍋に入れます。
私のいま使っている圧力鍋はかなり小さいですが、何とかなっています。
圧力鍋で30分蒸す(圧力鍋によって違います)
火をつけて重りからシューシュー蒸気がもれるようになったら、火を小さくしてタイマーをかけて30分蒸します。
大豆は煮てもよいそうですが、時間がかなりかかるのと、大豆の味が薄くなるそうです。圧力鍋を使えば30分で大豆が柔らかくなります。(なお、30分というのは私が使っている圧力鍋での設定時間で、圧力鍋によって違います。説明書で確かめてください)
その間にヨーグルティアの内容器に熱湯を入れ、そこにスプーンをさして、熱湯消毒しておきます。また、納豆を1パック出してよくかき混ぜておきます。
蒸し終わった大豆を熱いまま冷まさずに内容器に移す
30分経って火を止めると、しばらくして圧力鍋のフタが開くようになります。蒸すと色が黄色っぽく変わります。煮豆のよいにおいがしますよ。やわらかく指でかんたんに潰れます。念のため確認してください。固さが残っていると固い納豆になります。
それまでに、内容器の熱湯を捨て、納豆を内容器に入れておきましょう。納豆を底に入れて上から蒸した大豆を入れる方が混ぜやすいです。
圧力鍋のフタが開いたら、大豆を素早くざるに移し、お湯を切ってすぐに内容器に入れます。冷ましてはいけません。(これがコツ)
最初に、スプーンで熱い大豆を少し入れ、納豆と一緒にかき回してしまうと、その後大豆と納豆が混ざりやすくなります。
下の写真のようにスプーンでかき混ぜてしまいます。
この後は、大豆を少し足しながらかき混ぜることをくり返せば、大豆と納豆がよく混ざった状態になります。
納豆菌は実に強く、100℃くらいでは死にません。100℃1時間でも平気だそうです。
熱い大豆を納豆に絡めるのは、他の雑菌がいないうちに大豆に納豆菌を植え付けてしまう作戦だからなのです。
私の後輩は、つい、熱い大豆を冷ましてから納豆と混ぜたらしいですが、見事に失敗したそうです。納豆は大豆が熱いうちに仕込まないとだめです。
十分に混ぜたら、ペーパータオル(ふきんでもよいです)を2枚乗せて、少し置いておきます。(すぐにセットしないのは高温からヨーグルティア本体を守るためでしょう)
ヨーグルティアにセットする
内容器の外側をさわって、アチチから少し温度下がったら、内ブタをしないで外ブタをつけ、ヨーグルティアにセットします。
外ブタの上からペーパータオル(ふきんでもよいです)を2枚乗せて、ヨーグルティア本体のフタを乗せます。
納豆菌は、酸素が必要な好気性菌なので、ヨーグルティア本体のフタは少し開けておきます。
温度設定と時間設定はこのようにしてます。
- 設定温度・・・45℃
- 設定時間・・・24時間
あとは、できあがりを待つだけです。
においは部屋やものに移らないですよ
ヨーグルティアに大豆をセットして12時間過ぎると、だんだん納豆のにおいがしてきます。私の友人二人はこのにおいが気になり、ヨーグルティアで納豆製造を止めてしまいました。部屋ににおいが残ったり、衣類やカーテンににおいが移ったら嫌だと思ったそうです。
私はもう何回作ったか覚えていないくらい納豆を作っていますが、納豆を作っていない時に外から帰ってきて、納豆のにおいを感じたことはありません。安心して作って下さい。
心配な方は、土曜日に作れば仕事にいく月曜日まで時間があるので安心でしょう。
24時間後できあがり
24時間後出来上がったものはこんな感じになります。
自作している方ならおわかりだと思います。表面は立派な納豆になっていますが、下は納豆の味はしてもまだ黄色っぽい色です。
しかし、その時点で食べても十分おいしくいただけるので、何も問題はありません。試しにスプーンですくって食べてみてください。できたての納豆の味がします。おいしいですよ。
ちなみに、タニカの説明書には冷蔵庫で1日熟成させると書かれています。
内容器の納豆の上にラップをかけて冷蔵庫へ
さて、ここから先は、品質向上のための工夫です。時々書き換えていますので、現在読むことができるのが最新版だと思って下さい。
まず、でき上がった納豆をかき混ぜないで、内容器の納豆に直接ラップをかけて空気になるべくふれないようにして冷蔵庫で24時間冷やします。
かき混ぜると、でき上がった納豆の大部分が空気にふれることになり、糸を引かなくなります。
でき上がったら空気にあまりふれないようにする
24時間後、でき上がった納豆は、最初はよく糸を引いていますが、やはり、かき混ぜて空気に当てていると糸を引かなくなってしまいます。そのため、でき上がったらなるべく空気にふれないようにします。
そのため、小さめの容器に小分けして保存するのがよいです。
小さめのタッパーのような容器は、100均で3個100円などセットで売ってます。そのようなものを用意して、小分けして「ギッチリ」入れて、上から納豆に密着させるようにラップをかけます。
そうすると、納豆のネバネバが長持ちします。
大きな容器に入れないこと
たくさん納豆ができても大きな容器に入れないことです。大きな容器に入れると、最初は容器内に納豆が詰まっているのでよいですが、食べ始めるとすぐに空間があきます。
すると四六時中空気にふれることになり、わりとすぐに糸を引かなくなってしまいます。糸を引かない納豆を食べても特別問題はありませんが、なんだか興ざめしてしまいます。
また、味も変わりやすくなります。
ヨーグルティアで納豆をつくる時失敗しないためのコツ
蒸した大豆が熱いうちに仕込むことと、途中でかき混ぜないことは厳守してくださいね。
内容器は洗剤でよく洗う
内容器に100℃のお湯を入れてしばらく置いておけば殺菌できると思いますが、念のため、使う前に洗剤を使ってよく洗いましょう。そうすれば完璧です。
蒸した大豆が熱いうちに作業する
上でも書きましたが、大豆が熱いうちに納豆とよく混ぜてしまうことが必要です。空気中にはたくさんの菌が飛んでいますから、熱くて他の菌が生存できない状態のうちに納豆菌を植えつけてしまうのです。
途中でかきまぜない
私は生半可に知識があったので、途中で底の方にも酸素を入れてやろうと混ぜたことがあります。納豆菌は生育に酸素を必要とする菌だからです。
しかし、全体の温度が下がってしまうのでしょう。できが悪くなります。具体的には、あまり糸を引かない納豆ができてしまいます。保温がとても大切です。
種にするのは安い納豆の方がよい(?)
せっかく納豆をつくるのだからと奮発して高い納豆を種に使うより、売り場で一番安い納豆の方が、できあがりがよくなります。納豆菌が強いのかもしれません。
仕込む時に砂糖を足して納豆菌を元気づける
種として買って来た納豆が種として弱いようだったら、仕込む時にカレースプーン1杯の砂糖を加えるのも「手」です。砂糖は納豆菌のエネルギー源になります。糸引きが強くなります。味には影響しません。
自作納豆は種にしない方がよい
本来、できあがった納豆は、次の納豆を仕込むときの種になるはずなのですが、たいてい失敗します。原因は水分が関係していると思います。
ヨーグルティアで納豆を作ると、どうしても水分が多めに仕上がります。それが納豆菌を弱くするのでしょう。次の納豆を仕込むときに使ってもうまくいかないです。
水分調整ができると多分うまくいくようになります。
以前、納豆の品質に関する論文を読んで納豆をつくる時は温度変化をつけるとよいかもしれないという記事を書きましたが、納豆の「糸引き」は最後の工程、温度を下げた除湿と関係が大だそうです。

材料の入手先とあると便利なもの
乾燥大豆
買っている大豆は国産で安いものを探しています。1キロ500円を切るくらいがよいと思います。今のところアマゾンで買っています。楽天でも同じ会社から同じ値段で買えます。
まめやの底力北海道産大豆1kgが448円です。ただし、関東までの送料が650円と別途かかります。最近は6キロずつまとめて注文しています。
詳しくは、大豆をまとめ買いするなら今のところネットが安いをご覧下さい。

私は6キロずつ注文しているので、まとめ買いするととても割安になります。
小粒と書かれているものを買っても、普段食べている納豆に比べるとはるかに大粒のものができますからご安心を。
圧力鍋
圧力鍋は一つあると便利です。酵素玄米を炊いてみたでも書きましたが、昔と違って品質のよい圧力鍋が安く買えるようになりました。酵素玄米を炊いてみたという記事で、圧力鍋を紹介しています。
一番のおすすめは、パール金属 圧力鍋 5.5Lです。5.5Lで玄米は8合まで炊けます。品質がよく安いです。5000円しません。もちろん、もっと小さいサイズもあります。
ヨドバシカメラや、ドンキホーテでもよく見かけるので、直接さわってから買った方がよいです。私が品質がよいと書いた意味が分かっていただけると思います。
圧力鍋は、大きいものを買った方が使いやすいです。特に酵素玄米を炊くことを考えている方は、この大きさが必要でしょう。
タニカ・ヨーグルティア
私が買った時から、人気№1の商品でした。タニカはもともとお燗する機械のメーカーだったそうで、正確な温度管理の技術を持っているのだそうです。
ヨーグルティアについては、ヨーグルティアはヨーグルトメーカーのスタンダードじゃないか?に詳しく書きました。
NOTE
毎週、納豆を仕込んでいます。土曜日の晩に大豆を水につけて、日曜日の昼に仕込みます。月曜日の昼にはできあがりで、だいたい1週間食べられます。
慣れると、何もむずかしくなく、他のことをしながら片手間仕事でできます。発酵食品をつくるのは簡単です。菌が多少のアバウトさを許容してくれるのです。
一度、自作の大粒納豆に慣れると、買って来て食べる納豆の粒が小さすぎるような気になると思います。納豆好きなら、是非、やってみてください。きっとやめられなくなると思います。おいしくて。
納豆について記事をいくつか書いています。他の記事は、納豆についてをご参照下さい。
ヨーグルトについて他にも記事を書いています。ヨーグルトについて書いた記事をご覧下さい。