ドングリの形や重さが子供頃から好きです。たくさん集めると重量感があって、ポケットに入れると満足できました。針葉樹にはこんな大きな実はならないですから、広葉樹は豊かだなと思ったものです。
ところで、ドングリが食べられるとは知りませんでした。皮をむくと渋みがきつそうな薄皮がでてきます。木の実だから食べられるのかもしれませんが、食べてみようと思ったことはありませんでした。
発酵の技法 ―世界の発酵食品と発酵文化の探求には、ドングリの食べ方が書かれていました。
ドングリを食べる
ドングリは、北米など各地で多くの先住人に重要な栄養源として利用されてきたそうです。
ドングリ愛好家のSuellen Oceanは次のように書いています。
私は芽生え始めたドングリを集めるのが好きです。芽生えることによって、ドングリの栄養価が高まるからです。ドングリは「デンプン質」の段階を過ぎて、「糖」の段階に変化しています。芽生えによって、殻をむくのも楽になります。
芽生えたものは良質のドングリなので、虫の食ったドングリを集めて時間を無駄にしなくて済むというメリットもあります。ドングリの果肉が緑色になってしまっていない限り、2インチ/5cmの芽が生えたドングリは大丈夫だということがわかりました。私は芽を折り取って使います。
いろいろなことをためす人がいつも必ずいます。芽が生えるとよいドングリだと選別でき、発芽によって酵素がつくられ、デンプンがエネルギー源の糖に変化していくので甘くおいしくなるのでしょう。
アクを抜く
多くのナラの木のドングリには高レベルのタンニンが含まれていて、食べる前にはアク抜きが必要です。
アク抜きをするには、ドングリの殻をむき、砕いて水に浸けます。ドングリは乾いたまますり鉢とすりこ木で粉にしてもよいし、水と混ぜてミキサーやフードプロセッサーで砕いてもよい。
できるだけ細かく砕いて粉にして、水と触れる表面積を大きくして、タンニンがしみだしやすくします。
実際にアク抜きするためには、細かい網の袋にいれて蒸気に当ててもよいし、何日間か繰り返し水に浸してもよい。蒸気に当てるのが最も速い方法です。
ドングリの粉を水に浸しているうちに、果肉が容器の底の方に沈んで水が黒ずんできます。少なくとも1日に1回は黒ずんだ水を静かに注ぎだして捨てます。
これをくり返すうちにタンニンが抜けて、水の黒ずみが少なくなってきます。黒ずみがなくなるまで、清水ですすぎます。ドングリの粉を発酵させたい場合には、タンニンが抜けた後もさらに数日間、少量の水に浸しておきます。
調理法
ドングリは、さまざまな食品の栄養価を高めたり、風味をつけたりするために使えます。
カリフォルニア州ヨセミテヴァレーに住むミウォク/パイユート族のJulia F.Parkerが、It Will Live Foreverというドングリ調理に関する美しい本を書いています。
この本の中でアク抜きをしたドングリの粉と水だけで作るシンプルな粥(nuppa)を作る伝統的なテクニックを紹介しています。
また、別のカリフォルニア先住民族Cahto族の言語のウェブサイトでch’int’aan-noo’ool’という発酵ドングリ/ドングリチーズが紹介されていると書かれていましたが、発見できませんでした。
しかし、世界は広い。日本でドングリを発酵させている人がいました。
ドングリを発酵させる
ドングリを発酵させている人がいました。【黒いうさぎのれおんくん∂⍵∂】というブログで記事を読むことができます。
クックパッドには、れおんくんのママのキッチンを公開されています。

ぐりこうじ2015(どんぐり味噌2015)これがどんぐり料理だ!という記事では、ドングリを使った味噌造りがでています。

詳しくは、ぜひ、この方の記事を読んでください。
簡単に説明すると、ドングリを割って皮をむいて、水から茹でます。それをフードプロセッサーで粉砕し、裏ごしします。アク抜きはしていません。
そこにみやここうじと塩を加え、お湯を入れて混ぜて保温します。所定時間たったら、また裏ごししてできあがり。裏ごしするのは麹の粒をつぶすためです。
万能調味料で、スプーン1杯で砂糖、酒、醤油、みりん、全部合わせたようなテイストなのだとか。
ドングリでビール
埼玉県の有機農業で有名な小川町には麦雑穀工房マイクロブルワリーがあり、ドングリを原料に使った里山ビールの作り方がでています。

こういうのはいいなあ、心ひかれます。
まとめ
今はお米を食べるのが当たり前ですが、歴史で習った通り、稲作が始まるのは弥生時代から。それまではデンプン質は、いもや木の実くらいしかありません。
ドングリをネットで調べると縄文人の話が一緒に出て来ます。今は木の実というとすぐに食べられる限られたものしか食べませんが、意外と貴重品なのかもしれません。