発芽玄米酒むすひと酒粕にぎり酒

発生した炭酸ガスで栓を開けるのが大変な発芽玄米酒、むすひと、その酒粕にぎり酒についてご紹介します。寺田本家の有名なお酒です。

むすひ

玄米酒って昔ワインのような酒があった

初めて玄米酒というものを知ったのは、1982年頃だったか。大関から日々一献というお酒が発売され、CMでショーケンの「広岡さんやりましたよ」という台詞が入っていたと記憶しています。

広岡さんというのは、当時、西武ライオンズの監督だった広岡達朗氏のことで、ちょうど1982年から西武ライオンズの監督に就任し、その年に優勝してしまったのです。

広岡監督は、チームに玄米菜食を持ち込んで食生活から指導しました。肉が大好きな選手達は反発し、それが話題になっていました。そういう下地があったのです。

日々一献は、ワイン酵母を使ったワインのような酸味がある爽やかなお酒で飲みやすかったです。当時、日本酒がまだあまり好きでなかったので、よく飲んでいました。

発芽玄米酒むすひとの出会い

むすひを初めて飲んだのは、某作家先生のお宅に行った時だったと思います。玄米酒があるというので一杯ついでもらい飲んでみたら、日本酒とは違って、何やらぬかくさい発泡酒でした。

決してうまいとはいえないけれど、からだにはよいだろうなという味でした。その日飲んでそれ以後忘れてしまいました。

その後、記録を調べると2011年のクリスマス頃のことでしたが、図書館で発酵道―酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方という本を借りてきて読みました。

それで、以前飲ませてもらった玄米酒が発芽玄米酒で、むすひという名前だということが分かったのです。

ちょうど本を読みながら東京駅に向かっているところだったので、どこに売っているんだろうと、日曜日でしたが寺田本家に電話してみました。

株式会社 寺田本家
自然酒五人娘 発芽玄米酒むすひ 香取 蔵元

すると、お茶の水のガイアにあることがわかり、早速、買いに行きました。

当時もヨーグルトを作っていて、その頃はすでに牛乳に飽きてしまい豆乳ヨーグルトを作っていたのですが、種には明治ブルガリアヨーグルトを使っていました。

この菌はなかなか強くて、豆乳もしっかり豆腐のように固まります。ただ、豆乳を固めた場合は風味が弱くて味も豆腐みたいになるのです。

それで、新しい種菌を探していたのですが、発芽玄米酒のむすひを使ってみようと思いました。

この頃、玄米に乳酸菌がたくさんくっついているらしいことを知って、実験してみたいと思いました。

むすひ

発芽玄米酒むすひをヨーグルトの種に使ってみた

要領がわからなかったので、むすひを100ccほど入れて豆乳を1リットル入れ、40℃で8時間保温してみました。

翌朝、おぼろ豆腐状のヨーグルトができましたが、固まっている部分がかたくて、液体(ホエイ)がとても多いのです。正直、おいしくなかったです。

きっとむすひを入れすぎたのだと思って、できたものを種にもう一度作ってみたらうまくできました。味は、舌がピリピリしびれるような強い酸味があります。この刺激が結構クセになって、私は好きになってしまいました。

ただし、寺田本家でヨーグルトの種に使ってくださいなんてすすめていませんので間違えないでくださいね。私が勝手にやっているだけです。

玄米を酒にするまで

発酵道を読むと、まっさらの状態から玄米酒造りに挑んだようです。

日本酒を造るときは、まず、磨いた白米を蒸して麹をつけ米麹をつくります。しかし、玄米の場合は丈夫な外皮があります。

玄米に麹菌が植え付けられない

玄米を蒸して麹菌を植え付けても、麹菌が米の中に食い込んで行かないという問題にぶち当たりました。これは私のような素人でも毎日玄米を食べているので分かります。

玄米の皮はしっかりと白米の部分を包んでいます。

その解決策は、伊勢神宮で読んだ資料の記事の中にありました。古代の神酒(みき)「火無浄酒」(ほなしのきよさけ)の復元の話でした。

「火無浄酒」は、麹を使わないで醸す酒で、米を水に溶かして砕いたものに、神域内にある神社の水を加えただけでつくっていたのです。

玄米を発芽させると解決できる

普通に考えたら米を水に入れていると腐ってしまうだけです。しかし、その酒の復元に成功した方の話が大きなヒントになりました。

「米のデンプンを糖化する力は、唾液のアミラーゼや米の発芽時のアミラーゼが最も強い。麦芽アミラーゼが及ぶどころではない」

麦芽アミラーゼは、ビールを造る時につかうモルト(麦芽)がつくるアミラーゼです。それよりも米を発芽させたときのアミラーゼが強いというのです。

玄米を発芽させれば、胚乳の消化が始まり、アミラーゼでデンプンが糖化され始めます。そして、玄米の皮が中から破れて来るので、麹菌を植え付けられるようになります。

玄米を発芽させたり蒸したり麹を植え付けるには、白米と違って手間と時間がかかるようでしたが、玄米麹ができたあとの酒造りは、発酵が早く進むようです。

アルコールをつくる酵母は、当初、醸造協会から購入した標準酵母を使っていましたが、その後、むすひ発売前に、生酛造りに変更し、寺田本家の藏に棲みついた蔵付き酵母を使うようになりました。

生酛造りについては、こちらをご覧下さい。

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発芽玄米酒むすひの特徴

一切火入れをしない生酒なので、お店でも冷蔵庫に入っていて、買うときには注意を受けます。

  • ビンを横にしない。
  • できるだけ早く冷蔵庫に入れる。
  • 栓を開けるときは、何度も開け閉めして、少しずつガスを抜くように開ける。
  • 保管は冷蔵庫で。

実際、栓を開けるときは、中身が相当減るまで何度も開け閉めする必要がありました。アルコール度数は7~8%程度なので、ビールより少し強いくらいです。

日本酒だと思って飲むとおいしくないです。変わった発泡する酒だと思って飲むと味わえます。

酒屋さんに聞いたら、買う人は圧倒的に女性が多いそうです。

発芽玄米酒むすひの酒粕「にぎり酒」

むすひは1年中造ることができるので、酒粕「にぎり酒」は手に入りやすいようです。パンを作っている方が多いようです。

酒粕は、酵素と微生物とアルコールの固まりですが、むすひのアルコール度数がもともと7~8%程度なので、酒粕のアルコール度数はもっと少ないです。

この酒粕を果物や野菜と一緒にミキサーにかけると、強力な酵素ドリンクができそうですね。こちらをヨーグルトの種に使ってもよさそうです。

寺田本家では毎年1回蔵見学の日があるらしいので、来年こそは見学に行こうと思っています。

まとめ

酒粕「にぎり酒」で豆乳ヨーグルトをつくってみたら、うまくできました。ただ、そこから「にぎり酒」を取り出すのはなかなか面倒です。気にしないで、一緒に食べてしまうか、それとも最初に何かに包んでヨーグルトをつくり、その後取り出すか。思案中です。

いまは、面倒くさいのでそのまま食べてます。

日本酒について他にも記事を書いています。日本酒についての記事をお読み下さい。

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