この記事では、乳酸菌よりはるかに数が多いビフィズス菌を増やす方法について書きます。具体的には、食物繊維を多く摂ることをおすすめします。食物繊維はどんなものに多く含まれていて、1日どのくらい摂るとよいのか。また、実際、われわれは1日にどのくらい摂っているのかについても書きます。
乳酸菌は0.1%ビフィズス菌は10%
以前、「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかないを読んだという記事を書きました。
記事のもとになった「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかないはこんな本です。
本を読んで初めて知りましたが、腸内細菌のうち乳酸菌の割合は0.1%くらいで、ビフィズス菌が10%くらいを占めているそうです。いつも何かと話題になるのは乳酸菌ですが、乳酸菌は、腸内細菌の中で実は少数派です。
腸内細菌は、一人あたり1~1.5キロくらいあるそうです。種類は約1000種類、1000兆個を超える数が活動しているのだとか。
ヨーグルトを日常的に食べている人は、乳酸菌がお腹に与えてくれるよい影響を感じていると思います。腸内細菌のうち、わずか0.1%を占める乳酸菌を増やすだけでこれだけよい影響があるのなら、ビフィズス菌がいつも元気に増えるようにしていると、もっとお腹の調子がよくなるだろうなと思います。
食物繊維を摂るとビフィズス菌が増える
食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されない、食物に含まれている難消化性成分の総称です。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。それぞれたくさん種類があります。
水溶性食物繊維には、果物に含まれるペクチンやこんにゃくイモのグルコマンナンがよく知られています。
また、不溶性食物繊維には、セルロース、ヘミセルロース、リグニンなど 植物の細胞壁の成分や甲殻類の殻に含まれ、一時健康食品として流行ったキチン、キトサンなどがあります。
食物繊維は、人は消化できないので直接利用できませんが、腸内細菌はこれを分解して利用します。
食物繊維の保健効果 には、食物繊維はおおむねビフィズス菌を増やし、腐敗菌のクロストリジウムを減少させると書かれていました。
食物繊維が大腸,とくに結腸に到達すると,炭水化物がほとんどなので,これを栄養源として腸内微生物が繁殖する.
しかし,リグニンやキトサンはほとんど利用されない.また,すべての菌が食物繊維を利用できるわけではないので,優勢な菌と劣勢な菌に分かれる.
食物繊維の種類は多く,有用なビフィズス菌を増やし,有害なクロストリジウムなどの腐敗菌を減少させるとする成績が多い.
ただし水溶性食物繊維にはご注意を
いまはネット通販でいろいろなものが買えます。ジャムに使うペクチンも買えます。食物繊維を摂るならそのまま食べてしまったらよいだろうなんて考える方がいらっしゃるかもしれません。
ちなみに、私はそのタイプです。
こんなことが書かれていました。
ペクチンやサイリウムガムのような水溶性食物繊維は粉末の状態で大量に摂取すると,水分の吸着量が多く,胃から小腸内部の細胞に種々の損傷を与えることが実験動物で警告されている.
一方,セルロースのような不溶性食物繊維は口の中でゴワゴワするが,粘液で覆われている消化管組織の損傷は案外少ないとされている.
自然の食物に食物繊維そのものなんてありませんから、ご注意ください。粉末のペクチンを食べてはいけません。
食物繊維を多く含む食品
日本食品標準成分表2015年版(七訂)から水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が多い食品を調べてみました。
調理したものは除外し、生(なま)か乾燥物を選択しています。
水溶性食物繊維
まずは下の表をご覧下さい。
らっきょうに多いことを初めて知りました。エシャレットもらっきょうみたいなものです。そして、麦ごはんに入れる押麦(おしむぎ)は食物繊維が多いです。
麦飯は食物繊維の量が玄米よりあるんじゃないかという記事で、白米や玄米との食物繊維量の比較、栄養成分についても調べて書きました。七分づき押麦は栄養価も高くなかなかよいです。
ピュアココアもなかなか魅力的です。
ピュアココアとチョコレートの違いは、カカオバター(脂肪)の量です。ピュアココアの方がお湯に溶かして飲めるようにカカオバターをぐっと減らしてあります。
チョコレートの奇跡を読むと、チョコレートのすごい効果がわかるを読んでいただくと、ピュアココアを毎日飲もうという気持ちになると思います。
食品名 | 成分量 100gあたりg |
こんにゃく/精粉 | 73.0 |
らっきょう/りん茎生 | 19.0 |
しろきくらげ/乾 | 19.0 |
青汁/ケール | 13.0 |
干しわらび乾 | 10.0 |
エシャレット/りん茎生 | 9.0 |
あまに/いり | 9.0 |
きく/菊のり | 8.0 |
かんぴょう/乾 | 7.0 |
カレー粉 | 7.0 |
抹茶 | 7.0 |
大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく | 6.0 |
あらげきくらげ/乾 | 6.0 |
おおむぎ/米粒麦 | 6.0 |
ピュアココア | 6.0 |
おおむぎ/七分つき押麦 | 6.0 |
アーティチョーク/花らい生 | 6.0 |
トマト/ドライトマト | 6.0 |
干しぜんまい/干し若芽乾 | 6.0 |
おおむぎ/押麦 | 6.0 |
キャベツ/結球葉生 | 0.4 |
たまねぎ/りん茎生 | 0.6 |
にんじん/根皮つき生 | 0.7 |
参考まで、一番下に毎日食べるキャベツ、たまねぎ、にんじんの数値を載せておきました。
不溶性食物繊維
水溶性食物繊維に比べて、不溶性食物繊維は成分量がとても多いです。気がつくのはせん茶を筆頭にしたお茶です。
急須にお湯をいれて普通にお茶を飲んでいる分には、食物繊維は関係ありません。しかし、もし出がらしを食べると考えたらどうでしょう?
お茶を食べると栄養価の高い野菜だってという記事で詳しく書きました。お茶、特にせん茶は、栄養成分がとても豊富な「野菜」です。私も記事を書いて以来、毎日出がらしを食べています。
お茶を食べるようになると、食物繊維を毎日一定量摂るのが楽にできるようになります。
食品名 | 成分量 100gあたりg |
あらげきくらげ/乾 | 73.0 |
凍みこんにゃく乾 | 70.0 |
きくらげ/乾 | 57.0 |
しろきくらげ/乾 | 49.0 |
干しわらび乾 | 48.0 |
せん茶/茶 | 44.0 |
おから/乾燥 | 42.0 |
とうがらし/果実乾 | 41.0 |
まいたけ/乾 | 39.0 |
玉露/茶 | 39.0 |
乾しいたけ/乾 | 38.0 |
紅茶/茶 | 34.0 |
抹茶 | 32.0 |
カレー粉 | 30.0 |
パン酵母乾燥 | 30.0 |
干しぜんまい/干し若芽乾 | 29.0 |
あん/さらしあん | 27.0 |
べにばないんげん/全粒乾 | 26.0 |
かんぴょう/乾 | 23.0 |
あさ/乾 | 22.0 |
キャベツ/結球葉生 | 1.4 |
たまねぎ/りん茎生 | 1.0 |
にんじん/根皮つき生 | 2.1 |
食物繊維の1日の摂取量
食物繊維は、1日どのくらい摂るとよいのでしょう?
厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015)には次のように書かれていました。
『極端でない範囲でできるだけ多めに摂取することが望ましい』と理解すべきである。なお、食物繊維摂取が多いためにリスクが増す生活習慣病は報告されていないと考えられるため、このように理解してよい。
上記のような限界はあるものの、上記の数値を参考にすれば、理想的には 24 g/日以上、できれば 14 g/1,000 kcal 以上を目標量とすべきである。
控えめに書かれていますが、食物繊維はたくさん摂った方がいいよといっているようです。目標量が定められています。「以上」がついていますから、多く摂ってもよいのです。
性 別 | 男 性 | 女 性 |
目標量 | 目標量 | |
0~5(月) | ー | ー |
6~11(月) | ー | ー |
1~2(歳) | ー | ー |
3~5(歳) | ー | ー |
6~7(歳) | 11以上 | 10以上 |
8~9(歳) | 12以上 | 12以上 |
10~11(歳) | 13以上 | 13以上 |
12~14(歳) | 17以上 | 16以上 |
15~17(歳) | 19以上 | 17以上 |
18~29(歳) | 20以上 | 18以上 |
30~49(歳) | 20以上 | 18以上 |
50~69(歳) | 20以上 | 18以上 |
70以上(歳) | 19以上 | 17以上 |
妊婦 | ー | |
授乳婦 | ー |
実際、われわれは1日どのくらい摂っているのか?
平成27年国民健康・栄養調査結果の概要を読むと、1人1日あたり食物繊維の摂取量が出ていました。
最初、20歳以上の平均値だけを載せようと思ったのですが、働き盛りの30代、さらにそれよりもっと若い人たちの摂取量がかなり少ないので表から抜き出しました。年寄りが比較的多く摂っているのは、昔ながらの食事をしているからです。
若い人は、サプリメントなんか飲むより、もっとまともな食事をした方がよいですよ。本当に。
年齢 | 食物繊維 | うち水溶性 | うち不溶性 |
全平均 | 14.5 | 3.4 | 10.6 |
1~6(歳) | 8.7 | 2.1 | 6.3 |
7~14(歳) | 13.3 | 3.2 | 9.7 |
15~19(歳) | 13.8 | 3.2 | 10.1 |
20~29(歳) | 12.4 | 3.0 | 9.0 |
30~39(歳) | 12.9 | 3.1 | 9.4 |
40~49(歳) | 13.4 | 3.2 | 9.8 |
50~59(歳) | 14.6 | 3.4 | 10.7 |
60~69(歳) | 16.8 | 3.9 | 12.3 |
70歳以上 | 16.5 | 3.7 | 12.1 |
20歳以上平均 | 15.0 | 3.5 | 11.0 |
ビフィズス菌を摂る
最後に、ビフィズス菌を増やすには、ビフィズス菌そのものを摂る方法があります。私はサプリメントが嫌いなので、ヨーグルトとビオフェルミンを簡単に紹介します。
森永ビヒダスヨーグルト
生きて腸まで届くビフィズス菌BB536を配合した、特定保健用食品のプレーンヨーグルトです。
森永は、本来偏性嫌気性菌(酸素にふれると死んでしまう)であるビフィズス菌をどのように培養するか技術内容を比較的公開している会社です。好感が持てます。
詳しくは、森永ビヒダスヨーグルト(BB536)はビフィズス菌のヨーグルトに書きました。
グリコBifiXヨーグルト
ビフィズス菌を培養したグリコBifiXヨーグルトです。
ビフィズス菌 BifiXは腸内に届いて増殖し、1週間程度定着するのが特徴です。
グリコBifiXヨーグルトについて調べてみたを書いて少し調べてみました。味がおじさん向きでないのが少々残念です。
グリコのサイトはこちらです。
新ビオフェルミンS細粒
ビオフェルミンは、子どもの時から時々飲んでいます。
おすすめは錠剤でない細粒です。形を整えるための賦形剤が入っていないので、買うときはいつもこちらにしています。ドラッグストアに行くと、きっと安く買えます。
昔、カナダ人の食品関係の博士から、夜、歯を磨いた後にこのようなプロバイオティックなものを口に入れると、口の中と鼻(鼻腔)の健康に役立つと聞いたことがあります。
まとめ
腸内細菌のうち成人では10%を占めるのがビフィズス菌です。ビフィズス菌を増やすには、食物繊維を摂るのが有効です。
ちょっと調べてみただけで、私もそうですが、たいていの方は食物繊維をあまり摂っていないのだろうと分かりました。
便秘対策のためでなく、お腹の健康のため、ビフィズス菌を増やすためにもっと食物繊維がとれる食事を考えましょう。