「みその教科書」を読んだ

みその教科書は、みそについて何となく疑問に思うことが網羅されているので、みそに興味を持った人が最初に読む本としておススメできます。みそ蔵めぐりも楽しく、全国の米みそ、豆みそ、麦みそ、変わり種みそと分けられて書かれています。

みその教科書を読みました。出版社のエクスナレッジは「濃い」本を出してくれるので期待していましたが、期待通り、とても面白い本でした。

みそについて何となく疑問に思うことが網羅されている

みその地域性の違い、麹歩合、米みそ、麦みそなど、みそについて知り始めると疑問に思うことが一通り網羅されています。たとえば、こんなこと。

麦みそを食べている地域は限られている

私は北海道で育ったので、麦みそにはほとんど縁がなく、初めて自分で買ったのは2年前だったか。その少し前に麦みそをもらったのですが、色が白っぽいのにうま味が濃くて驚きました。それで麦みそについて調べてみると、九州と広島・山口県、それと愛媛県で食べられていることを知りました。地域が限られているのです。

この本では地図を使ってそれを説明しています。

米みそ、麦みそ、豆みそって、米からみそができたっけ?

また、たとえば、米みそ、麦みそ、豆みそと聞くと、「あれっ、みそって大豆からできるんでしょ?」なんて思ったことはないですか?

麦みそに一部例外があります(これはあとで書きます)が、米みそも麦みそも豆みそも、麹の種類が違うだけで、大豆を原料にしているのは同じです。

麹歩合ってなんだ

マルコメ丸の内タニタ食堂の減塩みそがおいしいと評判です。私も食べました。おいしいです。このみそのパッケージには、20割糀と書かれていて、なにやらありがたい感じがするのです。

いまはとても忙しい時代なので、疑問に思った時に調べないとすぐに忘れてしまいます。それで、またパッケージを見た時に、なにやらありがたい高級感があるのかなと思い出すのです。

ちゃんと書いてあります。

大豆に対する麹の割合。一般的には高いほど甘いとされる。(中略)たとえば、大豆の量が10kgに対して麹が20kgなら20割となります。

米麹をたくさん使う味噌は、昔は贅沢なものでした。何しろお米は貨幣でしたから。

みそって簡単につくることができる?

みそに興味を持つようになると、自分でつくってみたくなります。私は納豆は10年以上前から自作していますが、みそはつくったことがありません。納豆は24時間でできあげりますが、みそは数ヵ月かかるからです。

この本では、「タッパーで気軽に作れる手前みそ」という記事で、大豆500gと米麹500gと天然塩200gを使ってみそを2kgつくる方法を紹介してくれています。

マニアックなみそ蔵めぐり

この本を手にしてパラパラしたときに、パッと目に飛び込んできたのが、愛媛県宇和島市にある井伊商店の記事です。宇和島の麦みそは麦の比率が高いのが特徴でどんな味がするんだろうと以前から興味を持っていました。

みそ蔵めぐりは、米みそ、豆みそ、麦みそ、変わり種みそと分けられて紹介されています。面白いです。

井伊商店の麦みそ

井伊商店はこんなふうに紹介されています。

一度食べれば麦の甘味のとりこに

昭和33年創業。ひたすらに1種のみを製造する麦みそ一筋の蔵です。原材料もほぼ麦のみ。3代目井伊友博さんは蔵付き菌を大切にしており、室は菌が心地いいように木製。

麹造りにはもろ蓋を使用。木桶仕込みの天然醸造を行っています。麹歩合が高く甘味が染みる、クセになる味わい。

上で麦みそは麦麹を使った大豆でつくるみそと紹介しましたが、宇和島のみそは麦が主原料となることが特徴で、中には、はだか麦(大麦の一種)100%の麦みそを作っている蔵もあるのですが、残念ながらサイトはありませんでした。

井伊商店
昔ながらの伝統の味をずっとずっと守り続けてきた味噌屋、井伊商店です。

粟国村ソテツ味噌生産組合

粟国村(あぐにそん)ソテツ味噌生産組合では、ソテツを使ったみそをつくっています。話は聞いたことがありましたが、記事を読んだのは初めてです。

ソテツは沖縄や九州南部に自生する小さなヤシの木のような植物で、ソテツの実はデンプンを含むため、地元では食糧難の時代に非常食とされていました。秋に実る朱色の実を使用しますが、サイカシンという毒素があるため、1~2週間くり返し水にさらしてから天日干しして、中の部分を粉々に砕いた状態で使用します。

多分、普通の本なら、毒素がある原料からつくるみそをわざわざ取り上げないと思うのですが、どうやってつくるんだろうと思って取材に行かれたのでしょう。

ちなみに、粟国村ソテツ味噌生産組合に訪ねて行った別な方の記事がありました。こちらを見ると、ソテツとソテツの実の画像を見ることができます。

「ソテツ味噌」で話題の粟国島に行ってみた
沖縄本島の西に位置する粟国(あぐに)島は、周囲12kmの小さな島。そこでは昔からソテツを使った味噌が作られているというのです。「なぜソテツ?」「どうやって作るの?」が気になったので、話を聞きに出かけてみました。

著者の岩木みさきさん

著者の岩木みさきさんは、「はじめに」の中にこんなことが書かれています。

2016年春から始めたみそ探訪は、自費で日本各地を巡るため交通手段は夜行バス。「大変じゃない?」とよく質問されますが、大変さよりも好奇心が勝り、3年半で約60ヶ所、回数にして100回以上みそ蔵を訪ね歩きました。

本を最初にパラパラしたときに、どうしてこんな(マニアックな)蔵に行ったのだろう?と驚いたのですが、なるほど。誰かに依頼された仕事でなく、ご自身の好奇心で回っていらっしゃるのです。

さらにこんなことも。

私の家にはみそ専用の冷蔵庫があり、120種類以上の愛すべきみそたちがいます。

マニアですねえ。

公式サイトがあります。

実践料理研究家 岩木みさき オフィシャルサイト
実践料理研究家岩木みさきのオフィシャルサイトです。活動実績や開催する料理教室スケジュールの情報発信、お仕事のお問い合わせの受付をしております。

みそ探訪記

岩木みさきのみそ探訪記【公式】
日本の伝統調味料“みそ”の総合WEBメディア。      みそを繋ぎ、みその魅力を発信します。

NOTE

エクスナレッジの本で初めて読んだのは、世界に通用するビールのつくりかた大事典が初めてでした。マニアックでビール好きが知りたいことがたくさんの写真と一緒に書かれていて、とても面白い本です。

「世界に通用するビールのつくりかた大事典」はビール好きは必携かも
ビールの自作はできないけど、翻訳されたビールのつくり方の本を読むと、モルトにはいくつも種類があり、ビール酵母もたくさん種類があることが分かります。ビール好きならこの本はとても面白く読める本だと思います。 世界に通用するビールのつくりかた大事...

味噌の教科書も、著者の味噌に対する深い愛情が伝わって来るよい本です。この本を読んで、さらに深く知りたいことが増えました。エクスナレッジの本はこれからも注目しています。

そして、この本のお陰で、味噌を作ろうという気になりました。大豆を注文したばかりなので手元にたくさんあるのです。いつも注文するところは同じです。

大豆をまとめ買いするなら今のところネットが安い
自作納豆を作るため、国産大豆をあちこちで探しましたが、今のところ、ネットでまとめて買うのが一番安いです。 調べてみると私は2007年から納豆の自作を始めています。大豆の入手先は、近所の乾物屋さん、アメ横、築地場外など安い所を探して移動しまし...
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