仙台味噌の特徴とは

赤味噌を買うとき、どれを買ってもまず間違いないのは仙台味噌です。仙台味噌は、大豆をたくさん使用しているといわれますが、大豆、米麹、塩を原料とする米味噌のなかで、大豆使用率が高い味噌です。八丁味噌のような豆味噌ではありません。

味噌樽

いつも行く乾物屋さんには、仙台味噌が置いてあります。

ジョウセンのお味噌なのですが、聞くと、仙台味噌は確実に一つのジャンルなのでいつも在庫していて、料理屋さんでもジョウセンの味噌を置いておけば満足してくれるといっていました。

私がいつも買っているのはジョウセン 仙台みそ 赤味噌です。1キロの袋入りです。アマゾンでは1000円以上の値段がついていることもありますが、お店で買えば420円+消費税です。おいしいです。

乾物屋さんのお得意さんは、私のような一般人ではなく、料理屋さんです。

私もしばらく仙台に住んでいたことがあるのですが、住んでいた時には、仙台味噌があるので買っていたというだけでした。

なんとなく覚えているのは、仙台市の確か宮町にあった、製造販売している薄暗い昔ながらの味噌屋さんで一度味噌を買ったことがあり、味は覚えていませんが、とても古い建物で歴史の長さを感じたものでした。

その後、品川区の大井町に仙台味噌の工場とお店があることを知り、買いに行ったことがあります。江戸時代の仙台藩の名残なんだとその時に知りました。

大井町仙台味噌醸造所
大井町に行った。仕事の他に目的はもう一つ。味噌を買いに行ったのだ。大井町には仙台味噌の工場がある。先日、知人から自家製味噌を分けてもらったのだが、それがとてもうまくてスーパーでは買えない?味噌を買いたくなったのだ。大井町の商店街を抜けたとこ

まず、味噌づくりの基本については、誰でもできる手づくり味噌をお読み下さい。

麹は米を糖化させるだけでなく大豆のタンパク質も分解する
日本酒の醸造は蒸した米に麹を植えつけて糖化させていましたが、味噌をつくるときは、茹でるか蒸した大豆に米麹を加えて発酵させます。同じ麹ですが、麹はデンプン、タンパク質、脂質を分解する酵素をそれぞれつくります。 味噌は大豆と塩と米麹だけでできる...

仙台味噌の特徴

保存性がよい

宮城県味噌醤油工業協同組合のサイトに、「仙台みそ」の長い歴史がありました。

「仙台みそ」の長い歴史 - 宮城県味噌醤油工業協同組合 - 仙台みそに関する総合情報サイト
仙台みそ、仙台味噌、宮城のみそしょうゆ、赤味噌、伊達 仙台みそは、大豆と米麹でつくられる、辛口の赤味噌です。 仙台藩祖伊達政宗公が、城下に御塩噌蔵(おえんそぐら)という味噌工場を設け、醸造の専門家 真壁屋市兵衛に味噌御用を勤めさせたことが始まりと伝わっています。

その記事を読むと、もともと仙台味噌は保存性が優れていたようです。それにしても、昔、味噌を携行するには、干したり焼いたり苦労したんだなと分かります。

豊臣秀吉の朝鮮出兵に際し、伊達政宗が浅野長政等と共に朝鮮に渡り蔚山で戦った時、他藩の味噌は夏期に腐敗してしまったが、仙台藩の味噌は少しも変質せず味も優れていたので、請われて他藩に分ち与え、一躍『仙台味噌』の名を上げたと伝えられています。

また、政宗公は常に城中の糧とする目的で大規模な味噌醸造の設備「御塩噌蔵」をつくり、真壁屋古木市兵衛は「御用味噌屋」となりました。
(以上「仙台味噌の歴史」)

戦国武将たちは皆、戦闘能力を左右する兵糧(戦陣食)には重大な関心を持っていました。

とくに米と味噌、この2つは絶対に必要な兵糧でした。しかし、みその携帯には苦労したようで、干すか焼くかしてみそ玉にしたものを、他の食料と一緒に竹の皮や手拭で包み、腰に下げるのが一般的だったようです。

また干采や干大根などを味噌で塩辛く煮詰めそれを干し固めて携帯し、陣中で煮ればそのまま味噌汁になる方法も考え出されました。

伊達政宗は軍用みそを他に頼らず自給しようと考え、城下に「御塩噌蔵」と呼ばれるみそ工場を建てました。これが最初のみそ工場であり、仙台みその始まりだとも言われています。

米麹の比率が低く大豆比率が高い

食品産業センターの本場の本物の中に本場の本物:仙台みそがありました。

米麹を使う比率が低いのが特徴です。

仙台みそは大豆の比率が他の地域産に比べて高いのが特徴です。これは昔から変わらない手法で、それが発酵・熟成することでふくよかな香りを生みます。

味は濃いのですが、単に塩辛いのではなく、大豆の旨味成分が凝縮されているため使う量は少しですみます。

味に伸びがあるからです。仙台みそは出汁(だし)いらずでみそ汁ができるといわれるのも、このためです。

また、麹の割合が低いので甘さが抑えられ素材の味が引き立ちます。具材を変えれば、毎日違った味のみそ汁が楽しめます。甘さの勝った味噌ではこうはいきません。

仙台味噌は大豆の比率が多いので、旨味が多いということです。

ちなみに、八丁味噌は他の味噌とはつくり方が違っていたで書きましたが、八丁味噌は、大豆だけでつくる味噌です。

八丁味噌は他の味噌とはつくり方が違っていた
八丁味噌を買ってきてたまに使っています。八丁味噌は愛知、岐阜、三重県あたりでつくられている豆味噌のうち、愛知県でつくられたもののことを指します。独特の味がして、渋みや苦味も感じます。 私は北海道で生まれ育ったので、赤味噌が好きですが、八丁味...

大豆の比率が高くなると完成までの時間が長くかかるようです。

仙台味噌の製法

製法の特徴がこのように書かれていました。大豆を煮ないで蒸す。米麹は少なめ。夏を2回経過させて完成させるのが特徴です。

仙台みその製法は、まず大豆と米を丹念に水で洗い、一晩ほど浸し漬けます。その大豆を煮るのでなく、釜で蒸し上げることで旨味を逃がさないのも特徴のひとつ。

また。米も同様に蒸し、共に芯まで柔らかくし、蒸した米に種麹を混ぜ合わせ、米麹が完成します。

そして、米麹に塩、冷却した蒸した大豆を混ぜ合わせ、擂り潰して発酵・熟成させます。

発酵過程で天地返しをおこない、さらに発酵・熟成を進めます。仕込みはじめてから天然醸造で1年以上、夏を2回経過させて仙台みそは完成します。

熟成した仙台みそは、冴えた赤色となり、特有の芳香を放ちます。

仙台みその原料配合は、ほとんどの味噌が多麹化し、甘口味噌となるなかで、現在も往時の配合を重視し、麹歩合は5歩~7歩麹(大豆1に対して米0.5~0.7(一般の味噌は大豆1に対して米1前後))を上限として造られています。

仙台味噌の醸造所

仙台市内の会社だけ調べました。

仙台味噌を買われる場合、仙台味噌醤油株式会社のジョウセンはスーパーでもよく見かけます。その他は、アマゾンや楽天で一部扱われていましたが、送料が高くつくので、ご近所のお店で探すのが一番よいと思います。

会社名住所電話番号商品web
株式会社 横山味噌醤油店仙台市青葉区柏木1-6-25022-234-2379ヤマミズ極味噌×
株式会社 阿部幸商店仙台市青葉区宮町2-1-47022-222-5016秘伝みそ×
鈴憲味噌醤油醸造株式会社仙台市青葉区宮町2-2-4022-222-6879鈴憲仙台味噌
株式会社庄子屋醤油店仙台市青葉区八幡4-1-9022-234-4010吟醸仙台みそ×
合資会社 亀兵商店仙台市青葉区大町2-15-24022-222-5880マルヒロ印本場仙台みそ
有限会社武田醸造仙台市宮城野区原町3-2-61022-256-4678×
合資会社丹野醸造仙台市若林区白萩町16-7022-231-5532×
株式会社 佐藤麹味噌醤油店仙台市若林区荒町27022-222-4712仙台味噌 慶長
有限会社庄栄味噌醤油醸造店仙台市青葉区折立3-8-8022-226-2430×
株式会社 佐々重仙台市青葉区本町2-8-5022-222-6506淳朴味噌
仙台味噌醤油 株式会社仙台市若林区古城1-5-1022-286-3151本場仙台みそ

まとめ

私は北国生まれなので、赤味噌で育っています。あまり白味噌には縁がなく、九州でよく食べられている麦味噌もほとんど食べたことがありませんでした。

ところが、数ヶ月前に、麦味噌をもらって食べたら、とてもおいしかった。

麦味噌について調べようと思っているのですが、その前に赤味噌の代表、仙台味噌について改めて調べてみました。

大豆の割合が多い味噌が、熟成に時間がかかるのは、タンパク質が分解されにくいからなのかもしれませんね。

米麹は炭水化物。炭水化物は糖になり、分解されますが、何しろ発酵菌にとっても一番のエネルギー源になるので、きっと分解しやすいのでしょう。

ヒトと変わりありません。タンパク質は腹持ちがとてもよいです。消化に時間がかかります。

味噌について他にもいくつか記事を書いています。味噌についてをご覧下さい。

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